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講師紹介 |

内田裕子(うちだゆうこ)
1991年玉川大学卒業後、大和證券にトレーダーとして入社しエクイティマーケットの第一線で現場を経験する。95年に同社の社内TV放送である「大和サテライト」のキャスターへ抜擢、それを機にCS番組の出演や企業のIR活動のコンサルティングなど活躍の場を広げる。2000年に財部誠一事務所へ移籍、財部氏が主宰の経済政策シンクタンク「ハーベイロードジャパン」で経済ジャーナリストとして活動中。
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friday@bizdo.jp
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■第9回 |
郵政民営化の議論 |
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日本に2万4700件ある郵便局は過剰で非効率という意見から、民営化して、どう合理化するかとメスを入れようとした矢先、郵政公社は最初の決算で2兆5000億円の経常利益をたたき出してしまいました。これは商船三井から郵政公社総裁となった生田正治氏の手腕によるところが大きかったこともありますが、黒字となると、当然、「これまでの形でなにがいけないのか?合理化を進めて国民のお金が透明性を持って、効率的に使われるのだったら、なにも『民営化』にこだわらなくてもいいのではないか?」という意見も出てくるわけです。
改革を進める多くの人が多かれ少なかれ疑問をもっているはずなのに、聞いてみると、「もう決まってしまっていることだから」と惰性で民営化に向けて作業を進めている。全くおかしなことだと腹もたちますが、なす術がありません。
もちろん、郵政公社も偉そうなことを言える立場にあるわけではありません。郵便事業への新規参入障壁は厳然とあるし、法人税、固定資産税、印紙税が非課税であるなど、民間企業とくらべたら、競争条件が甘すぎます。人も多すぎますし、非効率なこともたくさんあるでしょう。しかし、28万人の職員をきちんと食べさせるだけの実績はあげました。ですから今後の流れでは、郵政公社のビジネスが成り立たなくなるような民営化のカタチをとることだけは避けなければなりません。国費で1円も人件費がまかなわれていない郵政公社を民営化するなら、企業として十分な業績をあげ、多額の税金を国庫に納めることが出来るような民営化のカタチを考えることが不可欠です。
銀行や保険業界などからは、郵貯や簡保の事業が事実上、成り立たないような民営化案が財政諮問会議などに提出されていますが、彼らの本音は「民営化」ではなく、「縮小」ないしは「廃止」なのです。郵貯、簡保が縮小、廃止されれば、おカネは黙っていても銀行や保険会社に流れ込んでくるからです。じつは過去数十年のあいだ、金融機関に関するアンケートをとってみると、もっとも好感度の高い金融機関は常に「郵貯」だったのです。その郵貯を「縮小」「廃止」して、民間金融機関に漁夫の利を与えることが、社会正義にかなうのでしょうか。
グローバル化が叫ばれる中、郵便局のスタイルはいささか旧式でドメスティックすぎるかもしれないし、歴史的な役割も、もう終えたのかもしれません。しかし、ここまで、国民に利用され続けてきたのには当然理由があるわけですね。日本の国力となっている国民の貯蓄、信用できる郵便配達、災害の際に1番最初に保険がおりる簡保、特に地方では生活とともにある郵便局、こうした利便性は私たちは気がついていないだけで、もしかしたら他国には決して存在しえない、奇跡のインフラなのかもしれません。
システムを解体するのは簡単。家の近くの郵便局がなくなってはじめて気がついたのでは遅いのです。郵政民営化のこと、ちょっと考えてみてください。
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