2.ブランド・アイデンティティの構造
ブランド・アイデンティティは、コア・アイデンティティと拡張アイデンティティから成る。コア・アイデンティティとは、「ブランドの中心にあって普遍的な本質」であり、ブランドの魂、ブランドを動かす根本的な価値や信念等と言い換えることができる。拡張アイデンティティとは、コア・アイデンティティを目に見える連想にするために加えられる様々な要素である。
3.ブランド・アイデンティティの4つの視点
| (1)製品としてのブランド |
| 製品が持つ、製品としての属性(性質)によるブランド・アイデンティティであり、製品カテゴリー、製品の機能、品質、仕様等の差異性、使用者と使用状況、国と文化などに関わる事柄を含む、ブランドの価値である。製品の特徴的な価値と言い換えることができ、ブランド価値の基礎となるが、これにこだわりすぎると(2)〜(4)の視点を見落としてしまうことがある。 |
| (2)組織としてのブランド |
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組織の属性によるブランド・アイデンティティであり、革新、品質へのこだわり、環境への関心など、企業の従業員、文化、価値、プログラムによってつくられる。組織の魅力からくる価値と言い換えることができ、製品との結びつきは間接的なものであるが、製品差別化が困難な成熟市場でも顧客との強い関係を維持することが期待できる価値である。
例えば、リッツ・カールトンの権限を委譲されたギャルソンによるきめ細やかなサービス、「ソニーらしさ」をコアに据えたソニーなどをイメージできる。一般に日本の企業は「企業ブランド」を対外的、対内的にも重視する傾向が強く、同じ家電製品を購入するならソニー、などといった商品選択も多く見られる。逆に、2度にわたり社会的事件を起こすことになった雪印乳業グループ組織が、雪印という巨大ブランドに大きな負のエクイティを背負わせてしまったことは記憶に新しい。
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| (3)人としてのブランド |
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人がもたらすブランド・アイデンティティであり、ブランドを象徴するパーソナリティ(広告で使うタレントも含む)、顧客との関係、トップのキャラクター、社員のワークスタイルがもたらすブランド価値である。これは、自己表現の欲求と結びついたときに、強力な価値となる。
例えば、トップ・スプリンターが履くシューズは、機能的な価値を伝えると同時に、自分が好きな選手と同一化できるという価値を提供する。多くの語録を残した本田宗一郎氏のキャラクターはHONDAを強く印象付けた。極端な例を挙げれば、タレントショップなどは、(4)とも重なるが、シンボル化されたパーソナリティを販売しているともいえよう。
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| (4)シンボルとしてのブランド |
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シンボル化されたブランド・アイデンティティであり、ビジュアル(視覚的)イメージ、企業や製品・サービスから思い浮かぶ象徴的なイメージ、企業の伝統や名声がもたらすブランド価値である。
例えば、「薔薇の包み」の高島屋、ルイ・ヴィトンやベンツのマークが提供するイメージ等を創造するとわかりやすい。これらの商品の購入には、商品の機能や品質以上に、そのシンボル化されたステイタスが重視されている場合が多いといえよう。
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製品の差別化や差異化は、比較的容易に真似ることが可能であり、他社の参入によってその優位性が失われることも多い。製品以外の3つの要素(組織、人、シンボル)を加え、ブランド・アイデンティティの域に達することができれば、ブランド価値は強力になり、長期間優位性を保つことが可能となるのである。