時はインターネット黎明期。IT革命という言葉もない頃の話です。私が週末起業としてホームページ制作の仕事を始めたのは、ほんの小さなきっかけからでした。中国の留学から帰ってきた私は、海外の友達コミュニケーションを取るためにノートパソコンを買いました。Eメールが使えれば、簡単に連絡を取れると思ったからです。また、簡単な自己紹介のために、個人のホームページを作りました。日記を書いたり、掲示板をつけたりと、思えばそれが私が作ったホームページ第1号なのですが、とても質素なものでした。
■ホームページの基本 HTMLは独学
当時からネットサーフィンは大好きで、「テレホーダイ」というNTTの定額サービスを利用していました。夜11時から朝の8時まではどれだけつないでいても無料というサービスです。今となっては当たり前の事ですが、当時は本当に夢のような話でした。夜11時になるとインターネットをつなげ、ネットサーフィンを開始します。夜中になってもネットサーフィンを続けて、気が付けば朝になってしまうという夜型の生活スタイルになってしまいました。この頃の癖が抜けず、私は今でもずっと夜型人間です。
ホームページを作る基本であるHTML言語は独学です。当初はただの文字の羅列にしか見えない状態だった私は、友達にすすめられるまま、無料のホームページ制作ソフトであった「フロントページエクスプレス」というソフトを使っていました。しかしテレホーダイを使って色々なホームページを見ているうちに、性格的に凝り性の私は、ホームページの仕組みに興味を持ち始めました。リンクの仕組みや、きれいなHTMLの見せ方、Java Scriptなどの簡単な方法、どれも自分のホームページで一つずつ実験しながらマスターしていきました。さしずめ私のホームページ第1号は、とても都合の良い実験室だったのです。
そしてある日の事です。すっかりインターネットにはまっていた私が目にしたのは、あるエンタテインメント系の有名サイトでした。そこにはバナー広告がびっしりとはりめぐらされ、ご丁寧にも広告依頼主に対する広告募集のページまで存在していたのです。この時私の中でアイデアがひらめきました。「インターネットってお金が儲けられるのか!」「たくさんアクセスしてもらえるホームページを作れば、広告を貼ってお金が儲けられる!」自分のペースでできるアルバイトを探していた大学生の私は、こうしてアルバイト感覚でアクセスの増やせる人気ホームページを作ろうと決意したのです。
■エンタテイメント系サイトのバナー広告で大儲け
今となっては夢のような話ですが、私の中にはネットバブルが確かに存在しました。テレホーダイを使って色々なサイトを研究しては、エンタテイメント系のサイトを作り始めました。まだ書店にはウェブマーケティングの本さえほとんどないような時期でしたが、私はその頃からすでにどうすればアクセスがあがるホームページが作れるのか考えるようになっていました。無料のホームページスペースを探し、無料のメールアドレスを使い、英語のサイトからアクセスを調べる無料ソフトを探し出して設置しました。できたホームページには利用者が欲しがりそうな情報を並べ、アクセス調査ソフトでどのコーナーに人気があるのか調べたり、同系列のサイトと積極的に相互リンクを結ぶようにしました。それをつきっきりで毎日毎日更新を続け、気が付くと私のホームページはエンタテイメント系としては押しも押されぬ人気ページになっていたのです。1日のアクセスが1万を越える日々が続き、こうなると広告依頼が殺到します。今でこそ成果主義のアフィリエイトのような仕組みがありますが、当時は月極め契約が基本です。広告主もクリック率などの計測は行っておりませんでしたので、ほとんど言い値でバナーを契約していきました。全盛期は2万円のバナーを10ヶ所、1万円のバナーを10ヶ所というように広告を設置していきましたので、それこそ月額にすると大学生には身分不相応な金額を稼いでいました。
銀行口座を見て夢のような金額を確認し、インターネットでお金を稼げるとわかった瞬間、私は本格的に独学を始めました。まだインターネット関連の書籍が充実していなかった当時は、良いサイトをどんどん見るのが私の勉強法でした。良いデザインのサイト、表示時間が短いサイト、操作性が良いサイトなどなど、分類した私のブックマークはとんでもない数に膨れ上がっていきました。その度にブックマークした良いホームページを調査し、取り入れられる技術はどんどん取り入れていきました。こうして私のインターネットの基礎知識は形成されていったのです。
■趣味が高じて楽しみながら培ったノウハウ
順調に人気サイトを作り上げ、バナー広告による収入を得た私ですが、あまり長くは続きませんでした。定額制だったバナーが、次第にそのバナーのクリック率を気にするようになり、広告費が次第に値下がりしていきました。また、私自身の甘えもあり、更新を怠るようになったホームページのアクセスも少しずつ減少に転じ、私が社会人になるとほぼ同時に水泡のように消えていきます。そして私の手元に残されたのは、広告費で得た少しばかりの貯金と、この人気サイトを通じて培ったホームページ制作や運営に関するノウハウでした。現在の勤めているITソリューション系の会社に就職できたのも、このノウハウがあったお陰ですし、週末起業を始めるきっかけになっていくのです。
いかがでしたか?今回は私が週末起業のビジネスの種を育てていく過程をご紹介しました。私はホームページの制作という当時としてはあまり取り上げられていなかった分野に目をつけ、人気ホームページを運営する中でそのノウハウを蓄積し、それをネタに週末起業に至るのです。こんな事あるわけないじゃないか!と思っている方、自分自身のビジネスの種はあなたの身近な所に転がっているかもしれませんよ。
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