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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

1991年玉川大学卒業後、大和證券にトレーダーとして入社しエクイティマーケットの第一線で現場を経験する。95年に同社の社内TV放送である「大和サテライト」のキャスターへ抜擢、それを機にCS番組の出演や企業のIR活動のコンサルティングなど活躍の場を広げる。2000年に財部誠一事務所へ移籍、財部氏が主宰の経済政策シンクタンク「ハーベイロードジャパン」で経済ジャーナリストとして活動中。

【質問はこちらまで】
friday@bizdo.jp


 
 ■第4回
 銀行復活って本当なの?
 
 

 6月23日の朝日新聞の一面にこんな見出しがでました。
 「大手行ボーナスが久しぶりにアップ」

  これまでマスコミから「犯罪者」のような扱い方しかされてこなかった銀行ですが、今回はめずらしく前向きな記事です。
各行の様子を見てみましょう。

・三井住友…………15年ぶり8%増額
・東京三菱…………3年ぶり8%増額
・住友信託…………9年ぶり5%増額
・りそな……………特別慰労金
・みずほ……………変わらず
・三菱信託…………変わらず
・中央三井信託……変わらず
・UFJ……………20%カット

 以前は横並びだった大手行のボーナスも、最近は銀行ごとに差ができ始めてきていて、明暗が分かれていますね。
 アップしたのは東京三菱、住友信託、三井住友の3行。04年3月期の決算が黒字転換したのを理由に、増額に踏み切ったということですが、業務純益が3期連続で1兆円を突破した三井住友は、なんと15年ぶりの増額で、1番のアップ率となりました。

  でも、これは言い換えると15年間下がり続けていたということです。全体でみると、92年の水準に比べ4割前後もダウンしていたということですから、アップした銀行の行員の方たちは、ようやく下げ止まったか、と、ホッとしているでしょう。

 実はその翌日、日経新聞のやはり1面にこんな見出しがでたのです。
 「大手8行を格上げ」

  米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は23日、不良債権の進捗などを理由に大手8行と三菱証券の格付けを上げた、という内容の記事でしたが、日本の銀行の格付けが引き上げられたのはなんとバブル崩壊後、初めてのことでした。バブル崩壊後、下がり続けた銀行の格付けがついに底をうって、反転したというおめでたいニュースだったというわけです。

  思えば日本経済はどれだけムーディーズに苦しめられたかわかりません。ムーディーズが銀行の格付を下げると、株式市場は恐怖におののき株が暴落するというパターンを何度くりかえしてきたことか。もちろん悪いのはムーディーズではなく、不良債権だらけになってしまった銀行自身なのですが…。

  いずれしても、ムーディーズが8行の格付けを引き上げたことは、長く、深く続いた金融暗黒時代に光がさした思いです。

  「そうか、これで日本の銀行も復活ね!」
 そう言いたいのですが、残念ながら問題はそれほど単純ではありません。不良債権が減少し、財務内容が改善されたらからといって、それですべてOKというわけにはいきません。これから先、どうやって収益をあげていくのかという根本的な問題の解決方法が見えていないからです。

  大企業はいまや昔ほど大手都銀を重要視していません。資金調達の方法が増え、市場を通じて自分達でやれるようになりましたから、銀行に一生懸命こびを売る必要はなくなったんですね。困ってしまった銀行がいっせいになだれ込んだのが個人と中小企業を相手にするリテールビジネスでした。

  個人と中小企業といえば、銀行が1番オカネを貸したくない「危ない貸し手」だったはずなのに、いまやそれが銀行の未来を決定づける命綱になってしまったのですから、銀行というのは本当にいいかげんな商売をやっていると批判をされてもしかたありません。

  でももっといわせてもらうと、これまで敬遠してきた個人と中小企業を相手に、きちんと収益のあがるビジネスができるのでしょうか?

  はっきりいって、いまのままでは難しいですよね。
  だって、銀行員と役人はニアリーイコールというか、銀行員はかぎりなく公務員に近いからです。前例の無いことはやってはいけない。危ないことはやってはいけない。それが銀行員!そんな人たちの集団が突然、方向転換できるとは考えにくいですよね。

 ところが世の中は広い。地銀の中にはすごい銀行があったのです。

 大阪に池田銀行という地銀があります。この銀行は地元で絶大な信頼を得ている銀行で、関西で銀行が倒産するたびに預金が増え続けてきた銀行です。97年以降、6年間の伸び率を比較すると、池田銀行は個人預金の伸び率が全国トップとなりました。(合併行を除く)

 それだけではなく、この池田銀行には驚くべき数字があります。
 融資の総額に対する担保の割合がなんと40%にすぎないというのです。
 住宅ローンを含めての数字ですから、中堅・中小企業に対してどれだけ多くの「無担保融資」をしているか、おわかりいただけるでしょう。池田銀行の服部頭取とお目にかかったときに、融資の基準はなんですかとたずねたところ、こんな返事がかえってきました。
「嘘をつかない。約束を守る。これだけです」
あまりにもわかりやすい!

 要は人物本位だということです。お金を貸しても大丈夫な人か、どうか。その目利きこそが最重要だというのです。
「それに加えて売掛債権が健全であれば、担保などなくても融資はできる」
 服部頭取はにこやかに話していました。

  大手銀行ではできないことですね。ヒトにオカネを貸すのですから、ヒトに対する深い理解を行員がもたなければ融資なんかできっこないということですね。


 



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