1.クリック&モルタルとは
「クリック&モルタル(Clicks and Mortar)」とは、EC(Electric
Commerce:電子商取引)において、実在の店舗や営業担当者とインターネット上のウェブ・サイト(Web Site:ホームページなどのコンテンツが置かれているインターネット場の場所)を組み合わせて、相乗効果
を狙うビジネス手法をいいます。
「クリック&モルタル」の「クリック」はインターネットを、「モルタル」は実店舗を指します。リアルな世界で実店舗によるビジネスを行う企業を「ブリック&モルタル(Brick and Mortal:レンガと漆喰しっくい)」と呼び、インターネット上でバーチャル(Virtual:仮想空間や架空のもの)な店舗でビジネスを行う企業を「クリック&クリック(Click and Crick)」(または「ドット・コム企業」)と呼んだことからできた造語です。
具体的には、例えば、実店舗とインターネットのどちらでも販売や情報提供を行うマルチチャネル化や、商品の予約や注文はインターネットで行い商品の受け渡しや代金の支払いは店舗へ誘導する、といったような方法などが該当します 。
2.背景と経緯
近年の情報化の進展、インターネットの普及は、小売のスタイル自体に大きな影響を与えています。実態的な店舗空間での商品販売以外に「仮想店舗」による販売活動も拡大しています。経済産業省とECOM(電子商取引推進協議会)、アクセンチュアの共同調査によれば、2001(平成13)年のECにおけるBtoC(Business to Consumer:消費者向けの電子商取引)の市場規模は、約8240億円でしたが、2005(平成17)年には13兆3000億円に拡大すると試算しています。
このようなECの時代の到来を受けて、大手スーパーなどがネットスーパーに乗り出すなど、これに本格的に乗り出す既存企業も増加しています。しかし、こうした分野ではすでにネット専業業者がいち早く顧客をつかんでいる状態であり、勝ち目があまりありません。そこで、既存のビジネスや組織にしがらみを抱える企業が、店舗網やブランド力といった専業業者が持たない資産を生かすことで対抗しようとする動きが広がりました。こうした戦略をクリック・アンド・モルタルと呼びました。
近年では、オンライン販売専業の小売業者(ピュアプレーヤー)では物流や在庫などの問題から行き詰まりが指摘されています。一方実店舗の小売業者はオンライン販売を兼業することで、確立されたブランドイメージ、顧客獲得コストの安さ、物流費の安さといったおのおのの販路活用メリットを追及することができます。このため、クリック&クリック企業よりもリアルな実店舗を合わせ持ってビジネス展開を行うクリック&モルタル企業の方が、安定した業績を上げています。
3.クリック&モルタルの仕組み
クリック&モルタルには様々な仕組みが考えられますが、概ね以下の図のような考え方から成り立っています。
4.クリック&モルタルのメリット
企業にとってのメリットは、(1)ネット専業の場合に過大にならざるを得ないマーケティングコスト(顧客獲得コスト)の低減が図れる、(2)在庫管理や物流面
などで既存のインフラを共有し有効活用することができる、(3)ネットでの販売は顧客の固定化の率が高く、継続的なアプローチも比較的行いやすい、といったことが挙げられます。
また消費者にとっては、商品選択、代金の支払や商品の受け渡しなどに関して、選択肢が広がるといったメリットがあります。
ユーザーにとってオンラインショッピングには、(1)買物に行く手間が省ける、(2)好きな時間に買物ができる、(3)欲しいものが探しやすい、といったメリットがある一方、(1)品物の品質やデザインがわかりにくい、(2)クレジットカードなどの決済が不安、(3)実際にものを見て買うほうが安心、といったデメリットがあります。
こうしたメリットを活かすと同時に、デメリットを解消するする手段も合わせ持つ、マルチチャネルのビジネスモデルが、クリック&モルタルなのです。
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