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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

1991年玉川大学卒業後、大和證券にトレーダーとして入社しエクイティマーケットの第一線で現場を経験する。95年に同社の社内TV放送である「大和サテライト」のキャスターへ抜擢、それを機にCS番組の出演や企業のIR活動のコンサルティングなど活躍の場を広げる。2000年に財部誠一事務所へ移籍、財部氏が主宰の経済政策シンクタンク「ハーベイロードジャパン」で経済ジャーナリストとして活動中。

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friday@bizdo.jp


 
 ■第9回
 郵政民営化の議論
 
 

 最近、新聞紙面は郵政民営化の記事でいっぱいですね。

 参院選が終了し、政界がようやくおちつきを取り戻したところで、いよいよ郵政民営化に向けての動きが本格的になってきました。

 「年金法案」と「拉致家族」の問題の影にかくれて、しばらく「郵政民営化」は話題にものぼらなくなっていましたが、7月21日、小泉首相が議長を務める「経済財政諮問会議」(内閣府)が選挙後初めて集合し、議論を再開しました。以降、もの凄いスピードで骨格がつくられ、30日にはその中の郵政事業民営化の骨格の発表がありました。

 いうまでもなく郵政民営化は小泉首相の「1丁目1番地」。なにがなんでも「民営化」するぞということで、民営化までのスケジュールはすでに決められています。なんと8月中には経済諮問会議で最終報告がとりまとめられ、来年2月の通常国会に関連法案が提出されることになっているのです。ドイツで先に行われた郵政事業民営化は国益を損なわないよう、10年かけてじっくり議論されたといいますから、この猛スピードは全く不安極まりないところですが、ここにきて良く聞かれることは「何のための民営化なのかわからなくなってきた」という意見です。

 そもそも、郵政民営化が言われはじめたのは92年12月。小泉首相が郵政大臣に就任し、「定額貯金の見直し」を主張したのがきっかけでした。その時の日本はバブルが崩壊し、株式マーケットからいっせいにお金が引き始めました。さらに不良債権問題から、銀行の格付けが下がり、信用力低下が起こりました。そうしたことから、お金が安全で、金利的にも有利だった郵貯に凄まじい勢いで流れ込んだことが背景にあります。

 国際的な金融自由化の流れのなかで、政府保証がつき、金利が優遇され、税金を払わず、貸し出しも行わない金融機関「郵貯」の存在こそが、日本のお金の流れを滞らせ、民業を圧迫している、という議論が活発になり、その主張は特に民間金融機関から後おしされてきました。

 また、同時に構造改革の議論も進み、郵貯を資金源にしてきた財政投融資による公共投資の不透明さや非効率性など、運用面の問題点が指摘され、ここでも郵貯は攻撃されてきました。

 日本の景気を浮上させるためにはリスクマネーを増やさなければいけない、そのために郵政民営化は不可欠だ、と、当時、慶応大学教授だった竹中平蔵経済財政・金融担当大臣もさかんに主張していました。アメリカナイズされた学者やエコノミストはみんなそういっていました。

 「諸悪の根源は郵貯」そういった議論は金融自由化がスタートした時点ではそれなりに説得力をもって聞かれていました。

 しかし、「民営化」=「合理化」「活性化」というイメージも道路公団のインチキ民営化で崩れてしまいましたし、結果的には中国特需とデジタル家電など、企業の自助努力で景気が上向いてきた今、日本人が汗水流して働き、ためてきた郵貯資金350兆円を、リスクマネーに転換することが、本当に国益にかなうことなのか、わからなくなってきました。そんな疑問をはらみながらも、郵政民営化の流れは止まりません。小泉改革の本丸、首相の悲願の大仕事。中身はどうあれ、歴史に残る「郵政民営化」をどうしてもやり遂げたいということでしょう。

 郵政事業は昨年、公社化されましたが、民営化の議論の焦点は、スタートの動機とはずいぶん異なって、郵政の「郵便」「貯金」「簡保」の3事業のうち、「郵便」のことが話題の中心となっています。雇用問題もありますし、反対勢力の族議員のバックには日本中の特定郵便局がいますから、そこからの圧力を押さえ込むために、まずは郵便局の形からつくってしまったほうがやりやすいということなのでしょう。

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