<電力自由化>

 日本の電気料金は、最近の十数年間ではおおむね引き下げが続いてきたが、欧米各国に比べると依然割高な状態である。わが国の産業基盤の高コスト構造が語られる場合に、必ずこの電気料金が問題に取り上げられるように、電気料金が割高であることは、製造業を中心とする産業の空洞化現象の大きな要因と考えられている。従って、産業競争力を多少でも取り戻すためには、電気料金の値下げ、また、そのための自由化が急務であるといえる。


1.自由化への取組み
(1) 電力卸売の解禁

 1996年に卸電力事業(IPP)が解禁された。IPPとは、民間企業が自らが所有する発電設備などから電力を小売業者に卸す事業である。一般には、電力会社が今後必要となる電力を民間からオープン調達しようとするのに対し、各企業が入札を行い、落札企業が電力会社に電力を供給する契約を結ぶものである。当初は鉄鋼関連会社や石油化学会社の落札が目立ったが、近年の電力重要の落ち込みにより電力会社の電力募集の必要性は減少している。昨年の大口部分の小売自由化により、電力会社以外の小売事業者に卸売りを行うケースも見られるようになっている。

(2)大口部分の小売自由化
 2000年3月に、従来は10電力会社により地域独占されていた電力市場での小売りが一部自由化された。自由化の対象は、受電電圧2万ボルト以上、契約電力2,000kw以上の大口重要家(商業施設、大規模ビル、工場、等)に限られる。発電者または新規小売事業者が、電力会社の送電設備網を借用して、需要家に供給する(下図)。


 この小売事業に参入した業者をみると、従来のIPP事業者よりも、新たに小売り専門を行う電力商社の方が目立つ。しかし、需要家か大口であるため限られる(国や自治体の場合もあるがスポット的な需要が主体)、電力会社に支払う送電線使用料(託送料)が高い、環境対策を含めて発電設備の建設コストが高い、といった理由により、新規参入者の対象市場でのシェアは0.4%にとどまっている。しかし一方で、電力会社間による従来のテリトリーを越えた競争の発生の意味では、自由化の効果が出てきている。

(3)今後の自由化範囲の見直し
 電力コストの低減を目的とし、電力供給に競争原理を働かせることを一層促進させるため、昨年11月から経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の分科会で検討が始まっている。2003年度中の実現を目指し、託送料の引き下げや、現状の小売対象者の範囲拡大といった方向性が決まる見通しである。


2.米国の自由化状況

 日本よりも早くから自由化の動きが活発な米国においては、1996年に電力会社に対して独立した系統運用機能の設置と送電線のオープンアクセスを義務付けている。1998年には15の州で小売自由化が法制化された。
 近年では、インターネットによる電力の電子商取引まで盛んになった。しかし景気拡大に対して供給能力が整備される前の見切り発車となったため、昨年初めにはカリフォルニア州の電力危機が生じ、自由化路線の見直しや凍結を行う州もあった。それでも連邦政府や多数の州により、料金引き下げを促す自由化のメリットは今も強調され、自由化促進の基本的な流れは変わっていない。


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