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講師紹介


川田茂雄
(かわだ・しげお)

1945年、東京都生まれ。都立高校卒業後、某カメラメーカーに入社。製造部門、消費者相談室、各サービスセンター所長を務め、多くのクレームを解決する中で消費者問題の大家とも対決、以後、友好関係を築く。2002年、退社。現在「クレーム処理研究会」を主宰、各企業へのCS指導、講演活動を行なっている。


   第23回  商品の欠陥に関わるクレーム  
 

 これは第3のタイプのクレーム(商品に瑕疵がある場合)を更に区分したものですが、商品に、いわゆる「欠陥」が有る事を原因とするクレームです。クレームを法的に見た場合の最後のケースになり、製造物責任法(PL)へと発展していくのです。

■「製造物責任」と「欠陥」

 これは製造物責任の問題です。瑕疵が商品そのものの事故にとどまらず外部の物や人に危害を加えることがあります。テレビの発火事故などで代表されますが、重大な事故でしてテレビ本体だけの事故だけでなく外部に被害を与ええることになります。拡大損害を生じるような瑕疵、これを「欠陥」と呼んでいます。

 消費者の多くは、この「欠陥」という言葉を直ぐに使いたがります。欠陥が出たら何でもかんでもメーカーが責任を負えという非常に短絡的な発想、考え方が先行してきました。

 第1のタイプのクレーム(動機の錯誤)から第3のタイプのクレーム(瑕疵担保責任)のクレームまでの保証は、大体その商品の値段でと止まっていましたから大した事はなかったのですが、このクレームの場合は額が莫大になってしまいます。この場合、

  • 瑕疵損害
  • 物理的損害(人や物について生じた損害)
  • 純粋経済損失・エコノミックスロス(経営上の損害)

の3つが出てきます。

■「欠陥」と「不法行為」

 商品の欠陥を原因とするクレームの法定根拠は709条「不法行為」になりますが、昔はテレビから出火して家が焼けた場合でも、消費者がメーカーへ請求しても、なかなか賠償を取れなかったのです。
メーカー側が「うちには責任が無い」と開き直った場合、消費者側は不法行為の要件事実を全部論証しなければなりません。それは、

  • 不法行為主体があること
  • 権利、法益の侵害行為があること
  • 損害の発生があること
  • 因果関係があること
  • 不法行為の主体が責任能力を有すること
  • 権利、法益の侵害が加害者の故意・過失にもとづく事

また、

  • 侵害行為が遵法なものであること

など、難しい問題が沢山あるのです。

 しかし、テレビは焼けてしまっているし、企業の厚い壁がありますから資料はなかなか入手出来ません。テレビの発火事故についてさえもメーカーに責任があるとはなかなか言えなかったのです。どういう欠陥があってどういう過程で出来て、メーカー側に不注意があったかどうかなどはまず、立証できません。

■「故意・過失」と「因果関係」

 しかし、法律は民法709条を厳密に求めてきます。こういったことから消費者を救済しなければならないという考えが現れて、消費者が論証出来ない要件事実のうち、「故意、過失」、「因果関係」を除けば論証は容易になるわけですから、法定根拠の「要件事実の論証」を消費者にとって楽なものにしてあげることになって行ったのです。

 裁判所が被害者の立場に立って軽減処置をやったわけです。要するに具体的な内容は問わず、「事実上推定されれば良い」としたのです。過失があったかどうか解らなければ裁判所が推定してあげましょうとこうしたわけです。

 しかし、「欠陥」の程度ですが、それは重大危険でならなければならず、何でもかんでも商品について裁判所が救済してくれるわけでは有りません。基本的には、あくまでも709条の論証を求めてきます。

■PLクレーム

 以上の「製造物責任」の問題を進化させてきたのがこのPLの考え方です。PLとは、設計、製造もしくは表示に「欠陥」がある製品を使用した消費者がその欠陥の為に受けた損害(人命、身体もしくは財産の損害)に対して企業が負うべき責任となっております。

 そして「欠陥」とはその製品が通常有すべき安全性を欠いていることを言い、また通 常期待されるべき表示、警告がないため安全性を欠く場合も含むとなっております。 PLについては、皆さん詳しい方が沢山おられますので、さわりだけにしておきます。

 以上が法的に見たクレームの全てですが、注意しなくてはいけない事は、今までの判例では法律違反にはならなかったからといって、明日も同じように判断されるかどうかはわからないということです。常に、消費者、弱者の立場に立って考えていかないと、大きな間違いを犯すことになりかねませんので注意が必要です。

 

 



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