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講師紹介


内田裕子(うちだゆうこ)

玉川大学で演劇を専攻。卒業後、大和証券に入社。トレーダーとして、エクイティマーケットの第一線で現場を経験。その後、同社の社内TV放送「大和サテライト」のキャスターに抜擢され、広報部へ異動。マーケット情報番組や経営者との対談番組等へ多く出演する。その後、大和インベスターリレーションズで企業IRのコンサルティングを行う。
2000年、財部誠一事務所へ移籍。経済ジャーナリストとしての活動を始める。現在は単行本、雑誌、メルマガ等に精力的に寄稿しながら、TV、ラジオ、講演会でも活躍中。

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  ■第38回
ロシア・サハリン2の真相 その1
 
 
(3/3)

 資源開発において、探査の結果そこに石油や天然ガスが埋まっている事はわかってもそれだけでは何にもならない。肝心なのは、それを掘り出して商品化しお金を得ることだ。そのためにはインフラが必要になる。サハリンの開発でいうと、海中につくられる巨大な設備、採掘された資源を送るためのパイプライン、処理プラント建築、タンカーが寄れる港の整備し、管理会社の設立運営など。採掘した資源を輸出できるようにするには、莫大な投資が必要になる。当時のソ連にはそのようなビッグプロジェクトが運営できるほどの資金もノウハウもない。そこで登場したのが外資である。サハリン2、最初の参加企業は米国のマグダーモット社と、三井物産であった。
 しかし社会主義だった当時のソ連に当然のことながら外資の利益を守るような法律はなかった。合弁会社を設立するにしても、ソ連の法律では外国企業のは出資比率は49%以下に制限され、事業主体者になることは認められなかった。また、税制も基本的には国内の税制が適用され、優遇措置もほとんど受けらなかった。外国企業がソ連との合弁ビジネスで利益を上げることは絶望的だった。また、労働組合擁護の色合いが濃く、外国との合弁会社ということになれば労働力は割高に設定され、経営を圧迫する可能性も高かった。それどころか、ある日突然に合弁企業がソ連に接収されるというリスクもゼロではなかった。
 ソ連でビジネスをすることはハイリスクであると理解しながらも、手を上げる企業がいたというのは、いかに資源の鉱業権を持つビジネスが魅力的なものであるかということを表している。中東のオイルマネーを見せつけられてきた企業は、資源開発がどれだけの富をもたらすかということを十分理解していた。それだけにソ連の資源開発というビッグプロジェクトへの夢をあきらめられなかったのは想像に難くない。そこで外国企業は自らの利益を守り、ソ連も納得する資源開発方法を考えだした。それが生産分与方式だった。これは資本も技術もない資源保有国が外国企業の資本と技術を利用して資源開発をおこなう手法のひとつだ。形式上は資源開発の主体者は資源国ということになるが、それはあくまでも形式上で、実際の開発は資本と技術をもった外国企業が行うという仕組みだ。サハリン2についていえば、米国マクダーモット社と三井物産が資金も人も技術も出して採掘する。そして堀り当てた資源は資源国と投資企業に決められた割合で配分されるという考え方だ。海洋技術も資金もなかったロシアにとっては、まさに渡りに船。またマクダーモット・三井物産連合にとっても好都合。両者が納得する仕組みに見えたが、ソ連はお人好しではない。ソ連からロシアへと体制がかわるや、ロシアは自国に都合のいいような契約へと変更を迫っていくことになる。(つづく)



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