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講師紹介


川田茂雄
(かわだ・しげお)

1945年、東京都生まれ。都立高校卒業後、某カメラメーカーに入社。製造部門、消費者相談室、各サービスセンター所長を務め、多くのクレームを解決する中で消費者問題の大家とも対決、以後、友好関係を築く。2002年、退社。現在「クレーム処理研究会」を主宰、各企業へのCS指導、講演活動を行なっている。


   第20回  瑕疵担保責任  
 


 取引契約において、品物と対価がきちっと特定されて、納期通りに品物が納められ、対価が支払われ、その品物に「瑕疵」がなければ取引は完璧に行われたことになるのですが、品物に「瑕疵」があると取引は完遂されていないことになります。

 瑕疵責任というのは非常にわずらわしいものが多く、エキセントリックになるのが一般的です。

■事例

  • 一眼レフカメラには、シャッターを切るたびに瞬間的に上下するミラーがありますが、このミラーの制限緩衝材としてミラー受けモルト(スポンジゴム)が使われています。このモルトが6年経ったらべたべたになってミラーを汚した。これは瑕疵ではないか?
  • カメラのストラップについている肩当の合成ゴムが数年経ったら劣化して背広を汚した、ワイシャツを汚した。これは瑕疵ではないか? となりますとだいぶややこしくなってきます。 カメラは10年瑕疵担保責任があるではないか。よくお客様が言ってくる問題です。

 実に厄介な応答しにくい問題です。6年目になっておかしいと言ってきた場合に、どう回答したら良いのか?本当にばかばかしい問題なのかどうか、考えて見る必要があります。


■瑕疵担保責任2つの制限

 法律論としては瑕疵を根拠に「瑕疵担保責任」と呼ばれる法定根拠になります。民法の566条と570条の2つです。しかし、瑕疵は何でもかんでも性能の欠如や不具合があった場合に請求出来るとは書いてありません。2つの条件で限定されているのです。それは、次の2つです。

イ.「瑕疵」が原始的なものであること
ロ.「瑕疵」が隠れたものであること

こう、限定されております。

 原始的という意味は、売主から買主に商品が引き渡される以前に既に、欠如、不具合があったということです。買主がさんざん使っておいて商品が劣化してもこれは第3のタイプのクレームにはならないわけです。

 商品の引渡し以前に既に内在していて、引渡し後に顕在化してきたような場合をいうわけです。そして、「隠れたもの」とはなんでしょうか?これは、一般の人の注意能力、普通の能力では解らない場合をいいます。


■表見的な瑕疵

 知っていて買った場合には瑕疵担保責任は問えません。いわゆるダンピング品などには通常瑕疵があると認識されておりますからこれは隠れた瑕疵とは言えないことになります。

 モデルチエンジによるものとか、キズもの、大幅にディスカウントして売られているものがあります。お店では年に一度大蔵棚ざらえなどをやって在庫一層処分などをやりますが、こういうものにはそれなりの瑕疵があるのを前提として売っているわけですから、買った本人、その客が知らなくても、一般の人には十分わかると判断されるわけです。これを「表見的な瑕疵」が有るといいます。これは決して第三のタイプのクレームにはならないのです。


■瑕疵担保責任に対抗するには

 瑕疵担保責任についてのクレームが起こったら、この瑕疵を徹底的に解析する必要があります。その中身をよく解析して製造にフィードバックして行き、以後の製品からは事故を無くすように心がける、これが何よりも重要です。

 瑕疵担保責任が起きた場合、メーカーが悪いのか、ユーザーが悪いのかを突き詰める場合、どうしても故障解析をする必要があります。ユーザークレームが正しいかどうかを見るためには徹底的に故障解析を行うわけです。

 瑕疵担保責任を追及してくるのは、それなりの法律知識もあり、理論的で、いわゆるうるさい人が多いわけです。瑕疵担保責任と言っても瑕疵損害を払えば済むことなのですが、多くはハッタリをかけてきますからややこしくなるわけです。

 クレーム処理の見せ場は、まさにここにあるわけです。お客様の言うことに対して、直ぐに事故解析をやります。この瑕疵が原始的なものかどうかを判定するのです。原始的なものでないなら企業側には責任はないということになります。私は、この事故解析を技術に任せるだけでなく、積極的に現場に飛び込んで自分で調べたり、調査に立ち会ったりしました。これをきちんとやることがお客様に納得いただける解決の糸口を見つけることになるからです。

 

 



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