1.オープンビルディングとは
「オープンビルディング(Open Building=開かれた建築)」とは、住空間を(1)アーバンティッシュ(街区−都市空間のレベル)、(2)サポート(構造躯体−建物のレベル)、(3)インフィル(内装・設備−部屋のレベル)の3つのレベルに区分し、これらを包括的に考えると同時に、それぞれのあり方と役割を明確にしようとする空間構成の手法です。国内では、オープンハウジングとも呼ばれています。
これは、(1)行政が責任を持つ「まち」という住環境、(2)コミュニティが決める「近隣環境」、(3)各世帯が決めるそれぞれの「住宅」というレベルごとに、意思決定や対象のプロセスを明確にすることで、住民が計画プロセスに参画することを容易にし住民の満足度を高める、持続可能なまちづくりの方法と言い換えることもできます。
オープンビルディングは、生産の合理化と設計の多様性、個人の嗜好やライフスタイルの変化に対応するフレキシビリティを同時に実現するものとして、近年では既存の団地等の再生手法としても注目されています。
2.オープンビルディングの3つのレベル
オープンビルディングの考え方では、住空間を以下の3つのレベルに区分しています。
(1)アーバンティッシュ(街区)
略して「ティッシュ」と呼ばれます。道路の位置や幅・用途、建物の高さ、公園、各エリアにどのような施設を配置するか、といったレベルを指します。都市計画の領域として、コミュニティの意向を受け自治体が責任を持って計画するレベルです。
(2)サポート(構造躯体)
ほぼ同様の意味で「スケルトン」(耐久性のある構造躯体)という言葉も使われます。建物の基本構造を指し、100年以上の寿命が必要とされます。建築設計の領域として、街並みの構成に従いながら居住者の意見を採り入れて計画されます。
(3)インフィル(内装・設備)
住宅内部の床や壁、天井の仕上げ、台所やトイレ、バスルームといったレベルを指し、サポートの枠の中で、居住者が自由にデザインすることができるものです。寿命が比較的短く、生活の変化に対応して容易に改修できる必要があります。
3.オープンビルディングの誕生と経緯
オープンビルディングの基本的な考え方は、戦後都市人口の急増に対応するため画一的な住宅団地が大量に供給されたオランダで生まれました。お仕着せ的な大量供給住宅は長く住み続けるものとして機能できず、社会が豊かになるとともに飽きられ住民は流出していきました。そこでこうした住環境を改善するために、1960年代初めにオランダの建築家N.J.ハブラーケン氏が、その著書で住み手が積極的に参加できる住宅づくりの方式として提案したのがオープンビルディングという考え方でした。
その後、オランダでその理論研究と実験プロジェクトが進められるとともに、様々な国で研究・開発が実施されています。日本では住宅公団がKEPプロジェクトにより同様の研究開発を実施しています。
また近年オープンビルディングは、短期間に大量供給された既存の共同住宅団地の再生手法としても注目されています(参考:団地再生研究会編・著『団地再生のすすめ』マルモ出版)。共同住宅団地の老朽化、社会構造やライフスタイルの変化による需要の変化は、様々な国で問題となっています。耐久性の高い既存の躯体を保存しつつ、住戸・住棟・団地のそれぞれに必要な手を加え住民の要望に応えるというオープンビルディングの手法は、これまでのコミュニティや環境を継承する、地球に優しい手法でもあるのです。
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