1.生命の源としての水
水は、地球上全ての生き物にとって必要不可欠な存在です。水は生命の維持に直接関係するもので、例えば人間の場合、通常1人1日約3リットルを必要とします。
地球上の水の97.4%は海水で、真水は2.6%、そのうち人間にとって利用可能なものは0.003%、という貴重なものです。
地球上に存在する水は、水循環の中でその形態を変えながら、養分を蓄えて様々な生物を育み、また急激な温度差を吸収して生態への負担を緩和します。
2.世界の水事情
2000(平成12)年の「第2回世界水フォーラム」で発表された「世界水ビジョン」によると、全世界の取水量
は3兆8千億トン(琵琶湖138個分)でも2025(平成37)年には、人口増などにより最大で5兆2千億トンに増える、とされています。
現在、世界人口63億人の5人に1人は安心して飲める水が手に入らず、2人に1人がトイレや下水道を使用できない状態にあります。この結果
、毎年500万〜1000万人が水による感染症で死亡しています。
また国連は「世界水発展報告書」で、人口増加や水質汚染によって今世紀半ばには、最多で60カ国の70億人、最少でも48カ国の20億人が水不足に直面
する、としています。
3.世界の水問題
開発途上国を中心とする世界各地で、水不足、水質汚染、洪水被害の増大などの水問題が発生しています。そしてさらに、これを起因とする食糧難、伝染病の発生など、その影響はますます広がっています。主な問題としては、次のようなものがあります。
(1)水不足
人口の急増、産業の急激な発展によって、水需要が増大しています。現在、アジア、アフリカなど31カ国が、水の絶対的な不足に悩んでいます。さらに今後の人口増加に伴い、食糧難の増加なども見込まれ、深刻な問題となっています。
(2)水質汚染
急激な人口増加や工業等の発展に伴い、下水道施設等の施設整備が追いつかない途上国を中心に、著しい水質汚染が問題となっています。国連は1998(平成10)年に、次のように報告しています。
- 水関係の病気で、子供達が8秒に1人ずつ死亡している
- 途上国における病気の80%の原因は汚水
- 世界人口の50%には、下水施設が未整備
- 淡水魚の20%の種は、水質汚染により絶滅の危機
- 地下水の過剰汲み上げにより、ヒ素汚染が増加
(3) 洪水被害 都市化による急激な土地利用の変化や森林の伐採により、洪水時の流出量
が増大し、その被害が大きくなっています。
「レイテ島の悲劇」と呼ばれる、フィリピン・オルモック市で1991(平成2)年に起きた大洪水は、都市化と貧困の問題が約8000人もの死者を出した悲惨なものでした。犠牲者の多くは、山間部や離島から職を求めてやってきた人々でした。彼らは交通
費が負担となることから、都市中心部の河川敷に住まざるを得ませんでした。
4.「水の世紀」
水問題の原因には、貧困の問題、急激な人口増加や都市開発、産業の発展などがあります。水をめぐる国際紛争が各地で発生しており、今後の人口増加でさらに深刻な事態が予想されています。
世界的な水危機が進行する一方で、「きれいな水」の価値は高まり、「ブルーゴールド(青い黄金)」と呼ばれるようになっています。水ビジネスが大きな可能性を持つものとして注目を集め、「売れる水」の大企業による独占、大量
の取水による水不足の深刻化といった問題も各地で起こり始めています。
現在は、「石油より高い水」もある時代となっています。水は「商品」か「公共財」か、といった議論が起きています。「必要最低限の水を得ることは基本的人権」なのだといった主張がありますが、先日閉幕した「世界水フォーラム」でもこうしたことについて明確にされることはありませんでした。
21世紀は、こうした水問題が、石油に代わる国際的な紛争に発展することが予想されています。今世紀は、「水の世紀」と呼ばれ始めています。
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