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講師紹介


川田茂雄
(かわだ・しげお)

1945年、東京都生まれ。都立高校卒業後、某カメラメーカーに入社。製造部門、消費者相談室、各サービスセンター所長を務め、多くのクレームを解決する中で消費者問題の大家とも対決、以後、友好関係を築く。2002年、退社。現在「クレーム処理研究会」を主宰、各企業へのCS指導、講演活動を行なっている。


   第10回  消費者の4つの権利  
 

■消費者の4つの権利

 みなさんは、「消費者の4つの権利」をご存知でしょうか? とても重要な権利なのですが、一般 には余り知られていないようです。設計者100人に聞いても答えられる人はわずかでしょう。

  1. 安全を求める権利
  2. 知らされる権利
  3. 選ぶ権利
  4. 意見を聞いてもらう権利

の4つなのですが、これは、1962年にアメリカのケネディ大統領が春の特別教書の中でうちだした権利なのです。
 この権利が打ち出されると、アメリカ国内ばかりでなくヨーロッパでも急速にこの考え方が取り入れられ法律の中にも反映されて行きました。日本でも、1968年に「消費者保護基本法」が出来て、この中に4つの権利がうたいこまれています。
 国民生活センターや地方自治体の消費者センターなどはこの法律が出来たことにより、消費者保護を目的に全国に展開して行ったと考えられます。

■安全を求める権利

 消費者は「安全を求める権利」がある。安全問題に関しては食品から医療、自動車など様々な分野でまず1番に問われる問題であり、最も重要な権利でもありますが、守られているようで案外と問題の多い分野です。
 車のタイヤが突然パンクしたり外れたりなど人の命に関わるような大きな問題も起きますし、日本では使用を認められていない食品添加物が含まれていたとか、家電製品から出火して大きな火災になったとか、石油貯蔵タンクが火災を起すなど拡大損害が起きるのもこの安全性の問題でしょう。
 そして、消費者は、安全性に関してこれを求める権利があるのだということを認識しておかなければならないのです。


■知らされる権利

 そして、「知らされる権利」ですが、これは皆さんに最も良く知られている「情報開示」の問題です。消費者は知らされる権利があるのだということです。学校の成績票を開示せよとか、知事の交際費を公開せよとかあらゆる部門で情報開示が迫られています。
 しかし、この情報開示もなかなか守られずに今日まで来てしまったのです。企業は自社に不利になるようなことを直ぐに隠したがります。そして消費者に内緒で問題を闇に葬り去ろうとするのですが、近年次々と隠蔽工作が発覚し大きな問題になりました。
 そして、現在は、何か不正を隠すということは、まさに企業の存続を危うくしますから、毎日のように新聞社会面下段に「お知らせとお詫び広告」が出ていることを見ても情報開示がいかに重要なものであるかがおわかりになるでしょう。しかし、現実はまだまだ情報開示が遅れているといわざるを得ないように感じています。


■選ぶ権利

 これは、消費者が取引相手を自由に選ぶことが出来るようになっていないと公正な競争が行われず、不利益を蒙る結果になるので、公正な取引・販売が行われなくてはいけませんよということなのです。  そして”意思と能力のある者を競争のスタートラインにつける”ということが重要なのですが、様々な分野でこれがないがしろにされてきたように思います。
 最近は、公正取引委員会に摘発されるケースも目立っておりますが、入札における談合ですとか系列販売ですとか販売に関わる世界で競争制限行為や競争阻害行為があって公正な取引が行われていないことがまだまだあるように感じます。


■意見を聞いてもらう権利

 消費者は企業に、「意見を聞いてもらう権利」があるというものです。「意見を言う権利」ではありません、意見を聞いてもらう権利なのです。ですから、ユーザーが企業に意見を言って来たら企業はそれを聞いてあげなければならないのです。
 「うるさいやつだ、文句を言っているのはあんただけだ。どんな権利があってそんなこと言ってくるんだ」などと追い返してはいけないのです。
 企業は消費者に意見を言われたらそれをきちっと聞いて経営に反映させて行かなければならないのがこの権利なのです。


以上が「消費者の4つの権利」なのですが、クレームというのは、正にこの4つの権利が侵害された時に起こるのです。
 最近問題の多い医療の世界などは、まさしくこの4つの権利を長い間ないがしろにしてきたからではないでしょうか。医療の側にしてみればそれなりの理由があって現体制を維持してきたのでしょうが、時代背景はどんどん変り、それについて行けなかったのが医療なのです。
 その結果が、1日に2度も記者会見を開いて釈明したり平身低頭謝ったりしなくてはならなくなったのです。

 社会は常に変化しており、背景がどんどん変っている事を企業は認識しなければならないのですが、自らその変化を掴む事は至難の技なのです。ここで、背景の変化を知るもっとも有効な手段が消費者の中にアドバイザーをおくことであり、クレームを真摯に受け止め経営に反映することでもあるのです。

 



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