4.論理的思考力
最後に、重要な能力となってくるのは、戦略営業を実践するにあたっての論理的思考力です。では、論理的思考とは具体的にどのような思考方法のことでしょうか?
このコラムはロジカルシンキングの教本ではなく、実践営業戦略のコラムですので、戦略営業を実践するのに最低限必要な定義にとどめておきます。ポイントは4つあります。
1)目的・主張・結論が明確である
2)主張・結論に根拠が伴った思考である
3)首尾一貫した思考である(飛躍がない)
4)事実と仮定が明確に区分けされている の4つです。
声高に明快な主張をしているのだけれども、どこかでストーリーが飛躍している、または理由付けが強引に感じることがありませんか?そうした議論は論理的思考をしていない議論なのです。
論理的思考は一見難しそうに見えますが、ある程度までは独学でも学ぶことはできます。身に付けるコツは“なぜ”を問いかけ続けることです。ちょっと気をつけていただきたいのは自問自答するときは愚直に“なぜ”、“なぜ”をくりかえしてもよいのですが、顧客との商談のときにあまり論理的思考を前面に出して畳み掛けたり、顧客を論破することは本質的な戦略営業の目的ではありません。そんなことをしたら顧客の機嫌と信頼性を損ね、せっかくの商談をぶち壊しにしてしまうでしょう。
これは、また、お客さんに対する質問だけでなく、自社の製品やサービスを営業するときに『ちょっとまてよ。これって本当にお客さんにとって最適な商品なのか?確かにお客さんのニーズは満たせるけど、果たしてそのニーズは必須となるニーズか?それともあれば尚可、という程度のものか?』、『自社の商品としてはこの提案でOKだけど、果たしてライバルの商品の方が優れているのでは?』、『もしライバルの方が優れているとしても、どこかに自社の優れた部分(比較優位性)があるはずだ…でもそれっていったいナンなんだろう…』そこまで考え、お客さんが抱く疑問や質問をあらかじめ全てシミュレーションした上で、提案方法を考えた上で提案しないと当然説得力がないですよね。
そして、お客さんは必ずしもこのように質問してくれるわけではありません。こちらが一方的に『うちの商品がベストですよ!』といっても、通常はライバルのお客さんをはじめ同様の営業担当から嫌というほど提案を受けているので、あなたよりもはるかに商品について詳しいこともあるのです。おそらくあなたが根拠なく『うちが1番!』と営業しても、『どの部分が1番?』と聞いてくれるお客さんは1割程度で、残りの9割はせいぜい『(まったく話にならんなあ…まあ反論するのも面倒だから「はいはい」聞いて断っとけばいいか…)』なんて適当な対応をされて大事な長期的な信頼を失ってしまうこともあるのです。
重要なことは、ニーズがありそうなお客さんに対し、いかに状況をヒアリングし、事実を分析した上で、意見(アドバイス)を差し上げるかです。しかし、それ以上に重要なことは、その質問や提案をする前に、自分で『なぜうちの商品が良いのか。そしてどの点が、他社の商品より、どの程度良いのか』ということを突き詰めて考え、十分な認識と対策を持ってはじめて訪問することなのです。
皆さんも営業テクニックに走る前に、今一度冷静に自社の商品を分析し、お客さんになったつもりで『なぜ?』を何回も繰り返して自社の商品の存在意義とお客さんにとってのメリットの具体的ポイントを絞りこみましょう。覚えておいて下さい。どんな商品も良い点があり、悪い点があります。『うちの商品はどこをとっても他社に負けている』ということはほとんどないはずです。えっ、万が一あった場合? それを自社の営業部の上司に論理的に分析し説明をしましょう。そして『本当に有利な点は何もないか』聞いてみて下さい。もし本当に何もなくて会社もそれを改善しようとしない場合は、最後の手段です。『お客様にとってのメリットは、私がお客様の営業担当であることです。私の営業フォローは誰にも負けません。私を信頼し、私を買って下さい!!』当然、その際、自社製品のフォローだけでなく、『お客さんが困ったときに必要となる相談役であり続けるためには何をすべきか』を考えて、自分を磨き続けることを忘れてはいけませんね。
次回は戦略営業の重要性と方法についてです。
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