1.労働者派遣について
労働者派遣法を理解するためには、まず「労働者派遣」のしくみを知ることが必要です。労働者派遣の特徴は、「実際の就労関係にある当事者と、雇用関係にある当事者が異なる」ということです。つまり、派遣元事業主(派遣会社)が自ら雇用する労働者(派遣スタッフ)を、その雇用関係においたまま、他の使用者(派遣先企業)の指揮命令を受けその使用者のために働かせる形態です。また、派遣するのは「労働力」であって、「特定の労働者」ではないということも大きな特徴です。
<労働者派遣の構造>
※「出向」を含ませる場合もありますが、「在籍出向」ではなく「転籍出向」の場合は、
労働者派遣とは違った形態になります。
※「請負・業務委託」の名で実質的な労働者派遣が行われている場合がかなりあります
が、これは違法であり、派遣元に対する罰則などがあります。
2.労働者派遣法の改正について
「労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)」は、「常用雇用の場の確保」「派遣労働者の保護」を主旨として1986(昭和61)年に施行されました。これにより、専門性の高い13業務に限定して、はじめて人材派遣が法的に可能となりました。背景には、会社業務の多様化による就業形態の多様化、労働者の就業意識の変化、派遣労働者の雇用の安定や就業条件の整備の必要などがありました。
その後、法改正により26業務まで拡大され、さらに1999(平成11)年の法改正により、原則的に自由化されました(港湾運送・建設・警備の業務、その他法令で定める医療関係・物の製造・医師や弁護士などの専門的業務を除く)。この改正には、労働者の能力や意識に応じた就業機会の付与、不況対策の一環としての雇用の柔軟化といった目的がありました。
今国会で6月6日に可決成立した改正は、労働力の供給を需要とマッチさせ、国内に働く場所を増やしていくことを目的としています。派遣の「臨時的・一時的雇用」という位置付けに基づき、企業が正社員を雇うべき業務に派遣社員を利用し続けることがないように期間を制限しながら、1年間同一の業務で働いた人は直接雇用に切り替える努力義務などが盛り込まれています。実際の施行は、成立から9ヶ月を超えない範囲とされており、2004(平成16)年3月頃と思われます。
3.改正案の主な内容
【1】一般の派遣期間の上限を「1年」から「3年」に延長
ただし1年を超える派遣期間を定める場合、企業はその事業所で働く人の過半数が参加している労働組合やその代表から意見を聴くな どの条件があります。
【2】専門性の高い26業務については期間制限を撤廃
これまでも派遣期間の上限が3年であった次の26業務については、期間制限が撤廃されました。
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26業種:ソフトウェア開発/機械設計/放送機器等操作/放送番組等演出/事務用機器操作/通訳、翻訳、速記/秘書/ファイリング/調査/財務処理/取引文書作成/デモンストレーション/添乗/建築物清掃/建築
設備運転、点検、整備/案内・受付、駐車場管理等/研究開発/事業の企画、立案/書籍等の制作・編集/広告デザイン/インテリア・コーディネーター/アナウンサー/OAインストラクション/テレマーケティングの営業/セールスエンジニアの営業、金融商品の営業/放送番組等における大道具・小道具
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【3】「月末月初・土日派遣」についての期間制限を撤廃
1ヶ月の労働日数が、派遣先の通常の労働者の所定労働日数に比べて相当程度少なく、かつ厚生労働大臣の定める日数以下である 業務については、期間制限がなくなりました。
【4】製造業務、社会福祉施設における医療業務への労働者派遣の解禁
これまで派遣が禁止されていた医師、看護士も、社会福祉施設については可能となります。また、製造業務への労働者派遣も解禁され ましたが、製造業務については経過措置として、法施行後3年間は派遣期間の上限を1年とし、それ以降3年となります。
【5】期間を超えた派遣については、雇用契約を申し込む
派遣先が派遣期間の制限を超えて派遣労働者を使おうとし、労働者も雇われることを希望する場合、派遣先は直接本人に雇用契約の 申込をしなければなりません。違反した場合は、企業名が公表されることになっています。
【6】18職種の「紹介予定派遣」について事前面接や履歴書の送付が可能
これまで条文として明記されていなかった、派遣期間終了後に派遣労働者を正社員として雇用することが予定されている「紹介予定派遣 」について明記され、就業開始前にその労働者の履歴書を派遣先に送ったり、面接・内定したりすることが可能になりました。
| 18職種:医師/看護師/保健師/助産師/放射線技師/理学療法士/作業療法士/臨床検査技師/視能訓練士/臨床工学技士/義肢装具士/救急救命士/言語聴覚士/歯科医師/歯科衛生士/歯科技工士/薬剤師/管理栄養士 |
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