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講師紹介


川田茂雄
(かわだ・しげお)

1945年、東京都生まれ。都立高校卒業後、某カメラメーカーに入社。製造部門、消費者相談室、各サービスセンター所長を務め、多くのクレームを解決する中で消費者問題の大家とも対決、以後、友好関係を築く。2002年、退社。現在「クレーム処理研究会」を主宰、各企業へのCS指導、講演活動を行なっている。


   第18回  クレームとは何か?  
 


 販売やサービスに携わる人達の間では、「クレーム」という言葉はかなり幅の広い意味で使われているように感じます。

 お客様が商品やサービスに対する不満や意見、要望を言ってくる場合だけでなく、単に自分の実力不足で解決出来ない問題や自分の失敗までをお客様のせいにして、責任逃れのために「クレームだクレームだ」と騒いでいるようなケースも時折見かけます。

 このようにクレームという言葉は便利に使われていますがここでは、従来からの一般的な見解としての捉え方を確認しておきたいと思います。

■クレーム(claim)とコンプレイン(complain)

 お客様が企業に何か文句を言ってきた場合、そこに法律的な根拠があり、請求内容が法定内容であるものだけを「クレーム」とし、それ以外は、単なる苦情、不平、不満「コンプレイン」として扱うというのが従来からの一般的な捉え方と考えて差し支えないでしょう。

 ここで該当する主な法律は「民法」「消費者保護基本法」「製造物責任(PL)法」などですが、製造販売業においてはその大部分が売買契約に関わる問題とそこから派生する不法行為の問題、そして最近では製造物責任の問題があります。

 ひとつの問題を売買契約上の問題として扱っているうちは過去の類似判例もあり、そんなに心配することは無いのですが、第10回「クレームは何故起きるのか?」でお話しました「消費者の4つの権利」など、消費者側からの理論はどんどん先行してきており、法律の条文、判例だけに囚われることなく法の精神に関わる部分まで充分に考えて行かざるを得ない時代になってきていると思います。

 ここで、あらかじめお断りしておかなくてはいけませんが、私は、法律の専門家では有りません。ただ、クレーム処理に関わる法律を実務的にはどのように捉え、対応してきたかというレベルのお話ですので、あくまで、そんな考え方もあるのかという程度のご参考にしていただきますようお願いします。

 多くのクレームは、「法律的にはこうだから、こうする」というのは、なかなかそうは行きません。けれども、何かしっかりとしたものを基準にせざるを得ない。そうしないと、もう、メチャメチャになってしまうわけです。

 そして、実務的なクレーム処理というのは、クレームとコンプレインの両方について考えなければ充分ではありません。



■クレーム(claim)とコンプレイン(complain)

 クレームを法律的に見ると大きく4つのタイプに分かれます。それは、

(1)取引の成立過程で起きるクレーム

(2)取引の履行過程で起きるクレーム

(3)取引の客体に瑕疵がある事を原因とするクレーム(瑕疵担保責任)

(4)取引の客体に「欠陥」がある事を原因とするクレーム(PL) と区分出来るでしょう。


■第一のタイプのクレーム

 これは、取引の成立過程で起きる問題で、クレームの多くがこの時点での問題を抱えているのです。商品を売買するに当っては、商品とその対価、金額を特定することが必要ですが、それは「品名」「品種」「品質」「数量」そして「包装」の5項目を満足させなければなりません。

 しかし、ここになかなか特定するのが難しい項目があります。それは「品質」なのです。売り手と買い手が両者の合意で特定するという事になるわけですが、メーカーが言うところの品質とお客様が想定する品質の間にどうしても差異が生じるのです。

 メーカーが打ち出す品質は、メーカーの想定した品質(設計品質)、具体的に備わっている品質(製造品質)、そして販売される時の品質(販売品質)で、これらは相当に明確に打ち出されているつもりなのですが、どうも性能や構造に偏り過ぎている傾向があります。

 しかし、お客様が見る品質は、決してメーカー側が考えているような品質を考えてはおりません。操作性が容易であるとか、耐久性があるとか、故障の無いこと、安全性が高いことなどメーカーが考えている品質とはだいぶギャップがあるのです。


■「動機の錯誤」

 そして、ここに大きな問題があるのです。商品についての特定の不完全さが返品につながるのです。「使い物にならないから返す」という主張は「動機の錯誤」といわれ民法95条において、契約上重要な錯誤があった場合には、その取引は無効になるのです。

 動機の錯誤が表現されていることが大切ですがお互いにやりとりしたものを元に戻すことになるのです。

 「ブランドを信じて買ったのに、裏切られた」「カタログを見て買ったのにカタログ表示とだいぶ違う」ということになると、その商品について、修補出来なかったり、代わりのものをお渡しできないと返品につながります。

 購入検討段階での充分な説明、カタログ表示、デメリット表示など情報開示が最も必要とされる部分なのです。

 

 



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