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ウォルマートとEDLP

1.ウォルマートとは

 『ウォルマート(Wal-Mart)』とは、2003年1月期時点で、年商が日本円で約29.3兆円にも達する、世界一の巨大企業です。この売上高は、世界第2位で先に日本に進出した仏『カルフール』の4倍であり、日本最大の企業『トヨタ自動車』の約2倍、オーストリアの国内総生産(GDP)に匹敵する金額です。
 ウォルマートは、1962(昭和37)年、米国アーカンソン州北西部の小さな田舎町ベントンビルに誕生した雑貨店『ウォルトンズファミリーストア』からスタートしました。その後60〜70年代に、中西部で生活関連商品のディスカウントストアをチェーン展開していきました。
 小規模商圏を対象として、圧倒的な品揃えと「EDLP(Everyday Low Price:毎日安値)」で寡占状態をつくりだし、中西部の田舎町を制覇していくという戦略で、着実な成長を続けました。
 1980年代以降には、中規模都市以上の郊外へも出店を開始し、従来から出店してきたディスカウトストアをさらに発展させた、スーパーセンターやホールセールクラブ『サムズクラブ』など、消費者のニーズに対応する新たな業態の開発も積極的に進めていきました。

     *スーパーセンター :非食品のディスカウトストアに食料品を加えたもの
     *ホールセールクラブ:中小商店や消費者を対象とした会員制の卸売り店

 さらに1998(平成10)年には、10年間スーパーセンターで培った食品分野に自ら参入し、『ウォルマート・ネバフッドマーケット』の展開を始めています。
 2001年1月期時点で、米国内従業員108万人(米国政府に次ぐ人数)、来店客数毎週約1億人、保有トラック台数約4500台となっています。

2.EDLPとは

 「EDLP(Everyday Low Price:毎日安値)」とは、安売りセールを否定し、年間を通して一定の低価格を維持する価格戦略です。具体的には、卸などの中間流通を排してメーカーとの直接取引きを実施し、メーカーやベンダー(Vendor:売り手)に支払われるリベートや協賛金を拒否し、これらを込みにすることによって年間を通じた同じ仕入れ値を要求するということになります。また業務の効率化などにより、オペレーションコストを圧縮していくことも必要です。
 EDLPには、次のような3つのメリットがあります。
 (1)安売りセールを行わないことから、広告宣伝費が削減できる
 (2)需要予測がしやすく、在庫管理が容易になり、サプライチェーンが簡素化できる。
 (3)セール待ちの買い控えなどを起こさない

3.ウォルマートのEDLP  

 ウォルマートにおける仕入れでは、メーカーとの直取引により平均して小売販売額の13%程度となる中間マージンをなくし、さらに自社物流を活用することで、3〜4%安くしています。これを積極的に消費者に還元し、最終的な粗利益を21%としています。
 ウォルマートのオペレーションコストも、売上高の15%程度と低いものです。これには「リテールリンク」という情報システムが威力を発揮しています。この情報システムは、現在ではペンタゴン(米国国防省)に次ぐ巨大なものとなっています。
 全店の売上は毎日午前2時に集計され、各店別、商品別に何がどれだけ売れたのかが、全てわかるようになっています。これらのデータは即座にベンダーと共有され、あらかじめ決められた時期と数量で補充される仕組みとなっています。情報は全てEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)により、やり取りされます。店舗の発注作業は自動化されており、さらに商品作業の多くを自社物流センターに集中化させることで、作業の効率化も図られています。
 こうした仕組みが、作業効率を高め、商品のロスや在庫を圧縮することでオペレーションコストを削減しているのです。
 またウォルマートでは、1995(平成7)年以降、さらにSCM(Supply Chain Management)の発展型とも言えるCPFR(Collaboration Planning,Forecasting and Replenishment:需要予測と在庫補充のための共同事業)を展開し、顧客を中心とした協働体制を強化しています。

     *SCM:受発注、原材料調達、在庫管理、製造、配送という、川上から川下ま
         でを、ITを駆使して統合管理し全体最適を目指す経営手法。
     *CPFR:メーカーと小売店がそれぞれ需要予測データ作成、共有し、期間を
         決めて相互修正を加えながら商品計画を整合的に運用する手法。



 



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