ビジネスお役立ち資格集
 事務職系、営業・販売系、クリエイティブ系、スペシャリスト系、その他

各種ビジネスマナー集
 入門者から上級者まで

各種ビジネス文例集
 すぐに使える例文が150以上!

ビジネスキーワード集
 経営戦略、組織、人事、社会、経済など

リンクについて

●QuickTimeの基本設定について





ちず丸へGO!






 

 




 
講師紹介


川田茂雄
(かわだ・しげお)

1945年、東京都生まれ。都立高校卒業後、某カメラメーカーに入社。製造部門、消費者相談室、各サービスセンター所長を務め、多くのクレームを解決する中で消費者問題の大家とも対決、以後、友好関係を築く。2002年、退社。現在「クレーム処理研究会」を主宰、各企業へのCS指導、講演活動を行なっている。


   第8回  クレームの形態区分 「電話魔型」  
 

■電話魔X氏

 神奈川県に住むXさんというお客様から電話が入り出したのは、私が報告を受けるかれこれ5年前にさかのぼります。最初は、「カメラが壊れた。修理に出すからよく見ておいてくれ」というよな簡単ものだったようです。

 しかし、電話をしてくるのは日曜日も営業している、銀座SSで、修理品を送るのは、自分に便利な工場直送だったものですから、「指定した箇所が治っていない」というような行き違いが起きたり、「電話で言ったのにやっていない」だの、「そんなこと聞いていない」だのと問題が起きたりして、段々と電話が長くなって行ったようです。


■再修理を繰り返す

 そのうち、何度修理しても、直ぐに壊れた、ダメになったと、再修理を繰り返すようになりました。私が、報告を受けた時には、もう毎回のように再修理の連続で、まともに修理料金がもらえていない状況でした。

 「おまえのところは技術がヘボだから何度修理に出しても同じように壊れる」というのがX氏の言い分のようでしたが、再修理の度に、それも雨が降ると必ずと言っていいほど昼間から電話をして来て、ああでもない、こうでもないと長電話で色々クレームをつけられるのでスタッフもいささか音を上げ始めていたようです。

 電話に出たのが男性スタッフなら、次々と修理方法やカメラやレンズの構造について質問を浴びせ、至急の回答を求めて悩ませ、女性が出れば、クレームはそれほどでもないのですが、グリコの景品でカメラが当ったとか、ルイ・ヴィトンのバッグはどうのこうのなどたわいもない世間話を延々と続けるのだといいます。

 こんな報告を受けて、前任の所長はどうしていたのかを聞いて見ましたが、スタッフの話によれば、「そんなものさっさと切っちゃへ!」と無責任に言うだけなので、そんなことしたら、クレームになるのは目に見えているから、もうそれ以上報告してもしょうがないと諦め、スタッフは自分達でなんとか穏便につき合ってきたようでした。

 この話を聞き私は、これは1度本人に会って直に話さないと問題解決は難しいと判断し、お客様の家を訪ねることにしました。


■江ノ島の自宅を訪問

 過去の修理票の控えや販促品を持って江ノ電江ノ島駅で待ち合わせをしたのは、ギラギラと真夏の太陽が輝く午後でした。私は、この暑いのに背広姿で汗をびっしょりかいていましたが、X氏は、麦わら帽子に半ズボン、ナップザックにゴムぞうり、そしてママチャリに乗って気軽にやってきました。

 驚いたことにはママチャリの前カゴには総額100万円もする最高級カメラと超望遠レンズが無造作に放り込んであったのです。クッションは何にもありません。これで走り出せば、まさに振動・耐久試験をやっているようなものです。

 いかに丈夫なうちのカメラだとて、これでは傷だらけだし、事故が起きてもそれは当然です。電話で聞いている話と、現実は全然違う。「おれは機材を大切にしているとか、いつも綺麗に手入れしている」と威張っていましたが、あの話とこの現実は何処でどう結びつくのか目を疑うような光景でした。


■素朴なハマッコ?


 「Xでーす」と彼はまるで子供みたいに挨拶をしてきました。私もこういう素朴な感じの人は好きなので、同じように「川田でーす」と返して、「そこでお茶でも飲みながらお話しましょうか?」と言うと、 「もったいない!この辺は高いところばかりだから、家へ行こうよ」とママチャリを押しながら歩き出しました。

 川沿いの道を連れ立って10分ほど歩き彼の自宅に着くと、そこは閑静な高級住宅地の中でした。母屋と離れ屋敷とあって、彼は離れを一人占めしているようです。冷たい麦茶を出してくれながら話す言葉は、飾り気のないとても素朴なハマッコ言葉です。

 部屋中に三脚やアルバム、額など写真材料が散乱し、本当に足の踏み場もないとはこのことを言うのでしょう。きっと新婚生活が出来るようにと親が建ててくれた家なのでしょうが、話ぶりからは結婚の経験はなさそうだし、お勝手でもなんでも、もう、ゴミの山になっています。

 聞けば、私と同い年の50歳だというが、どう見ても若い。私も若作りでは負けない方なのですが、X氏の方が素朴な分、私より若く見える。本当に写真が好きらしくて、毎日、朝晩2回海岸に出て写真を撮っているのだという。


■電話の向こうではテープが回っている


 写真を始めた頃は主に海岸にやってくる野鳥を撮っていたが、最近では海岸に散歩に来る人達も撮っているとのことでした。すると突然台所で電話のベルが鳴った。「ハーイ、Xですうー!」と電話に飛びついた彼の手元を見れば、なんと、古いテープレコーダが回り出しているではありませんか。

 電話は近くのサーフボード屋の親父さんかららしく用事は簡単に終わりました。「Xさん!なに!?テープ回してんの?」と私が聞くと「そおおっ!言った言わないで文句言わせないようにね!」だそうな。

この続きはまた次回。

 



掲載の記事・写真・イラストなどの全てのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。
Copyright 2005 Global-eye Co.,Ltd all rights reserved.