1.ファブレス経営とは
「ファブレス経営(Fabless Business)」とは、自社で独自に企画・設計した製品を、他社に委託し製造する経営手法をいいます。生産設備のようなストックをできるだけ持たない手法であることから「フロー型経営」とも呼ばれる、製造業におけるアウトソーシングの一形態です。
ファブレス経営には、(1)設備投資が最小限ですみ、景気変動の影響を受けにくい、(2)経営資源を開発や企画に集中できる、(3)身軽であり市場の変化に素早く対応できる、といったメリットがあります。一方で、(1)製品に関するノウハウが他社に流れてしまう、(2)自社内に生産現場の知識が蓄積できない、(3)品質や納期の管理が困難である、といったデメリットがあるとされています。
2.ファブレス企業の形態
ファブレス企業は、大きく分けて概ね以下の5つに分類することができます。
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研究開発型
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研究開発に特化して生産を外部に委託する最も一般的な形態。製造設備への投資資金は研究開発に回し、得意分野を構築していくという手法。 |
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戦略的提携型
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ベンチャー企業等が独自の研究開発を行い、大企業に生産を委託するといった形態。リスクを小さくしながら、製造コストの引き下げと品質の向上が期待できる。 |
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商品企画型
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マーケティングと商品企画を中核とし、研究開発部門や製造部門を持たない形態。委託先企業とのコラボレーションによる商品化や販売戦略を実施する。 |
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コーディネート型
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複数の企業のコーディネートを行う、中小企業集積地などにおいて有効な形態。パートナーシップにより、競争原理を導入した規模を問わない企業間協力を実現。 |
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コ・ソーシング型
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複数の企業が互いの経営資源を共有し、イコールパートナーとして新しい付加価値を生み出すもの。アウトソーシングの枠を超えた協力形態。 |
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3.ファブレス化の留意点
ファブレス企業の事業成功のための留意点として、以下をあげることができます。
(1)コア・コンピタンス経営の徹底
自社の中核業務(コア・コンピタンス)に経営資源を集中させ、得意分野に特化させることで、市場競争力を確保することを目指す。特に中小企業にとってはニッチ市場で強みを発揮することが必要である。
(2)マーケティング力の強化
ファブレス企業の存在価値は、企画・研究開発に特化することにより競合他社よりも数段優れた製品を開発・提供することにある。良いパートナーシップの関係を築くためにも、将来を予測するマーケティング力の強化は不可欠である。
(3)自社による販売
マーケティング力の向上には、顧客との窓口を確保し製品開発にフィードバックする必要がある。販売をアウトソーシングする場合には、情報技術を活用するなどの工夫が必要となる。
(4)信頼できるパートナーの選択
パートナー次第で成功も失敗もありうることから、この選択には慎重さが必要である。能力の確認と自社が期待する業務との適合、綿密な契約、相性なども確認し、良好な信頼関係を確立することが求められる。
(5)知的財産権による防御
研究開発型のファブレス企業などでは、開発技術を盗まれるリスクを常に背負っている。委託前に財産権を確立する、委託先を分散させるなどし、リスクを回避すべきである。特に大企業との提携には、規模の違いもあり注意を要する。
(6)キーとなる技術の自社による実施
生産技術上でキーとなる技術は自社で実施し、ノウハウの流出を防ぐと同時に、自社内で技術ノウハウの構築、蓄積に努めていく必要がある。
4.生産専門工場について
受託側の生産専門工場には、下請け的な生産工場でなくファブレスと量
産工場を組み合わせる発想が求められます。試作から生産までの機能がある工場として、(1)高い安定した生産技術、(2)試作から生産までの機能、(3)価格競争力のある生産体制、(4)コーディネート力、などが必要となります。
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