楽しい楽しいゴールデンウイークも終わり、「そろそろ夏休みの海外旅行のプランを立ててなくちゃ!」なんて、気の早い方(?)も多いことでしょう。でも今年は世界中で問題になっているSARSや鳥インフルエンザが大流行していて、ちょっと心配ですよね。マスク着用で感染予防につとめることはもちろんですけど、もし海外で病気になってしまったら、相当なお金がかかることが予想されます……。
そこで今回は、運悪く海外で病気になったときのマネー術についてお教えしましょう。
■「健康保険」で海外旅行の医療費がカバーされる
これから海外旅行に出かける方はもちろんのこと、これまで、海外で病院にかかった経験のある方にも、ぜひ知っておいてもらいたいことがあります。海外旅行の保険といえば、一般の保険会社などが提供している「海外旅行傷害保険」がピンときますが、この海外旅行保険に加入しなくても、「健康保険」で海外旅行の医療費をカバーできるんですよ。
これは、国民健康保険法の一部改正により、「海外療養費」の制度が導入されたためで、2001年1月1日以降の受診から適用されるようになっています。なお、政府管掌健康保険いわゆる社会保険では、1981年からこの制度が導入済みです。「じゃあ、旅行先の病院の窓口で保険証を出せばいいのかな?」。残念ながらこれはNG。保険証は日本語で書かれているので、病院の窓口で保険証を出しても不思議な顔をされるだけでしょう。
■国内と一緒で3割を自己負担して、残りを健康保険が支払ってくれる
まず現地では医療費の全額をいったん自費で支払い、帰国後に海外療養費の請求をすることになります。支給される療養の範囲は、日本において保険診療と認められているものに限られ、治療費も実際にかかった額ではなく、日本の診療機関で疾病や事故などで給付される場合を標準とし決定した金額(標準額)から、被保険者の一部負担金相当額を引いた額が海外療養費として支給されます。国内と一緒で3割を自己負担して、残りを健康保険が支払ってくれるという仕組みです。
ただし給付金額は、全額が払い戻されるわけではありません。 審査の段階で診療報酬と呼ばれる日本独自の治療費の算定基準(標準額)で計算し直すからです。具体的には、実際に支払った額(実費額)が標準額よりも大きい場合は、標準額から被保険者の一部負担金相当額を差し引いた額となります。また実費額が標準額よりも小さいときは、実費額から被保険者の一部負担金相当額を差し引いた額が払い戻されることになります。
■実際の医療費が日本国内標準保険診療費より大きい場合
支給額=日本国内での保険診療費−(日本国内での保険診療費×3割)
■実際の医療費が日本国内標準保険診療費より小さい場合
支給額=実際の医療費−(実際の医療費×3割)
どちらにしろ負担が小さくなるようになっているわけです。国によっては医療費が非常に高い場合があるので、日本の基準に照らし合わせて戻ってくるのはありがたいですね。なお、この際、支払われる金額のレートは支給決定日のレートが採用されます。
■現地の病院で“診療内容明細書”と“領収明細書”を忘れずに
海外療養費の支給申請は、「海外療養費支給申請書」に必要書類を添付し、国保であれば市町村、社会保険であれば社会保険事務所または会社の健康保険組合に提出します。必要となるのは“診療内容明細書”と“領収明細書”です。これは現地の病院で書いてもらう必要があります。この書類に翻訳文を添えて提出します。
もし心配なら海外渡航前に、あらかじめ地元の市町村や健保組合の窓口で「海外療養費支給申請書」(日本語、英語が併記されている)をもらっておいて、海外で病院にかかったときにすかさず提出・記入してもらえば手続きがスムーズ。
なお治療費を支払った日の翌日から数えて2年間を過ぎてしまうと、払い戻しはされなくなってしまうので注意してください。というよりも、2年以内は健康保険で払い戻しされるのですから、もしこの期間内に海外で病院にかかった経験があるなら、手続きをとってお金を取り戻しましょう。
★添付書類はコレだ!
・「診療内容明細書」(診断書)
……病院等が発行する診療等の内容がわかるもの
・「領収明細書」
……薬代や入院費など費用の明細がわかるもの
・上記の証拠書類が外国語で記載されている場合は、
日本語の翻訳文(翻訳者の住所および氏名を記載)
★おすすめサイト
以下のサイトで「診療内容明細書」「領収明細書」をPDFファイルでダウンロードできる。また翻訳(英語以外も可)も行っているので、語学が苦手な人は利用すると便利(有料)。
http://www.kokuho.or.jp/intra/html/kokuho/kaigai/honyaku.htm
■支給される範囲は、保険診療と認められているものに限定
支給される範囲は、日本において保険診療と認められているものに限られます。日本で保険が効かないものは海外でも効かないということです。臓器移植や不妊治療、性転換手術などは適用されません。もちろん美容整形なども適用外です。
最後にこれだけはご注意を!「健康保険がきくから、一般の海外旅行保険は必要ない」と、決して考えないでください。健康保険には死亡時の保険金や、物損や盗難などの損害補償や、携行品補償、救援者費用などの仕組みもありません。また現地にヘルプデスクがあるとか、電話1本で症状に応じた最寄りの病院を教えてくれる、といったきめ細かなサービスもありません。これらをカバーしておくために、やはり民間の旅行傷害保険に加入しておいた方が絶対に安心です。最近はネットやコンビニで気軽に加入できるようになりました。なお、民間の旅行傷害保険等から保険金が支給される場合でも、海外療養費の支給額が減額されることはありませんからご安心を。
〈注意点〉
現地でいったん全額を自分で立て替えなければならない
全額が支払われるわけではない この制度は原則として1年以内の短期渡航者が対象
必要書類を調える費用、必要書類の翻訳にかかわる費用は本人負担となる
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