1.フェアトレードとは
「フェアトレード(Fair Trade)」とは、公正な(フェアな)貿易(トレード)と訳されます。「草の根貿易」、「オルタナティブ・トレード(Alternative
Trade:もうひとつの形の貿易)」とも呼ばれています。特に第三世界あるいは途上国(南北問題でいうところの「南」)と呼ばれる、世界経済や流通
システムの歪みによって貧困に追いやられている弱い立場にある人々を支えるために始められました。
フェアトレードは、「寄附」や「援助」とは異なるもので、立場の弱い人々が正当な報いを受け、誇りを取り戻して自立することを共に目指す、対等な「パートナーシップ(Partnership:協力関係)」による貿易です。
フェアトレードでは、公正な報酬を支払い、継続的に安定した取引を行うことで、生産者である人々を支援します。生産地に豊富な原料や伝統的な技術を活かしながら、環境に負荷をかけない方法で、広く消費者に受け入れられる商品を開発できるよう、様々なアドバイスや情報を提供します。
フェアトレードに関しては未だ普遍的と言える定義はありません。ここでは、他関連団体との調整・承認を前提としてIFAT(International
Federation for Alternative Trade:国際フェアトレード組織連盟)において採択された定義を、以下に上げておきます。
<IFATによるフェアトレードの定義>
| 「フェアトレードは対話、透明性、尊重に基づく、取引による協力であり、国際貿易においてより公正な取引を追及する。また社会で冷遇され、厳しい立場にいる生産者により良い取引条件を提供し、彼らの権利を保護する事によって持続可能な発展に貢献する。フェアトレードの従事者と消費者は生産者の支援や意識の向上、従来の国際貿易の規則と習慣を変えるため、積極的にかかわるものとする。」 |
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2.フェアトレードの経緯
フェアトレードは、1940年代に「オルタナティブ・トレード」として、米国のNGO(Nongovernmental
Organization:非政府組織)活動の中から、現地の人々の雇用につながり経済的な自立と貧困問題の改善を目指す貿易として始まったと言われています。その後、欧州を中心に1960年代から本格的に広まりました。
60年代は主に開発援助活動が中心で、後半頃から経済的な問題の解決による自立の必要性が意識されるようになりました。70年代中頃から生産者情報が消費者に伝えられ始め、貧困や環境に関わるものなど様々な問題を改善しようとする動きがでてきました。しかし理念を実現し得るビジネスとしての展開は困難でした。
こうしたことから、資本の規模、専門性のあり方などが認識されていきました。一般
市場に向けた販売を実践していくため、1988(昭和63)年に「フェアトレードラベル運動」がオランダで始まり、1992(平成4)年にドイツを中心に広まっていきました。輸入団体が共通
の課題を話し合い改善していく運動(EFTA)や、フェアトレードに貢献しよとする店の組織化(NEWS!)も展開されました。
1989(平成元)年には、生産者と購入者がお互いの課題の改善に向けて話し合える国際的な組織であるIFATが設立され、1997(平成9)年にはフェァトレードマークのネットワーク組織FLO(Fairtrade
Labelling Organizations International)が設立されています。IFATには1999年12月時点で47カ国143団体が加盟しています。
日本でも80年代半ばから広がり、10年ほど前からフェアトレードに取り組む団体やフェアトレード商品を扱う店が増えています。日本では、1993(平成5)年にいくつかの市民団体(NGO)と教会組織が集まって「トランスフェアジャパン」が設立されています。
3.フェアトレードの背景
こうした活動の背景には、「南北問題」と呼ばれる先進国と発展途上国の経済格差、環境問題などがあります。一般
的な経済理論では、効率性を追求しより安価な原材料の調達を指向することになります。しかし経済のグローバル化が進む中で、工業化社会を達成した先進国(「北」)とそれ以外の国(「南」)が、市場原理だけで競争した場合、その結果
がどうなるかは明らかです。
グローバルに事業を展開する企業の多くは、コストを削減するために安価な労働力、緩い規制、豊富な資源などを途上国に求めます。一方「南」では、貧困問題、劣悪な環境、苛酷な労働を、生きるために強いられるといったことも少なくありません。
途上国では労働者の権利が守られないことが多く、労働環境が劣悪で、受け取る賃金が不当に低く抑えられているといった現状が多く見られます。そのため、教育を受けられず過酷な労働条件で働かざるを得ない子供も多くいます。
こうした状況を改善しようと、これまでも寄附や援助などが行われてきましたが、こうした方法は根本的解決とはなりませんでした。物やお金による援助は、多くの場合依存心を強めてしまい、一方で、人としての尊厳を傷つけるものともなりました。援助が打ち切られてしまえばもとの状態に戻ってしまうといったことも多く、持続的な発展に寄与するものとはなりませんでした。
経済的自立を目指そうとする生産者側からの声もあり、これを支援するためにはじめられたのが、フェアトレードです。
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