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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

玉川大学で演劇を専攻。卒業後、大和証券に入社。トレーダーとして、エクイティマーケットの第一線で現場を経験。その後、同社の社内TV放送「大和サテライト」のキャスターに抜擢され、広報部へ異動。マーケット情報番組や経営者との対談番組等へ多く出演する。その後、大和インベスターリレーションズで企業IRのコンサルティングを行う。
2000年、財部誠一事務所へ移籍。経済ジャーナリストとしての活動を始める。現在は単行本、雑誌、メルマガ等に精力的に寄稿しながら、TV、ラジオ、講演会でも活躍中。

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  ■第11回 劇団四季レポート その3:劇団四季が拓いた演劇のビジネスモデル  
 

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 最近、劇団四季は新しい稽古場を完成させた。
 こんな贅沢で広々とした稽古場は見たことも聞いたこともない。総工費、数十億円(ちゃんとした数字は教えてもらえなかった)をかけたというだけあって、どこを見ても、ほう、と、ため息がもれてしまう。

 至れり尽くせり、というのが、この新稽古場「四季芸術センター」を取材したときの感想だ。横長の敷地に建設された2階建ての白い建物。それをすっ、と貫く長い廊下。その長さは100m近くもある。その長い廊下を挟んで、大中小の稽古場が10部屋、北側には更衣室やシャワールームなど、俳優が使用する設備が並ぶ。

 特に驚くのは舞台が丸ごと入ってしまうような巨大な稽古場だ。2階まで吹き抜けになっていて、大きなガラス窓から太陽光が降り注ぐ。さらには、俳優が好きなだけ歌やダンスの稽古ができるようにと、ピアノや鏡がついている個室の稽古場が多数つくられている。ジムやマッサージルームは最新の設備。カフェテリアにはテラス席もあって緑の中で食事を楽しむこともできる。しかも、美味しくて、安い。
このような施設で舞台の稽古に専念できる役者は幸せだ。
しかし、こんな思い切った投資はいったいどういう思いから実行されたのか、代表の浅利氏に尋ねた。

「商品を売るための商業棟にあたるのが劇場です。そして工場、研究開発部門は稽古場。
やはりここが充実していなければいけません。一般企業でもここがきちんとしている所
は伸びていますね。しかし、演劇界というところは商業中心。人材育成の基盤がありま
せんので、ここの部分が弱いんです」

 ショービジネスが盛んなアメリカではオーディションは頻繁に行なわれる。NYやロスでは街中にトレーニング施設があり、俳優達にひらかれている。個人で技術を積み上げながらオーディションを受けて一流の俳優に育っていくという環境があり、とくに芸術団体が育成しなくても、レベルの高い俳優を供給するシステムが出来上がっている。反対にヨーロッパの国々は芸術施設に伝統があり、例えばパリオペラ座などは、子供のころから厳しい教育が行われている。しかし、アジアには古典芸能以外は、ほとんどそういった機能はない。浅利氏はこう続ける。

「劇団四季は以前から俳優育成を重視してきました。講師陣も一流の方を外部から呼んできています。その結果、企業としての成績にもはっきり反映されています。育てた人材たちが生み出した利益を、この稽古場に大きく再投資したということですね。この稽古場はキャッシュで買いました」

 現在、俳優の数はおよそ700人。そのレベルは高い。余談だが、四季をやめた俳優は「もとしき」と呼ばれ、その厳しい訓練を受けてきたキャリアにより、さまざまの外の舞台で大変重宝がられ、日本のショービジネスを支えている。
そのマンパワーによって、全国9つの専用劇場で年間3,000回のステージが上演され、営業収益255億円を生み出す。このような超優良企業である四季株式会社は、いまだ増収増益と成長を続けている。

 その成長の理由は(1)作品力、(2)人材、(3)浅利氏のリーダーシップ、(4)9つの専用劇場、の4つが重要で、このうちひとつでも抜けていたら、四季の成功はなかったと思われる。

 

 

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写真撮影/内田裕子

 



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