2月のテーマ

<< 優位な競争策の決定(競争戦略) >>



■ 市場が成熟すると市場の限られたパイを企業同士で奪い合う形になり、厳しい競争にさらされることとなる。M.E.ポーターは、このような市場成熟期においては成長戦略のなかでも多角化戦略などの展開よりも、現在の市場を対象にした市場浸透戦略が重要であることを指摘した。そしてアンゾフのいう市場浸透戦略は、ポーターにより競争戦略と名付けられたのである。

■ 競争市場の規定要因
 業界における企業の競争状況は「既存企業間の競争の強さ」、「潜在的競争者の参入可能性の強さ」、「代替製品の圧力の強さ」、「供給業者の交渉力」、「買い手の交渉力」という5つの要因により規定される。

■ 競争の基本戦略
 ポーターは上記の5つの要因により規定される競争環境において、競争相手に打ち勝つための基本戦略として、コスト・リーダーシップ、差別化、集中の3つを示した。

※集中には、コスト集中と差別化集中の2種類がある。

  • コスト・リーダーシップ戦略
     生産から販売に至るコストを徹底的に削減し、競合他社に対して価格競争力でリーダーとなり、競争優位に立つ戦略である。
  • 差別化戦略
     コスト以外の技術・デザイン・サービスなどの独自性により競争企業との差別化を図り、競争上の優位性を獲得する戦略である。
  • 集中戦略
     市場を細分化し、その中の特定市場に焦点をあてて経営資源をその市場に集中することにより、コスト面での優位、あるいは独自性を発揮して、競争上の優位性を獲得する戦略である。

■ 競争地位別戦略
 競争戦略には、「市場における相対的競争地位」に基づいて望ましい戦略を探究しようとする研究もある。
 市場における競争地位は、戦略の合理性を規定する経営資源の投入状況によって示される。具体的には、横軸に経営資源力を示す量を、縦軸には経営資源の独自性を示す質をとり、マトリックスを作成する。ここから、リーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーという競争地位のタイプが導き出され、自社がどのタイプに該当するのかを明らかにするのである。

  • リーダー
     リーダーとは、「量的経営資源にも質的経営資源にも優れる企業」と定義され、一般に業界のマーケット・シェア第1位の企業を指す。家電業界全体として見れば、松下電器産業がリーダーと言われる。
  • チャレンジャー
     チャレンジャーとは、「量的経営資源には優れるが、質的経営資源がリーダー企業に対して相対的に劣るような企業」と定義され、リーダーの地位を狙う立場にある企業を指す。通常は業界の2〜4位企業を指す場合が多い。家電で言えば、日立、東芝をチャレンジャーと呼べよう。
  • ニッチャー
     ニッチャーとは、「質的経営資源には優れるが、量的経営資源がリーダー企業に対して相対的に劣るような企業」と定義され、リーダーのようなフルライン政策や量の拡大を狙わない企業を指す。家電業界でいえば、AV事業に絞り込みをかけたソニーがニッチャーに該当する。
  • フォロワー
     フォロワーとは、「量的経営資源にも質的経営資源にも(現在は)恵まれない企業」と定義され、直ちにはリーダーの地位を狙えないような企業を指す。家電業界でいえば、船井電機などがこれにあたる。