前回は、売買契約成立時点での想い違い(動機の錯誤)がクレームになることをお話しました。これを第1のタイプのクレームとしましたが、今回は、取引の履行過程に原因のあるクレームについてお話します。
これは商品の引渡し過程で起きるクレームで、品物とその金額を特定したものを、決めた通りに引き渡すことが必要ですが、この時、日時、場所、方法を明確に決めておくことが重要です。
このあたりへの意識が薄いとクレームになります。私が扱ったカメラでは、主に流通に入った時点から、つまり特約店、小売店を通してお客様の手に品物が渡るまでの時点で発生する問題ですが、納期を守らなかったり、何かの事故で納期に間に合わなかったりするとクレームになります。
■クレームの事例
プロ野球キャンプの取材を最新の高性能デジタルカメラで撮影し、画像を直ぐにメールに乗せて本社に送り印刷するというような計画をしていたのに、デジタルカメラの納品が期日までに間に合わなかったりしますと、大幅な計画変更にならざるを得ませんから、単に、納期がおくれたというだけの問題にとどまらず、拡大損害が出てきますので、気をつけなければならないところです。
また、家電製品などですと、設置の方法が悪いと、商品の性能が満足されないばかりでなく他にも大きな被害を出したりしますからその商品の代金分の弁償だけでは済まなくなってきます。
全自動洗濯機を購入して据え付けてもらったが、しばらくするとジャジャー音がするから行って見ると、ホースが抜けてあたり一面水浸しになっている。階下の押入れの中にまで水が漏れて文句を言われる。こうなると拡大損害が発生して大きなクレームになってしまいます。
納品遅れは義務不履行の1種です。納品の仕方が悪いと不完全履行、債務不履行ということになります。つまり第2のタイプのクレームにおける法定根拠は、「履行遅滞」、「履行不能」、「不完全履行」の3つになり、損害賠償の請求と契約解除が考えられますので注意が必要です。
■第3タイプのクレーム
これは、取引の客体に「瑕疵」があることを原因とするクレームです。前述した2つの問題が完全に守られ、商品に「瑕疵」が無ければ売買契約は完璧に行われたことになるのですが、ここに「瑕疵」(キズ)が存在するとまだ取引は完遂されていないのです。
「瑕疵」というのは2つの問題を抱えています。それは、不具合がその商品単体に留まる場合と、もうひとつは、商品の不具合に留まらず商品の外部へ拡大して不具合を与える場合です。
「カメラが故障してシャッターが切れず写真が撮れない」というのは、最初のタイプの瑕疵ですが、「カメラはあたかも正常に動いていたのに写真が撮れていなかった」というのは、何本ものフィルムの損失と大きな機会損失が発生しますので後者のタイプの瑕疵になってきます。この後者のタイプの瑕疵が、例えば充電器から火災になり大きな被害を出したとか、人命に関わったりしますとこれは「欠陥」と呼ばれます。これは物理的な損害であり、拡大損害を生じるような瑕疵です。
「瑕疵」についての損害はこの2つの問題が出て来まして、最近では製造物責任の問題が絡んでくるとても重要なクレームになります。以上が法律的に見たクレームの全てです。
ここで、「瑕疵」という言葉の理解ですが、設計上の品質、製造上の品質、販売上の品質に欠点がある場合となりますが、設計上の品質に瑕疵がある場合には回収の対象となりますから注意が必要です。設計品質での問題はめったになく、設計品質通りに作られていなかったという製造品質の問題、これが1番多いわけです。
「瑕疵」というのは、商品が本来保有すべき品質や性能を欠く場合をいいますが、
(1) 客観的な欠点がある場合
(2) 主観的な欠点がある場合
(3) 客観と主観の中間的な欠点がある場合
これら、取引上期待される性能を欠く場合となります。
(1)の場合は、商品が通常予想されるような期待を欠く場合で、多くの単純故障がこれにあたります。(2)の場合は、一般向け商品を業務用として特定目的にも使えると宣伝しておきながら業務用の使用には耐えられなかったような場合に該当します。(3)これは、メーカーが予測しなかったような使い方をされた場合に起こる事故、そして複数の人が起こすようなものが該当します。
次回は、瑕疵担保責任について考えてみたいと思います。
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