8月のテーマ<価格計画>
第1回 需要の価格弾力性と価格政策

■ 今月は、マーケティング・ミックスの構成要素である4PのうちのPrice(価格)について検討していこう。価格は製造や財務など、企業の全般的な領域の意思決定に影響を与えるので、価格計画は企業目的と合致するものでなければならない。一方、価格を決めるときには、標的市場の人びとの価格に対する反応についても配慮を要する。価格という数字による表示は明快であるが、受け取る人によってさまざまな意味をもっているのである。

1.需要の価格弾力性
 一般に、価格が高くなれば需要は減少し、価格が低くなれば増大する傾向がある。この増減の度合いを需要の価格弾力性という。需要の価格弾力性は、次の式によって表される。

 一般に、価格と需要は反対の動きを示す(例えば、価格が上がれば需要は下がる)ので、需要の価格弾力性はマイナスの値になる。そこで、需要の価格弾力性には絶対値が用いられる。需要の価格弾力性が1を超えると、弾力的であると言い、1未満の場合は非弾力的であると言う。価格設定や価格変更の際には、需要の価格弾力性を充分考慮して行うべきである。

2.新製品の価格政策
 新製品に対し、導入価格をいくらに決めるかということは、マーケティング戦略にとって重要な部分である。新製品が市場に導入される際に、企業が設定する価格設定の仕方には、初期高価格政策と初期低価格政策の2つの方法がある。

1)初期高価格政策(上層吸収価格政策、上澄吸収価格政策、スキミング・
  プライス)

 初期高価格政策は、比較的高い価格を新製品に設定する政策であり、上層吸収価格政策、上澄吸収価格政策、スキミング・プライスともいわれ、以下のような特徴を持つ。

    1.
    高い価格でも進んで購買する好奇心旺盛な、あるいは専門的な顧客層を標的市場にした新製品である場合に採用される。
    2.
    新製品の導入期に、比較的高い販売価格を導入することによって、他の競争品が現れるまでに、支出した新製品開発費や広告費等を短期間に回収することができる。
    3.
    競争品が出現してくれば、徐々に価格を引き下げて行くことによって、次の顧客層を吸収していくことが出来る。
    4.
    新製品に対する需要の価格弾力性が低く、価格にあまり敏感でない新製品需要がある場合に有効である。
    5.
    新製品の生産能力の限界や、特許などの参入障壁があって、急激な大量生産や競争者の出現が困難な場合、つまり新規参入企業の少ない場合に有効である。

2)初期低価格政策(市場浸透価格政策、ペネトレイティング・プライス)
 初期低価格政策は、市場浸透価格政策あるいはペネトレイティング・プライスとも呼ばれ、比較的低い価格で新製品を市場に導入する政策である。この政策の特徴は以下の通りである。

    1.
    新製品の高い市場占有率を目指す生産者が、市場浸透を早期に図るために採用する。
    2.
    新製品に対する需要の価格弾力性が比較的高く、購買者が新製品の価格に対して敏感な場合に有効である。
    3.
    単位当たりの製品コストが低く、大量生産が可能な新製品の場合に有効である。
    4.
    新製品の革新性が弱く、競争相手がすぐに出現する可能性がある食料品や、家庭用品類に多く見られる。すなわち、新規参入の脅威がある場合に採用される。


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