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講師紹介


川田茂雄
(かわだ・しげお)

1945年、東京都生まれ。都立高校卒業後、某カメラメーカーに入社。製造部門、消費者相談室、各サービスセンター所長を務め、多くのクレームを解決する中で消費者問題の大家とも対決、以後、友好関係を築く。2002年、退社。現在「クレーム処理研究会」を主宰、各企業へのCS指導、講演活動を行なっている。


   第1回  イントロダクション 『クレームを解決するということ』  
 

 表面に現れた問題を解決するだけなら、クレーム処理はそれほど難しい仕事ではありません。丁寧にお詫びして、納得の戴ける対応をすれば解決できるケースが殆どです。
 しかし時々、完全に解決したと思っていた問題が再度蒸し返されたり、暫くするとまたやってきて、以前とは違う問題を提起してくる場合があります。

 これを特定のお客様が繰り返すようになりますとこれは一つの赤信号です。表面に起きたクレームは解決していても真の問題が解決されていないケースが考えられます。
 やはり、表面に現れている問題だけではなく、何故お客様はクレームを主張しているのかの裏側まで見抜いて対応して行かなければ、何度でも同じようなクレームを繰り返す事になります。

■クレーマー

 その結果、「あれはうるさい客だ、クレーマーだ」と決めつけてしまうような事になりますと、今度は、思わぬところで反撃を受けて大きな問題に発展してしまうような事にもなりかねないのです。
 過去には一流企業が、ごく普通のクレームを自分の所で処理するのが大変だからと、あちこちたらい回しにした挙句、特別顧客専門の部署へ回してしまった。
 ここは、特別顧客が専門ですから、当然のこととして 「あんたみたいなのは『お客様』っていわないの、『クレーマー』って言うの!」 などと、過激に対応した結果は、ホームページに載せられてしまい、たちまち全国へその対応が暴露され、大きなダメージを受ける結果になってしまったのです。

■真の問題が隠されている

 また、マニアル通りきちんと説明して、お客様にも充分理解を得て無事解決出来たと思っていても、暫くしたらお客様が1人もいなくなっていたというようなことが起こりかねないのが現在のクレームなのです。
 このように、表面に現れたクレームだけに囚われていると、お客様が本当に求めているものは何なのか? に気が付きません。その結果、かえって問題を大きくしてしまい取り返しのつかないような危機にまで見舞われることにもなりかねないのです。
 そこで、私は、クレームには色々な形態があり、それぞれに適した対応をして行かなければなかなか問題は解決しないという事を、このシリーズで詳しくお話して行きたいと考えております。

■クレームはお客様の正義の発露

 最近はクレーマーだとか企業ストーカーなどという言葉が良く使われますが、これは安易に使う言葉ではありません。
 自分の意見をきちっと主張する人は、1つの問題に対してだけでなく、身の回りに起こる不合理と感じられることにはきちっと意見を言う事が多いでしょうから、あちこちに意見を言って行くことになります。
 これを見て、世間の人は「あの人はうるさいからね…」などと言いますが、間違っても企業の人間がこういった人達をクレーマーなどと呼ぶことのないように注意をしなくてはいけません。
 こういった、意見をきちっと主張してくれるお客様がいればこそ企業は自分の弱点に気づき、改善改良が出来るのです。まさに、クレームはお客様の正義の発露であると理解して、真摯に聞く耳を持たなければなりません。
 しかし、この「聞く」ということも実はとても難しいことなのです。企業が絶対の自信を持った商品やサービスを提供していく姿勢は解かりますが、やはり、お客様がどのようにそれを理解し、どのような使い方をするのかはなかなか解からないという畏れを知るべきです。

■真摯に聞く耳を持て

 絶対の自信がある企業は、お客様の言う事をなかなか理解できません。自信があるだけに防衛のフェンスを高く張り、「文句を言っているのは、あんただけだよ」と聞く耳を持たないのです。
 これを防ぐには、開発者は、90%の自信と10%の畏れを持ってお客さまの言葉に耳を傾けて行く必要があります。

 次回は、「人の振り見て吾が振り直せ」と題して、まずは、クレームから逃げてはいけない例題をあげて、応援してくれる仲間の大切さをお話します。

 



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