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10月4日は投資の日。前回書いたように、全国各地でさまざまなイベントが催されている。今月はその取材を行なっているが、今回は10月5日に行なわれた「実践株式講座」に参加してみた。
場所は東京メトロ「茅場町駅」前にある東京証券会館。久しぶりにこの駅を利用した。
私は昔、証券会社に勤務していた。入社して最初の配属が、東京証券取引所の真正面にある兜町ビルだった。その後新しいトレーディングセンターが完成するまで1年間ここに通ったので、この付近の風景にはいろいろな思い出がある。
新入社員時代、慣れないトレーダーの仕事でへとへとになった後、同期の友人とご飯を食べながら、笑ったり怒ったり泣いたり、夜遅くまで話をした。ローテーションで取引所に手伝いに行く日はとても緊張したのを覚えている。
東京証券取引所で立会い取引が行なわれていたその頃、この街は本当に賑やかだった。毎朝、紺のブレザーを着た「場立ち」のお兄さん達が、周辺の証券会社からワサワサと現れては取引所に吸い込まれていった。走って叫んで指を巧みに動かして、億単位の取引を次々と決めていった。その動きはアバンギャルドな舞踊のようでいつまで見ていても飽きなかった。そして後場が引けると、そのお兄さん達がゾロゾロと取引所から湧きだしてきて、紺のブレザーを肩にひっかけて、会社に戻るため方々へ散っていった。私はそんな唯一ここにしか存在しない景色がとても好きだった。
私の見ていた「兜町」はすでにマーケットのピークを超えた風景だったが、それでも、
この街は暖かく、取引所は活気に溢れていた。この取引所の温度が、そのまま兜町の温度となり、ひいては日本経済の体温そのものだったのだろう。しかし立会い取引がなくなってしまってからは、証券会社はもうこの街に執着する理由がなくなってしまった。多くの証券会社は引っ越していった。取引所で注文を付け合せる、才取の仕事をしていた友人も去っていった。それから東京証券取引所はコンピューターの住処になり、音もなく数百万件の注文を処理している。兜町はすっかりおとなしい街になってしまった。あのような面白みのある、人肌的風景はもう二度と見ることはできないのだと思うと、少し淋しい。あれは日本が失ってしまったなにかを象徴した風景なのだと思う。
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写真撮影/内田裕子
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