(2/12)
そのベンチマークの何が気になったというのか。
「運用会社に入ったばかりのときは、なんの疑いもなくベンチマークを受け入れていました。しかしよく考えてみたら、それには無理があることに気がついたんです」
村山氏はその理由をこのように続ける。
「TOPIXに比べて勝ったか負けたかなんていう話は、あくまでも業者の都合なんです。ベンチマークという評価基準をつくることで運用会社同士の競争が生まれる。競争があればビジネスは拡大していく。結果的にベンチマークはファンドを売り込むための、業者に都合の良い道具でしかないということに気がついたのです。運用で大事なのはエンドユーザーの資産を増やすこと。ベンチマークという考え方はそれをまったく考慮していないということがわかったのです」
確かに運用会社にとってベンチマークの活用は便利だ。
ファンドの運用がTOPIXに勝ったというのは、ある期間、相場に勝ったという印象を与える。上回った分はそのファンドで運用した「付加価値」として資産に乗っかって得をしたような錯覚が起きる。反対にファンドの運用成績が前期に比べて悪くなっても、「だってマーケットも悪かったから」といい訳もしやすい。
ベンチマークがあって都合が良いのは運用会社だけではない。証券会社にとってもいまやベンチマークはなくてはならないものだ。証券会社で販売するべきファンドを選ぶ際に、基準がないと良し悪しの判断ができない。これでは仕事にならないのだ。
「証券会社の最大の関心事はどれだけ手数料をもらうか。運用会社はベンチマークで勝てるかどうか。エンドユーザーが儲かって喜んでいるかというのとはまったく別問題になっているのです。残念ですが、そこが一致しないのが金融の世界なのです」
個人投資家にとっては、資産が確実に増えているかどうか、それこそが重要なのだ。
1・2・3・4・5・6・7・8・9/10・11・12
・13・14・15・16・17・18・19・20・21
バックナンバーへ
|