これまで長期間戦略営業について見てきましたが、そろそろ戦略営業のまとめに入ります。
最後に重要な2つのポイントを確認したいと思います。どちらも「当たり前じゃないか」と思えるようなポイントですが、常に「なぜ?、なぜ?」と繰り返してゼロベースで問題を追及(自問)していくことが重要ですので、是非考えてみてください。
(1)なぜ「営業」が経営の中でこれまで以上に重要視されてきているのか?
(2)戦略営業で重要な「気合」と「戦略」のうち、「戦略」とは何か?
という2点です。
1.なぜ営業か?
会社内で最もお客様に近く、また直接コミュニケーションをとることのできる役割を持つのは、営業担当か、コールセンター(お客様センター)の受付・苦情処理係くらいでしょう。
しかし、やはり新規の顧客のニーズを探り、そのニーズにあった製品を提案する、または既存の顧客とのコミュニケーションを元に、更なるニーズを認識し、新たな提案を行う、という正に付加価値を生むプロセスを行う最も重要な役割は営業が担っているといえます。
このように、どの組織でも営業の役割は重要ですが、その重要性と比較してこの営業に対する組織の見方や学習体制などはあまりに軽視されすぎているといえます。当然、マーケティング、そして技術開発部、財務・経理部などの役割のほうが軽い、ということではありません。ここでのメッセージは、これらの各部署の仕事に比べ、一見誰でも経験なくできそうな営業の仕事であるため、その営業に必要なスキルやノウハウをあまり考えることなく、個人の感性やセンスに任せっきりにしていた、といえるのです。
2.戦略(的)とは?
本寄稿の最初のところで、できる営業は「気合」と「戦略」の両方が必要と述べましたが覚えていらっしゃいますか?つまり、戦略営業といったからといって気合が必要ないわけではなく、それは当たり前のように当然必要なもの、ということですね。
改めて考えると以外と難しいのがもう1つ「戦略」についてです。戦略が必要と一言で言われても、何をもって戦略的思考なのか、ということが難しいのではないでしょうか?
ある方がわかりやすい説明をされていました。戦略的思考とは、「複雑な状況を骨太に(大きな柱を)捉える(理解をする)こと」ということです。つまり、「ものごとを論理的に考え、その中からある方針にもとづいて意思決定をするような思考」といえます。そして、ここで重要なことは、「この最低限の論理的思考を全ての営業が持つことで、成績が上がるか上らないかは水物であった営業が、安定的にある一定以上のレベルの提案ができる営業に変わるということです。
組織として継続的に強さを維持し続けている企業には、見本になるような良い営業担当は存在しても、誰もが驚くような業績を1人で挙げるようないわゆる『カリスマ営業担当』は存在しないといいます。ここでは2つのメッセージが含まれています。
まず1つ目は、優れた組織では、「できる営業担当に必要なスキル・ナレッジを全員が共有している」ということです。つまり、個人の素質の話をする前の段階で、最低限マスターすべき基本を押さえてある、ということです。 最終的に個人の力量がある程度結果にでることは確かですが、少なくとも効率的且つ効果的な営業という最低限の標準形を営業担当全員がマスターしておくことで、力量の差による営業結果のブレを劇的に無くすことができるのです。
2つ目は、営業の成績は『個人レベルではなく、組織レベルで向上させている』、ということです。特別な人しか実行できない(標準化できない)ようなスキルやノウハウに頼ってしまうことは、営業のほとんどをその特別な人に依存してしまうことを意味し、その人が抜けてしまった時に営業が立ち行かなくなるリスクや、その特別な人のスキルやノウハウが変わらなくても営業環境の変化によりその目に見えにくい強みが営業結果と結びつかなくなってしまう可能性があるのです。
つまり、1人のカリスマ営業を作る労力を割くのであれば、全員で学び、共有していく営業スキルやノウハウについて、営業組織全体のレベルを1%ずつ伸ばしていくほうが安定的かつ継続的な営業結果を出していくことができます。
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