1.ビジョナリー経営とは
まず、もともと「ビジョン(Vision)」とは、視力や視覚、先見、洞察力、幻や夢想、美しい光景などを指す言葉です。企業経営においては、将来に対する展望、見通し、構想などを指す言葉として使われています。「ビジョナリー(Visionary)」とは企業経営においては、「基本理念」を指す言葉として使われています。
「ビジョナリー経営」とは、企業改革や企業行動を、企業として常に変わらずに持つ「適切なビジョン」に基づいてマネージメントしていこうとする考え方です。さらに、これを実施することで成長する企業を「ビジョナリー・カンパニー」と言います。
ビジョナリー・カンパニーについては、1995(平成7)年に出版された、『ビジョナリー・カンパニー』(ジェームズ・C・コリンズ&ジェリー・I・ポラス著 山岡洋一訳:日経BP出版センター)により紹介されています。これは、一流企業として生き続け、経営難に陥ってもずば抜けた回復力を示し、長期的な株式投資利回率の高い企業を18社選び、これらの企業群がなぜ強いかを分析したものです。
結果として、調査した企業群の卓越性は、カリスマ的な指導者や、先見的なサービス、すばらしいアイデアなどではなく、「ビジョン」の適切さとその浸透にありました。
2.ビジョナリー経営の特徴
同書では、ビジョナリー経営の特徴として、次のような考え方を挙げています。
(1)時を告げるのではなく、時計をつくる
すばらしいアイデアを持っていたり、すばらしいビジョンを持ったカリスマ的指導者であるのは「時を告げること」であり、ひとりの指導者の時代をはるかに超えて、長期にわたり繁栄し続ける企業を築くのは、「時計をつくること」である。創業者にとって最も大切なのは、建築家のようなやり方で、ビジョナリー・カンパニーになる組織を築くことに力を注ぐことであり、その最高傑作は「会社そのもの」である。
(2)現実的な理想主義を持つ
変化か安定か、理想か利益か、といった「ORの抑圧」に屈することなく、さまざまな側面
の両極にあるものを同時に追求する「ANDの才能」によって、自由にものごとを考える。収益力は企業が存続するための必要な条件ではあるが、それ自体が目的ではない。利益とは、人間の体にとっての水や血液のようなもので、それがなければ生きられないが、人生の目的ではない。現実的な解決策を見つけ、「かつ」基本的な価値観を貫くことが課題である。
3.ビジョナリー経営の基礎となるもの
同書ではさらに、明解な「理念」を持ち、それを貫き通す姿勢を持つといった特徴をあげ、そのために必要となるのが、「基本理念」と「進歩への意欲」であり、基本理念を維持し、進歩を促す「具体的な仕組み」(時計をつくること)である、としています。
基本理念は、次のように定義されています。
| 基本理念=基本的価値観+目的 |
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基本的価値観=
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組織にとって不可欠で不変の主義。いくつかの一般的な指導原理からなり、文化や経営手法と混同してはならず、利益の追求や目先の事情のために曲げてはならない。
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目的 =
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単なる金儲けを超えた会社の根本的な存在理由。地平線の上に永遠に輝き続ける道しるべとなる星であり、個々の目標や事業戦略と混同してはならない。
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基本的価値観は、理論や外部環境によって正当化する必要などないもので、時代の流れや流行に左右されることもありません。市場環境が変化した場合ですら、変わることがないものです。
目的とは、広い意味を持ち、根本的で、不変です。目的は、追い続けるが目的を完全に達成することはありえませんは。目的は、終りがないものです。
あらゆる変化に対応していくためには、企業として前進しながら、「その基礎となる信念」以外の全てを変える覚悟で臨まなければなりません。「組織にとっての聖域は、その基礎となる経営理念だけだと考えるべきである」のです。
4.ビジョナリー経営の具体的方法
同書では、基本理念を維持し進歩をうながすための具体的な方法として、次の5つを挙げています。
(1)社運をかけた大胆な目標
リスクが高い目標やプロジェクトに大胆に挑戦する。
(2)カルトのような文化
すばらしい職場だと言えるのは、基本理念を信奉している者だけであり、基本理念に合わない者は病原菌かなにかのように追い払われる。
(3) 大量のものを試して、うまくいったものを残す
多くの場合、計画も方向性もないまま に、様々な行動を起こし、なんでも実験することによって、予想しない新しい進歩が生
まれ、ビジョナリー・カンパニーに、種の進化に似た発展の過程をたどる活力を与える。
(4) 生え抜きの経営陣
社内の人材を登用し、基本理念に忠実な者だけが経営幹部の座を手に入れる。
(5)決して満足しない
徹底した改善に絶え間なく取り組み、未来に向かって、永遠に前進し続ける。
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