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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

1991年玉川大学卒業後、大和證券にトレーダーとして入社しエクイティマーケットの第一線で現場を経験する。95年に同社の社内TV放送である「大和サテライト」のキャスターへ抜擢、それを機にCS番組の出演や企業のIR活動のコンサルティングなど活躍の場を広げる。2000年に財部誠一事務所へ移籍、財部氏が主宰の経済政策シンクタンク「ハーベイロードジャパン」で経済ジャーナリストとして活動中。

【質問はこちらまで】
friday@bizdo.jp


 
 ■第2回
 東京の再開発からみえてくるもの
 
 

 最近、東京の風景ががらりと変わりました。猛烈な再開発ラッシュです。
街を歩きながら「本当にきれいになったな」とつくづく感じます。再開発地域を見上げれば近代的なデザインのビル群がきらきらと輝いていて、神々しい感じです。

 ショッピングや食事に出かけてみると、そこに出入りしている人たちは洗練されていて、とても“クール”。そんな風景の中にいると自然と背筋も伸びてくる。ちょっとした緊張感は気持ちがいいものです。

 六本木ヒルズや汐留・シオサイト、品川グランドコモンズや丸ビルなどに遊びに行った方はお気づきかと思いますが、最近できたビルの特長は「ホスピタリティ」と「本物志向」。

 開催されるイベントなどにも工夫があり、世界で1番きびしい目をもっていると思われる東京人のニーズに応えようと、ディベロッパーが知恵を振り絞ったようすが伝わってきます。
中でも1番重要とされている要素は「食」。

 いまやテナントとして入っている「レストランの格」こそが、そのビル自体の評価を決めているといっても過言ではありません。ディベロッパーは老舗レストランやカリスマ料理人がいる店を自分達のビルに呼び込むのに必死。出店費用をディベロッパーが全額負担する、という話もめずらしくありません。
「お客を喜ばせたい」という企業努力が見えないところで行われているからこそ、人気の再開発スポットは安定的な賑わいを続けているのでしょう。

 とにかく、人気スポットはいつも人でいっぱい。この再開発によって消費が刺激されたのは間違いありません。
「投資のないところに発展はない。投資が興れば、お金が集まる。お金が集まるところに、人が集まり、人が集まればそこに文化が生まれる。それが今の東京だ」(財部誠一著「東京から日本経済は走り出した」講談社)と我が師匠、財部誠一はいち早く、この再開発ラッシュをポジティブにとらえていました。
なのに、世の中で経済の専門家と言われる人たちは、ほぼ全員がほんの少し前までこの再開発には悲観的でした。「こんなものはバブルだ」「新築オフィスビルはがらがらだ。今に負債を抱えて倒産する」などと、報じられてくるものはほとんどが悪口ばかりでした。

 その証拠に、その時に生まれた言葉に「2003年問題」というのがあります。去年、新聞紙面でよく取り上げられたので覚えている人も多いでしょう。これは、再開発ラッシュで新築のオフィスが増えることで、古いビルの空室率が急増し、大きな社会問題になるという危惧から生まれた言葉です。
しかし、2004年の今、東京は空室だらけで大問題になっていますか?
もちろん、なっていませんよね。なっていないどころか、東京は以前にまして華やいでいます。
なぜ、識者達の予測どおりにならなかったのでしょうか。
それは、街は生きているからです。街も人も常に変化をしていて、机上でたてられた計画どおりには決してならないのです。

 たしかにオフィス需要に対して、ビルのみが増えれば、東京中、空室だらけになってしまいます。そこまでは間違っていませんでした。しかし、投資によって街が魅力的に変身し、人の流れが変わり、その結果、その土地に新たな付加価値がつけばどうでしょう。これまでとは違うニーズも生まれるでしょうし、価格が下がれば割安感からその物件を購入する動悸も生まれるのです。そこにまったく気が付いていなかったということです。
こんな記事を6日、日経新聞でみつけました。あるビルのオーナーの話です。

新築のオフィスビルが大量供給され、所有している港区のビルの入居率が下がってきた。知恵を絞ってトランクルームに改造したら、売り上げがオフィスビルの時に比べて7倍近くに増えた。勝因は街中にある気軽さ。多くの倉庫会社が港湾部に集中しているなか、都市部にある利便性が人気を呼んだ。現在は2箇所で展開しているが来年1月までに13箇所まで増やす予定だという。

 ビルの空いたフロアを壁で仕切っただけで利益7倍というから、すごいですね。経営危機で倒産どころか、増収増益。ビックチャンスだったのですね。
また、こんな話もあります。

西麻布のオフィスビルに空室が目立ってきたので、思い切って住居用に改築した。(コンバージョン)。改築といっても簡単なシャワールームと、キッチンをつけただけだ。そうしたら、若い人たちに大変な人気物件となった。

 西麻布に住んでます、ってだれでも言いたいですよね。それが手ごろな家賃だったら、飛びついちゃいますよね。
新しいオフィスビルができれば、老朽化したオフィスビルの空室率は確実に上がります。でも、ほんの少し視点を変えるだけで、問題解決の糸口は見つかるのです。

 今回の話をまとめますと、物事には必ず2面性があって、報じられている側面だけを鵜呑みにすると、世の中の見方を間違えてしまうということです。机上の空論にだまされず、自分の足で出向いて、目で見て、感じたことを信じることがなによりも大事だということです。例えば、あなたが六本木ヒルズで買い物をして「いいところだな」と感じたら、世の中がバブルだなんだと文句を言っていても、それこそが、真実の情報なのです。

 結局、騒がれた「2003年問題」は大きな社会問題にはならず、やり方によっては特需となったわけです。
また、数ヶ月前まで、右へ習えで「不況不況」と騒いでいましたが、先日、GDP3%成長という記事が紙面のトップを飾り、ようやく多くの人が景気回復を認識しました。
でも、高級マンションのチラシや、高級チョコレート店の行列、予約がいっぱいの高級レストランなどの風景を自分の目でちゃんと見ていれば、「これが不況であるはずがない」と、日本経済がとっくに成長に転じていたことが、もっと早くわかったはずです。

 今後、新聞やTVで言っていることが、自分が目で見て感じていることと違和感が合ったら、まずは自分を信じてみてはどうでしょう。

 私も自分の目で見て、足でかせいだ情報を提供していくように努力をしていきます。


 



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