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個別労働紛争解決制度

1.個別労働紛争解決制度とは

労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争を、「個別労働関係紛争」といいますが、近年こうした紛争が、企業組織の再編や人事労務管理の個別化に伴って急増しています。民事の問題である個別労働関係紛争は、最終的には裁判で解決されるべきものですが、現実の問題として、裁判には多くの時間と費用がかかります。また、労働者と事業主という継続的な人間関係を前提とした円満な解決のためには、労使慣行などをふまえた解決が図られることも重要です。
 こうしたことから、厚生労働省が2001(平成13)年度から発足させたのが、「個別労働紛争解決制度」です。個別労働紛争解決制度は、無料で個別労働関係紛争の解決援助サービスを提供する、全国レベルのセイフティ・ネットとして、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、労働分野の裁判外紛争処理(ADR:Alternative Dispute Resolution)制度として整備されました。
 具体的には、「都道府県労働局長の助言・指導制度」と「紛争調整委員会によるあっせん制度」を整備し、全国300ヶ所に相談コーナーを設けて、労働紛争調整官を配置、紛争調整委員会を設置することで、以下のシステムにより展開されています。
 

 

 なお、本制度はあくまで自主的な解決を促進するものであり、話し合いの方向性を示すもので、受け入れを強制するものではありません。

2.対象となる紛争

 個別労働紛争解決制度の対象となるのは、次のような個別労働関係紛争です。
 ・配置転換、転籍出向、在籍出向、解雇の有効性
 ・就業規則の変更に伴う労働条件の変更
 ・企業経営上の必要性による解雇(いわゆる整理解雇)
 ・採用内定の取消、雇止め
 ・募集・採用、職場におけるセクシュアルハラスメントなど
 ただし、(1)労働関係調整法第6条に規定する労働争議、(2)国営企業及び独立行政法人の労働関係に関する法律第26条第1項に規定する紛争、(3)男女雇用機会均等法第12条に規定する紛争は、本法律の対象とはなりません。

3.制度の現状と課題  

 2002(平成14)年度の労働紛争相談件数は、前年度比25%増の約10万件で、うち委員会のあっせん申請は約3千件であり99%増となっています。こうしたニーズの高まりを受け、今年度は労働紛争調整官が50人増えて計58人に、非常勤の有識者からなる紛争調整委員会の委員が計174人から300人に増えています。
 しかし、昨年度のあっせんの解決率は5割と公表されていますが、これはあっせん件数のうち「合意」と「申請取り下げ」を足した割合で、「合意」に限れば38%、あっせんを打ち切った割合は48%にのぼっています。東京都では、助言・あっせんまで行った割合は、相談件数の5%程度と低いものとなっています。
 現在のところ、相談員や委員の採用・選任基準は不明確なままで、一部の相談者からは「頼りにならない」という声も上がっているようです。調整官を増員したものの、初期対応にあたる窓口相談員も委員の非常勤で、地域によっては人選の情報公開もない状態となっています。内部からも、調査権限がないため事実認定ができず、処理を打ち切らざるを得ない、相談員の位置付けに無理がある、あっせんや助言に応じるかどうかは労使の自由であり限界が多い、といった意見は多く、態勢の強化が大きな課題となっています。



 



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