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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

1991年玉川大学卒業後、大和證券にトレーダーとして入社しエクイティマーケットの第一線で現場を経験する。95年に同社の社内TV放送である「大和サテライト」のキャスターへ抜擢、それを機にCS番組の出演や企業のIR活動のコンサルティングなど活躍の場を広げる。2000年に財部誠一事務所へ移籍、財部氏が主宰の経済政策シンクタンク「ハーベイロードジャパン」で経済ジャーナリストとして活動中。

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friday@bizdo.jp


 
 ■第23回
 今回の大手銀行の中間決算が意味するもの
 
 

 不良債権残高を見てみると、「まだこんなにあるじゃない!」と思うかもしれません。でも、平成14年には27兆円という途方もない数字に膨らんでしまっていたことを考えれば今期、不良債権残高が12兆3976億円に半減したということは、やり方は強引ではあっても驚くべきことで、あと2〜3年で処理が完全に終わるってこと?と、少し楽観的に見方が生まれてくることも理解できるところでしょう。

 次に純利益を見てください。これまで横並びだった銀行に大きな格差が生まれていることがわかります。
 個別に見ていきましょう。他行より先に公的資金を国に返して、独走していたはずの東京三菱が43%の減益に加えて不良債権残高を増やしています。融資先の業績悪化で不良債権比率が増えたということですが、全体の流れに逆行してます。そもそも東京三菱の不良債権の少なさはバブル期になにもしなかった証拠と言われているように、この銀行は賢くて慎重なのか、ただのどんくさい、ワンテンポ後れているだけの銀行なのか、本当によくわからないところがあります。「下期には格上げが見込まれるので、優位性は変わらない」と銀行側は主張していますが、今後は大量の不良債権を抱えているUFJとの経営統合が控えており、合併のメリットがすぐ出てくると考えるのは難しく、今後も業績は安定せずに上下のぶれることが予想されます。

 東京三菱とUFJを奪い合った三井住友は、不良債権比率半減の目標を達成するための処理費用が963億円かかったということで、思いっきり減益になっています。今後のメガバンクの課題である、投資銀行としての業務では他行に比べて1歩リードしているものの、まだ確固たる収益源といえるには程遠く、厳しい状況です。メガバンク再編以前から、ずっと頭取を続けている三井住友銀行の西川頭取は、全銀協の会長もつとめ、業界内外から高い評価を得ていますが、ここに来て限界が見えてきました。

 一方、大躍進を見せているのが、みずほです。第一勧銀、富士銀、興銀の合併時にはシステム障害で大問題を起こし、国会での証人喚問の際に「実害はない」と発言した前田頭取が大ひんしゅくをかったのは、記憶に新しいところですが、それ以来はおとなしく淡々と業務をこなしてきたという感があります。その、みずほ銀行が純利益トップに出てきました。うさぎとかめという物語がありますが、東京三菱がCMで目立ってみたり、三井住友とUFJを取り合ったり、UFJが金融庁の検査で資料に隠蔽をはかったり、TVで騒がれている間に、トコトコ歩き続けていた「かめ」がまさにみずほ銀行です。みずほのホームページを見てみると、「これから聖域なき改革に取り組んでいく」と改めて経営方針が出されています。
 足場が固まった。ここから組織改革をダイナミックにやっていくんだという、意思が読み取れます。UFJはいうまでもなく、金融庁の怒りをかって撃沈。東京三菱と経営統合となってしまいました。

 さて、この中間決算の数字の達成、不良債権比率半減達成の先に何がまっているのでしょうか。それは「ペイオフの解禁」です。
 金融不安に陥った96年に特例措置として、預金の全額保護が約束されました。これがペイオフ。しかし、これはあくまでも特例措置。異常事態なのです。ですから、金融庁としては、早くもとの状態に戻して、不良債権問題からはじまった金融不安を終わりにしたのです。

 そのゴールがペイオフ解禁です。ご存知の通り、預金が1000万円までしか保護されなくなるわけですが、では、それ以降、もし銀行が破綻したら、1000万円以上は帰ってこないのかというとそうではありません。「ペイオフ解禁」はもう、銀行が破綻する心配はありませんよ、という宣言の裏返しなのです。金融庁だって、バカじゃありませんから、ペイオフ解禁して、銀行が破綻して国民が大騒ぎ、なんてことは絶対にあってはならないことぐらいわかります。

 銀行も個性が際立ってきました。そういう意味では私たちも選びがいがあるってものです。あわてず、さわがず経営者のメッセージや経営方針が各行のサイトに出ていますから熟読して、業績もみつつ、どこ銀行が1番信頼できるか考えて、利便性も加味したうえで、メインバンクを選んでみてください。

 

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