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それにしても、なぜ澤上氏はこのような考えに至ったのだろうか。
どのような積み重ねがあったのだろうか。澤上氏は、海外の経験から、日本が成熟経済に入っていく段階で何が起こるかがよくわかっていたという。
「これまで日本は長期高度成長が続いていたから、運用なんかいらなかった。企業は工場をどんどん建てて、人を大量に雇って、機械をフル稼働させて、モノを作っていたほうが儲かった。一般の庶民も、企業の成長に乗っかって、ひたすら真面目に働いていればよかった。終身雇用、年功序列で給料は増えるし、年金ももらえる。人生何も心配いらなかった」
経済の発展段階では企業は拡大するため、お金を借りてでも、土地や人材を確保していこうと抱え込む経営があたりまえだった。それでなければ競争に負けていた、そんな時代だ。サラリーマンも人生について考える必要がなかった。真面目に働いてさえいればよかった。あとはいかにゴマをすって人事考課を高めるかくらいしかなくて、余ったお金は預貯金しておけばよかった。日本はそんな幸せな時代が42年にわたって続いた。これは世界の歴史において例がないことだという。しかし、もうそんな時代は終わった。
「経済が発展段階から成熟段階になってくると、企業も経営を変えていかなくてはならない。余分な土地は売る、人も早期退職してもらい、持たざる経営にシフトしなければ競争についていけない。給与も上がるどころか、下がっていく。まだみんな気がついていないけど、これから結構大変なことになる」
サラリーマンの生活はますます厳しくなっていくと澤上氏は言う。それを如実にあらわしているのが貯蓄率の低下だ。貯蓄大国の日本は、過去23%もあった貯蓄率が、2005年には2.8%にまで落ち込んでいる。OECDの平均が8.6%で、日本より低い数字はなんとアメリカだけだという。財産を食いつぶしている状況で、新しい貯蓄はきわめて少なくなっている。
「日本の貯蓄率の低下は止まりそうにないが、その意味に多くの人は気がついていない。これまでのようになんとかなると思っている。でも、日本のサラリーマンはみんなひどいことになるし、実際にそうなりつつある。これからはなんの保障もない。会社はあてにならない。自分は長く海外にいたからいずれ日本はこうなるとわかっていた。だから警鐘を鳴らして、はやく運用に慣れましょう、自分の資産は自分で増やしましょう、と、自分なりにやってきたつもりだ。一刻も早く意識を変えて欲しいと思っているが、まっとうな人は投資なんてやったことないし、イメージすら湧かない、とても手が出せないという状況だ。だったら自分達で運用モデルをつくって、運用の成果、成功モデルを見せたほうが早いだろうと、さわかみ投信を立ち上げた」
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写真撮影/内田裕子
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