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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

玉川大学で演劇を専攻。卒業後、大和証券に入社。トレーダーとして、エクイティマーケットの第一線で現場を経験。その後、同社の社内TV放送「大和サテライト」のキャスターに抜擢され、広報部へ異動。マーケット情報番組や経営者との対談番組等へ多く出演する。その後、大和インベスターリレーションズで企業IRのコンサルティングを行う。
2000年、財部誠一事務所へ移籍。経済ジャーナリストとしての活動を始める。現在は単行本、雑誌、メルマガ等に精力的に寄稿しながら、TV、ラジオ、講演会でも活躍中。

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  ■第8回  上海取材レポート その4:3億人農民大移動!?  
 

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 しかし、実をいうと、本当に貧しい内陸部の中国人はゆっくり家族で上海旅行、などという余裕はない。上海に来ることができるのは貧しい農民の中でも、少し余裕がある人たちであると考えていいだろう。だから、ここの景色だけを見て、内陸部の経済が上向いてきていると言い切ってしまったら、それは嘘になる。今回のテーマである格差の問題となっている対象の農民は、上海旅行など夢、というような立場におかれている極貧の農民なのだ。
 この所得の低い農民たちの生活レベルをどう引き上げるかが今、議論になっているが、これがなかなかいい政策がないのが現状。所得の低い農民たちの不満が高じて、小さな規模の暴動があちこちで起こっているという話を聞いた。
 実はこの農村問題についても、陳教授が日本人からみると、大変意外な視点を提供してくれている。
「幸い今年の夏の収穫は非常にいい。政府の農業支援の補助金がすでに到着していて、今年は農民の純収入の増加目標5%を達成できます。問題は来年どうなるかです。政府は年5%ずつ収入を増やすという目標をかかげてきましたが、一昨年も、昨年も達成できませんでした。今年は農村支援の交付金も入っており、問題なく目標を達成できるでしょう。気がかりは、来年どうなるかなのです。農民の実質所得、可処分所得がこれ以上増えなければ、中国の内需拡大はとても無理です。」

 その背景をこう述べる。
「都市部における消費はこれ以上増えない。都市住民は所得が増えても、それを消費にふりむけず貯蓄にまわしてしまう傾向が強い。それではだめです。だから、これからの内需拡大の原動力は農村なのです。でも農民の実質所得が増えなければこれも無理です。消費に繋がりません。ここが問題なのです」
 農村の実質所得の拡大こそが、中国の内需拡大の鍵。そして「経済成長」こそが、共産党一党独裁政権を維持するということは前述のとおりだ。だから、中国政府は地方の貧困に対して、税金の免除、医療、保険の充実、初等教育の無料化などの方針を示しているが、これらだけでは大きな成果が得られるとは考えにくいし、いつまでも補助金をバラ撒き続けるわけにはいかない。したがって、最終的にはやはり農業でどれだけ収益が上げられるのかというところにもどってくるのだが、残念ながら現時点では絶望的と言わざるを得ない。なぜなら中国は圧倒的に土地不足なのだ。正確に言うと、農民に対して農地が圧倒的に少ない。具体的な数字でいうと、中国の農民1人あたりの耕地は2000平方メートルに満たず、これで農業での利益を上げていくのは限界があるというのだ。ではそうなるとあとは農民の数を減らすしか道はない。農民には農村を捨てさせて、都市部への移住を促していくことになるという。2020年までに3億人が農業を捨て、都市部へ移住するという予測もあるのだ。しかし、その場合都市部では、そのための新たな雇用を生み出さなければならないのだが、日本2国分以上の人口に新たに仕事を与える・・・と、このように書いてみると、農村の貧困、格差の問題は相当深刻で、解決の糸口は見えない。

 


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