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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

玉川大学で演劇を専攻。卒業後、大和証券に入社。トレーダーとして、エクイティマーケットの第一線で現場を経験。その後、同社の社内TV放送「大和サテライト」のキャスターに抜擢され、広報部へ異動。マーケット情報番組や経営者との対談番組等へ多く出演する。その後、大和インベスターリレーションズで企業IRのコンサルティングを行う。
2000年、財部誠一事務所へ移籍。経済ジャーナリストとしての活動を始める。現在は単行本、雑誌、メルマガ等に精力的に寄稿しながら、TV、ラジオ、講演会でも活躍中。

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  ■第37回
「融氷の旅」の真意
 
 

(1/4) 

 中国はなんと外交上手な国か、今回の温家宝首相の来日でつくづく感じた。温首相の動きは完璧だった。

 中国政府は今回の来日を「融氷の旅」とし、温首相は一貫して友好的な姿勢を崩さなかった。これまで毎回、中国の要人が来日する度に「反省だ、謝罪だ」と言われ続けてきた為、日本人の多くはこう思っていた。「あとどれだけ謝ればいいのだろうか」と。そのようなストレスを感じ続けてきた日本国民にとって、今回ほど心安らかに中国からの客人を見ていられたことはなかったのではあるまいか。
 12日に行なわれた、温家宝首相の国会演説は、日中の歴史の中で大きな転換点となるのは間違いないだろう。なぜならば、中国政府が公式な場所で日本のこれまでの「謝罪」に対して評価したのは初めての事だったからだ。しかも、その演説は一部始終中国全土に生中継されていたというのだから驚きだ。中国国民に対して、言論、情報の統制を行なっている中国政府が、なんの計算もなしにそのような行動を取ることはありえない。今回の中国政府が日本に対してとった友好路線がただの社交辞令でないということはあきらかだ。日中はたしかに新しい時代を歩み始めた。これは本当に素晴らしい事だと思う。
 日本の政界もその友好ムードを全面的に受け止めた。
「ようやくこの問題にも終わりが見えてきたのか」と長く続いた責め苦から開放された安堵感からか、温首相の国会演説の際には、与党だけでなく野党からも割れんばかりの拍手が起こった。同時に財界でも温首相を歓待した。マーケットとしての中国の魅力は今後ますます高まるばかりであり、わざわざ敵に回す必要などどこにもないということは多くの財界人は知っている。

 温首相の知的で穏やか、そして美しい発音の北京語を聞いていると、これから日本と中国は友好関係を築いていけるのではないかと、つい錯覚してしまう。
しかし、相手は中国である。そんなに単純な話であるはずがない。これで氷がついに溶けたか、などと思い込んではいけない。

写真撮影:内田裕子

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