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講師紹介


大木ヒロシ(おおきひろし)

ジャイロ流通研究所・所長。「商業界」「ファッション販売」などで執筆多数。現場取材を中心にした講演は具体性が高く、実効性が高い。講演回数は年間150回を超える超人気コンサルタント。大手企業から中小商店までの数多い成功事例を持つ。日本商業コンサルタント協会専務理事。

【質問はこちらまで】
monday@bizdo.jp


 
 ■第6回
 『イノベーションが勝ち組の条件』
 
 

(3/3)

『苺大福・リンスインシャンプーは新製品』

 今から10年近くも前のことだが、ある街に実に美味しい大福饅頭をつくるA屋という和菓子店があった。しかし、食味感覚の変化からか和菓子の人気が下がり、同店も売上は低下の一途をたどっていた。

 そんな中、高校を卒業した息子が後継者として店に入ることになった。しかし、売上は低迷しており「せっかく、倅が跡を継いでくれるというのにこのままでは将来性はない。場合によっては親子で共倒れになってしまう」と思い悩んだ店主は息子を洋菓子店に修行に出した。

 やがて、修行を終えた息子が戻り。A和菓子店は和菓子と洋菓子を製造販売するようになった。店を改装し陳列ケースの右側は和菓子で左側は洋菓子を並べた。
 開店当初こそは売れたものの2ヶ月もすると売上は下がり始め、和菓子のみの時とさして変わらぬ売上に落ち込んでしまった。

 結局、和菓子も洋菓子も近所の大型スーパーの専門売場とさして変わらない。確かに旨いといわれる大福も、その上にランクされる店がないわけではない。要するに、差別化できずに中庸で特色のない売場が和洋並んだだけの話だったのである。

 改装のための借入金の返済、息子の給料と出費は大きく増えたにも関わらず、売上は低迷。その上、生菓子が中心であるため残れば捨てざるを得ない状況になり、廃棄ロスまで出る始末。半年で行き詰ってしまった。

 頑張って製造に励めばロスが増えるだけ。現状では頑張ることに意味は少ない。大事なのは、今ままでとは違う「新製品」が必要であること。しかし、新製品は簡単には出来ない。2人で考えるものの、容易には良いアイデアが出てこない。そんなある日、倅が「お父さん、僕の苺ショートケーキに使っている苺を、生クリームで包み大福の中に入れたらどうだろうか?」と言い出した。

 新製品の誕生である。苺ショートケーキと大福とを掛け合わせることにより、新製品を生み出しのである。これがヒットし、同店はアッと言う間に業績回復を果たしたのである。
 隣り合わせにあった製品を組み合わせることで「新製品」が生まれるケースは、決して少なくない。

 例えば、リンスとシャンプーを掛け合わせたら、リンスインシャンプーという新製品になったし、古くは消しゴムと鉛筆を組み合わせた特許を取得し、大金持ちになったケースもある。
 新製品開発は今あるモノと今あるモノを掛け算することでつくられる場合が少なくない。
 だから、新製品開発は決して難しいものではない。

 次号ではマーチャンダイジングにおける新ビジネスモデル創造のポイントに触れる。

 

 

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