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産業再生機構

1.産業再生機構とは

 「産業再生機構」とは、昨年10月に政府がまとめた総合デフレ対策の目玉 として急きょ設立が決まった株式会社です。政府が主導し政府や大手銀行などが出資して、100人程度の規模で5月の連休明けに発足する予定です。
 これは、経営不振企業への支援を通じて、銀行の不良債権問題と産業再生を一体的に解決することを目指すものです。放っておけば倒れかねない企業に再建の手を差し伸べ、将来性のある事業や人材の継続を図って事業を立て直すことになります。
 政府が人事や業務に関与するほか、必要な資金の調達にはすべて政府の保証がつくことになります。機構のために用意されている国費、つまり税金は、資本金1500億円と債権の買い取りや融資のための資金10兆円です。
 事業再生を目的とした民間組織は、企業再生ファンド(通称「ハゲタカファンド」)など外資系を中心に現在でもありますが、国内では不良債権を売り買いする市場が未発達です。また政府系の「整理回収機構(RCC)」も再生機能を持ちますが、回収が本来の業務であることから新たな機構を設立することとなりました。
 存続期間は5年間程度で、設立から2年間で集中的に債権を買い取り、その後3年以内に売却することを原則としています。機構が手がけるのは、大企業や中堅企業を中心に30社程度に限られます。

2.産業再生機構のしくみ

 再生の手続きは、まず、不振企業(再建が見込まれるものの融資返済の遅れなどで「要管理先」などに分類される企業)とメインバンクが機構に支援を要請します。ここから事前協議に入って具体的な再生計画を練り、この計画を「産業再生委員会」が審査し、支援の可否を決定します。
 支援が決まれば、機構はメインバンク以外の銀行などから債権を買い取り、再生計画を実行することになります。具体的には、借金の棒引き(債権放棄)や借金の株式への転換(債務の株式化)といった金融支援、不採算事業の売却や過剰な人員、設備の削減などのリストラが実施されます。供給過剰状態にある産業(ゼネコン等)については、合併や買収を促します。


3.産業再生機構の課題・問題点

 これまでの状況を見ても明らかな通り、企業、産業の再生は、決して簡単な話しではありません。機構にはいくつかの課題・問題点が指摘されています。代表的なものを挙げると以下の通 りです。

(1)対象企業をどのように選ぶのか
 対象企業(見込みのあるダメ企業)は、産業再生機構に設置される「産業再生委員会」によって審査されることになります。その審査基準が甘ければ、時代の変化にそぐわない企業の延命つまりダメなままの企業を救うことになります。また厳しすぎれば、再建の芽をつぶし産業再生が進まないといった問題が生じます。さらに審査で不合格となることは「再建不能」のレッテルを貼られることに等しく、株式市場などの反応も懸念されます。

(2)債権をいくらで買うのか
 機構は、支援企業に対するメインバンク以外の銀行等の債権(要管理債権等)を買い取り、まとまりにくい計画をスムーズに進める環境をつくります。買い取り価格は、市場の実勢価格である「時価」ではなく、簿価から貸倒引当金を差し引いた「実質簿価」で買い取るとしています。これは銀行からの債権売却を促すために「多少色をつける」ということです。しかし、実質簿価の算定自体が難しいうえに、逆に割高な価格での購入となってしまうと、単に損失の「飛ばし」先、「塩漬け」先にしかならず、最終的に国民負担を増加させるだけといった結果 に終わる可能性も高くなります。

(3)正常に運営できるのか
 (1)、(2)は最終的には産業再生機構の判断にゆだねられることになっていますが、こうした判断が官僚や政治家の介入等により歪んでしまう可能性も否めません。

 



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