<制約理論(TOC)>

1.TOCとは
 TOCとは、イスラエル出身の物理学者ゴールドラット博士が提唱した理論です。簡単にいえば、「工場の生産性はそのボトルネック工程(=制約条件)の能力以上は絶対に向上しない」という原理を展開した考え方です。
 1本の鎖を考えた時、その鎖全体の強度は最も弱いリングの強度に依存されます。この鎖を企業活動に例えた場合、鎖全体の強度(事業効果)を上げようとするならば、その最も弱いリング(制約条件)を強化する以外方法がなく、他のリングをむやみに強化しても鎖全体の重さが増すだけで、ますます弱い個所で切れ易くなってしまいます。これは一見当たり前のことです。

 しかし、現実の生産現場では、組織別、工程別、個人別といった単位で、それぞれが個別にテーマに取組む中で改善活動や設備投資が行われており、事業効果に反映されないことに貴重な資源が費やされているケースが多く見られます。従って、この考え方が多くの管理者に対しインパクトを与えているのです。

  2.TOCに基づく改善のステップ
 工場の能力不足によって生産量を増やせない、といったような場合は工場内に物理的な制約条件が存在すると考えられます。その解消には以下のような改善ステップが基本となります。

(1)制約条件を見つける
 ボトルネックとなっている工程を特定します。一般に、処理待ちの材料や仕掛り在庫が溜まっている工程です。

(2)制約条件を徹底的に活用する
 「制約条件の工程の能力=工場全体の能力」となっています。それが分かっていても、いろいろな要因でその能力を使い切れていない場合が多いものです。とりあえずはこの工程について、隠れた能力も含め現状能力を100%活用させるための改善を行います。

(3)制約条件以外の活用を制約条件の能力に合わせる
 原材料やその他資材についての工場への投入を制約条件の能力に合わせます。制約以外の工程の生産性低下、作業員の手余りが生じますが、それ以上の投入は在庫が溜まったり不必要な経費を発生させるだけとなります。

(4)制約条件の能力を向上させる
 ここまでの努力でまだ能力が不足する場合に、はじめて投資を伴う制約条件の能力向上を図ります。管理対象を制約条件の工程と資材の投入ペースのみに絞った状態で投資を行うことで、最大の投資効果で工場の能力を上げることが可能になります。

(5) 惰性に注意して(1)〜(4)を繰返す
 初期の制約条件が解消すると制約条件は別の工程に移ります。そこで、(1)〜(4)のステップを繰返すことで、全体能力の継続的向上を図ることが可能になります。一般に工程能力という物理的制約条件が解消した場合は、決め事やしくみ、評価指標といったマネジメント方法が次の制約条件となります。さらに生産能力が満たされた後は、「消費者がどれだけモノを買ってくれるか」に制約条件は移っていきます。


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