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澤上氏の使命感、これはどこからくるのか。澤上氏が在籍していた、スイスの名門プライベートバンクであるピクテは、世界中の富豪の資産を預かり、世代を超えて運用している。顧客との信頼は200年の歴史に裏打ちされており、ありとあらゆる金融商品の知識を持ち合わせているのは当然、世界中にリサーチを配備し、顧客のニーズに叶ったグローバルな分散投資を実現する。預かり資産は2177億米ドル(約25兆4000億円)。そんな名実ともに運用業界の頂点にいた澤上氏だが、一転、「サラリーマンの資産づくりを手伝いたい」といって「自分の街にいちファンド、おらが街ファンド、つくりませんか」と地方を歩き回り、庶民の中に飛び込んでいく。なぜそういう気持ちになったのか。
「俺ね、ピクテにいたら給与もまだどんどん上がっていったの。でもよく考えたら、自分だけすっごい贅沢してどうするの。自分の中学、高校の同期がサラリーマンで、同じくらいの子供がいてさ、教育の悩みなんか抱えているよね。今でもきつくなっているのに、これからもっと生活ひどくなるのがわかるじゃない。助けたい、というおこがましいものでもないんだけど、なんかお手伝いできないかって思ったの。たまたま長期運用してきたから、これやればいいだろうと思ってね。自分だけ高級な酒飲んでも美味しくない。あいつらとコップ酒飲めればいい」
自分の友人達の顔を思い浮かべながら運用しているというのは大変なプレッシャーだろう。下手したら友人を助けるどころか、失ってしまうという、本末転倒になりかねない。そうはならなくても、信頼してお金を預けてくれた友人の期待を裏切るのはきついことだ。だからこそ、そこに澤上氏の本気さを感じることができるし、他には任せられないというもどかしさも感じる事ができる。澤上氏は、本気で投資家の為のファンドを運用するところはほとんどないと言う。
「預貯金、生命保険から運用に入ってこようとする人は本当にいい人たち。で、何も知らない。これまで銀行も郵便局も、客に少しばかりの利子を支払いはしても、稼いでやろうなんて思っていなかった。しかし、これからは銀行も郵便局も利益を追求してくる。現象としてはしかたがないが、稼がれてしまう人たちはえらい目にあってしまう。誰かが味方になって、居場所をつくってやらないといけない。それならうちがなればいい。そういう思いでやっている。日本にはまだまだ心のいい人たちがいっぱいいる。そういう人たちが喜んでくれたら、こんなに嬉しいことはないでしょ」
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