それにしても、政治の理屈と、経済理屈というのは違うものですね。国交がないといっても、日本と北朝鮮の間にはちゃんと貿易があり、日本からの輸出は年間171億円、北朝鮮からの輸入は266億円もあるのです(第2位、第1位は中国)。内訳を外務省のホームページで調べてみると、日本からの輸出は(1)繊維製品(30%)(2)輸送機器(21%)(3)電気機器(14%)(4)機械類(12%)となっています。これは表向きは民生機器だけど、軍事転用されている可能性も小さくはないでしょう。
反対に日本が北朝鮮から輸入しているもの(1)魚介類(47%)(2)繊維製品(30%)(3)鉱産物(10%)(4)電気機器(7%)となっています。特に(1)の魚介類は266億円の47%ですから125億円もあるのです。どういった交渉を経て、取引が開始されるのでしょうね?不思議です。誰か教えてください。でも、築地に詳しいジャーナリストに聞くと、市場には北朝鮮産の札がついている魚介類はいっぱいあるといいます。ですから、たくさん流通しているはずなのですが、スーパーや魚屋では見かけません。おかしいですね。先日、わが師匠、財部誠一の出演する大阪のテレビ番組で放送していた取材VTRにすごいものがありました。北朝鮮でとれたあさりが九州に運ばれ、1回海に撒かれ、1ヶ月程度たった後に水揚げされ「国産あさり」に早変わり、という内容でした。業界では「脱北あさり」っていうらしいですけど、知らず知らずに私たちは北朝鮮産の食品を口にしているのです。買う人がいるから、売る人がいるっていう理屈もあるわけで、日本の水産業界のいいかげんさも、大問題でしょうね。
それが、今回の日朝実務者協議で、冗談とも本気ともとれない、ふざけた態度に、アメとムチ作戦はもうやめて、ムチのみで行くぞ、という強気な態度へと変わってきつつあるのです。
北朝鮮の経済規模(GNI)は157億ドルと発表されています。日本円にして1兆6014億円です。
この数字はどのくらいの規模かというと、例えば、松下電器単体の売上高は4兆200億円です。トヨタ自動車にいたっては10兆ちかくなります。もちろん、正しい比較ではありませんが、その規模の小ささ、貧しさはお分かりいただけるでしょう。本気になれば北朝鮮の経済を麻痺させることは簡単なのですが、それが、最後の切り札ですし、やり方は難しいところでしょう。
ただ、小泉首相は田中角栄が日中国交正常化を果たし、歴史に名前を残したように、日朝国交正常化を成し遂げた総理大臣として名前を残したい気持ちでいっぱいでしょうから、そこはスマートにやりたいと考えていると思われます。
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