<MS/HMR>
1.MSとは
MSは、ミール・ソリューション(Meal Solution)の略であり、直訳すれば「食事における問題の解決」である。その概念は、「完全なる調理済み食品、および加熱のみ必要な食品で、1回の食事の大半となり得るもの」であり、「Ready to Eat(そのまま食べられる商品)」あるいは「Ready to Heat(温めれば食べられる商品)」で、企業により提供される、経済行為の性格を備えた商品であることを前提としている。日本における「中食」とほぼ同様の概念であるが、HMRと呼応し誕生したもので、その中核となるのがHMRであることから、一般に言われる「中食」とは区別されて使われることが多い。
MSは、1996年、米国スーパーマーケットの業界団体である「FOOD MARKETING INSTITUTE」の年次コンベンションで提唱されたキャッチフレーズで、レストランやファーストフードのテイクアウト等、フードサービス産業に対抗する手段として位置付けられ、普及した。
2.HMRとは
HMRは、ホームミール・リプレイスメント(Home Meal Replacement)の略であり、直訳すれば「家庭における食事の代行」である。その概念は、「基本的に調理を必要とせず、原則として家庭内でとる家庭料理風の食事」であり、MSの概念に包括される。高級レストランと同じレベルの調理済み食品を家庭に提供する、フードサービスの仕組みである。
「HMR」という用語は、米国ファーストフードチェーンのボストン・マーケット(親会社である「ボストンチキン」は1998年に倒産)が、自社商品のコンセプトを説明するために創案したものである。HMRのシステム自体は、高級スーパーマーケットの重要な戦略として10年以上前から実行されていたが、ファーストフードチェーンによるグルメ志向が強調された新しいフードサービスのコンセプトとして脚光を浴び、スーパーマーケットにも強烈なインパクトを与えたのである。
本来のテイクアウトサービスでは、単品のサービスに特化し、若者の食文化とはなっても、家庭の女性、特に職業を持つ家庭の女性を、満足させることはできなかった。そのことに気づいたフードサービスビジネスが、高級レストランの味と家庭のメインディッシュとなり得る品揃えの深さ・幅広さで積極的に展開しているのが、HMRなのである。
3.「イーチーズ」の特徴
倒産騒動で失速した「ボストンチキン」」に代わって、本格的なHMRの本質と方向性を示す中核店舗として話題になっているのが、米国の「イーチーズ」である。イーチーズは、1996年にダラスに1号店をオープン、業界を騒然とさせ、その後ヒューストン、アトランタ、コニーアイランド、マンハッタン、と増店を続けている。「熱気」が特色ともいえるエキサイティングな店舗である。その特徴としては、以下を挙げることができる。
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オープンキッチンによる製造即直売スタイル:
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| 半加工の最終調理といったレベルではない、調理のプロによる本格的なレスラン品質の商品を、レストランの半額以下で、好きな量だけ購入することができる。 |
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シェフがそのまま販売員でもある:
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| 調理への個人的な要望への対応、試食のお勧め、時間帯や食材の残量に合わせた変幻自在なメニューなど、プロならではの変化対応力が、店内を活気づけると同時に、廃棄ロスも少なくしている。 |
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家庭の食卓づくりに関するワンストップショッピング: |
| スープからデザートまで揃った多彩な家庭料理メニュー以外に、酒類や食卓を飾る花の売場、イートインスペースも配され、TPOに応じた食卓に関する一通りの買物ができる。 |
HMRは、テイクアウト主体のレストランともいえる業態であり、時間と場所を選ばずにプロがつくる料理を気軽に楽しむことができる、従来の「中食」を超えるものとして、期待されているのである。