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コア・コンピタンス経営

1.コア・コンピタンスとは

 「コア・コンピタンス(Core Competence:中核的競争能力)」とは、経営の内部資源のひとつの集積で、「顧客に特定の利益をもたらす、一連のスキル(技能)や技術」をいいます。これは、ライバルに簡単に真似できない、企業内部に蓄積された長年のノウハウや独自技術で、競争優位 の源泉になるものです。

 コア・コンピタンスを軸とした経営は、G.ハメル、C.K.プラハラード両教授によって理論化され、1994(平成6)年に『コア・コンピタンス経営』(日本版:1995年出版 ゲイリー・ハメル&C.K.プラハラード 著 一條和生 訳 日本経済新聞社)として出版されました。

 同書では、コア・コンピタンスとは、「未来に一番乗りするための特技能力」であり、(1)顧客満足を喚起するもの、(2)自社に固有であって他社の模倣しにくいもの、(3)多面 的・多角的に活用できるもの、といった性格を持った技術や知識、技能などの集合体であるとしています。

 また、競争力を求めてリストラ(リストラクチャリング:事業の再構築。人員削減による合理化を示す場合が多い)をすれば、企業は小さくなり、リエンジニアリング(業務の再構築)・継続的改善をすれば、多少良くなる。しかし生まれ変わるには、コア・コンピタンスを核とする「事業の再生と戦略の練り直し」が必要である、としています。

 コア・コンピタンスの具体例としては、次のようなものを挙げることができます。

  • シャープの液晶技術(ザウルス等)
  • ソニーのビデオ・カメラなどに見られる小型化技術(ハンディカム等)
  • キャノンのレーザー・プリンターで発揮されている画像処理技術
  • マイクロソフトのOS開発力およびそのマーケティング力(Windows95等)
  • 花王が消費者の声を反映させた商品開発力と開発プロセス(ビオレ毛穴パック等)
  • セブン・イレブンの受発注管理の情報システム(物流効率の改善を実現)
  • ヤマト運輸の荷物追跡情報システム

2.コア・コンピタンス経営

 コア・コンピタンスを核とした経営戦略は、未来のための競争戦略とも言い換えられるものです。前掲書では、未来のための競争の3段階として、以下を挙げています。

第1段階:未来をイメージする競争
 産業の推進力を深く探り、産業の未来を展望します。これは、従来の産業の境界壁を変えたり新しい市場を創造する潜在力のある技術、人口構成、政府規制、ライフスタイルの流れや変化について、競合他社より優れた識別 眼を獲得する競争です。5〜10年先に自社が属する産業がどのような状況にあるか、その時に求められる機能、顧客との接点、コア・コンピタンスなどについて、創造的な視点を開いてその進化をイメージし、その視点を戦略設計図としてまとめます。前提として、「過去を忘れる」ことが大切です。

第2段階:構想を有利に展開する競争
 第1段階でイメージした未来への、具体的な道のりをつくり上げる競争です。(1)必要なコア・コンピタンスを蓄積して技術的な課題を克服する、(2)いろいろな製品やサービスのコンセプトを市場での実験で確証して顧客の本当のニーズを発見する、(3)自社が保有していない重要な経営資源を補ってくれる提携会社を探す、(4)製品やサービスを最終顧客に送り届ける販売流通 を整備する、(5)必要に応じて業界標準をつくりあげる、といった内容を含みます。未来産業を自社に有利な方向に積極的に展開する競争とも言い換えられます。

第3段階:シェアを獲得する競争
 競争の最終段階で、商品価値、コスト、価格、サービスなど、比較的はっきりした尺度を用いた、マーケットシェアと市場ポジショニングの競争です。基本技術、コンセプトや流通 経路などについての問題はほとんど決着しており、商品群の拡大や効率の改善、他社との差別 化といった段階に移っていきます。重要なマーケットで競合他社に先行し、競争の主導権を握ることがポイントとなります。


3.コア・コンピタンスの獲得

 コア・コンピタンスを軸とした経営では、将来イメージをベースとして、(1)現在あるコア・コンピタンスを見極め、これを評価し、(2)自社ビジネスの特徴と現在の事業コンセプトを確認して見直し、(3)自社が独自性を発揮できるビジネスを選択し、そこに集中する、ことになります。

 しかし、コア・コンピタンスが存在しない場合には、早急にこれを獲得する必要があります。この場合、まず他社との横並び経営は金輪際やめることを決意したうえで、事業部ごとに特技能力の散在状況を調査します。次に各事業部で自社が保有すべきコア・コンピタンスをリスト化します。自社の将来イメージ(ビジョン)をもとに特定のコア・コンピタンス創出をテーマとして開発優先順位 をたて、現有の特定のスキルやノウハウを、それに沿って磨き上げていきます。また未来のコア・コンピタンスの獲得に向けた技術取得や企業買収、外部企業との提携なども検討していきます(参考:市橋和彦著 『新コア・コンピタンス戦略』 プレジデント社)。

 



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