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トレーサビリティ

1.トレーサビリティとは

 「トレーサビリティ(Traceability)」とは、「トレース(Trace:追跡)」と「アビリティ(Ability:可能性)」を組み合わせた言葉で、「追跡可能性」と訳されます。
 食品のトレーサビリティとは、食卓から農場、農場から食卓のどちらからでも、食品の生産、加工、流通 、消費の履歴をたどれることを指し、「食品の生産履歴」とも呼ばれています。
 トレーサビリティ・システムの導入により、例えば食品事故が発生した場合などに、段階ごとの原因が調べられ、回収も速やかに実行できることになります。また監視体制を備えることで、偽装や不正防止にも効果 があるとされています。
 現在トレーサビリティの制度化が日本でも進みつつあります。こうした動きの背景には、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)騒動や食肉の偽装表示などを受けて、消費者の「食の安全」に対する意識が高まってきたことがあります。

2.現状と動向

 現在、多くのスーパーや協会・団体が、失いつつある消費者の信頼を回復するために生産履歴の情報開示に力を入れ始めています。

●小売業での対応例
 コープこうべ(神戸市)をはじめとしたいくつかの生協で、牛肉の生産履歴をインターネット上の公開しているほか、野菜等の生産履歴の公開も計画されています。
 またスーパーでは、東急ストアが展開する高級スーパー『プレッセ』で、2001年秋から首都圏5店で野菜のトレーサビリティ実験が開始され、情報端末を店頭に置いて情報を提供しています。ジャスコでは、2002年2月から店頭に情報端末を置き、一部の和牛肉について生産履歴情報を提供する実証実験を始め、全国の店舗に拡大中です。イトーヨーカ堂では、首都圏の4店で「顔が見える野菜」として野菜の生産履歴をインターネットを通 じて公開する実験を始めています。その他、高級スーパー等いくつかの中規模スーパーでも情報開示を始めています。

●その他
 『石井食品』など食品メーカー主導によるトレーサビリティシステムの構築、『全農』やその他IT関連企業によるシステムの構築なども進められています。
 これまでこうしたシステムの導入は難しいと言われてきた卸売市場などでも、その重要性が認識されるとともに巻き返しの動きが始まっています。

3.トレーサビリティのしくみと課題

 農水省ではトレーサビリティ導入に向けた実証実験を、第三者機関のチェックを加えた以下の図のような仕組みで開始しています。品目別 の新たな認証制度「生産工程履歴JAS」の創設も検討しています。

【トレーサビリティのしくみ】

 しかし、トレーサビリティの確立には、記帳やラベルの張り替え、記録の保管といった各段階での、経費負担の問題を避けて通 ることはできません。こうした「安全」と「信頼」のコストを誰がどのようなかたちで負担することになるかといった問題についての議論が残されている状態となっています。

 



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