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タイに取材に来ている。
前回タイを訪れたのは2005年2月だったので1年10ヶ月ぶりだ。そのときはサンデープロジェクトの取材「いすゞ自動車株価31円からの復活」という特集の取材だった。経営危機に陥ったいすゞ自動車が井田社長のリーダーシップによって経営を立て直していくプロセスを描いたのだが、いすゞ自動車の一番の収益源となっているのがタイということで取材をしたのだ。タイの自動車事情は独特で、走っている車の6割が「ピックアップトラック」だ。これは日本では走っていないから、名前を聞いてもピンとこないかもしれないが、荷台付乗用車という感じか。そしていすゞは、タイにおけるピックアップトラックのシェアNO.1を10年に渡って維持しているのだ。トヨタでもGMでもなく、いすゞがトップなのだ。昨年はその奮闘ぶりを取材したのだ。
今回の取材はその時の取材から派生したものだ。ケース2、とでもいうのか。
実はタイでいすゞのピックアップを猛烈に販売しているのは三菱商事なのだ。正確に言うと、いすゞと三菱商事の合弁会社である、TRIPECHI ISUZU SALES(TIS)がタイでのいすゞ車の販売を担当しているのだ。2社のパートナーシップの歴史は長く、50年にもなるが、その関係は時代に応じて変化をしながら、着実に事績を残してきた。
前回の取材の時はいすゞの視点からタイのビジネスを取り上げたが、今回は三菱商事の視点で見たタイのビジネスに迫ってみた。全く同じピックアップトラックの事業でも、視点を変えてみると、こうも違って見えてくるのかと大変興味深い取材をさせてもらっている。私は常々思う。視点を変えて事象を見ることはとても大切だと。冷静かつ合理的に物事を分析する際には、視点を変える、俯瞰で眺める、というのはとても重要な作業であると思う。それを地でいくような取材だ。大変貴重な経験であるし、なにより面白い。
しかし、両社にしてみればそれは面白いどころか、大変なフラストレーションがともなう。
車を作ることと、車を売ること、それぞれまったく違う立場で意見を戦わせている。ある瞬間にぶつかって壊れてしまいそうな緊張感を持ちながらも、「タイでシェアNO.1を維持する」という目標を共有することで繋がっている。その上でこれからはタイを拠点に世界展開を目指し、タイでのモデルを各国で応用しようとビジネスは拡大しようとしている。
やはり日本企業はたくましい。
写真撮影/内田裕子
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