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講師紹介


細野晴義
(ほそのはるよし)

1965年生まれ。マーケティング・コンサルタント。電通ワンダーマンダイレクト(現・インピリック電通)を経て、99年、ニューロ・テクニカ(現・取締役社長)設立。数多くのDRM関連のマーケティングをプロデュース。現在はDRMセミナー講師から事業プロデュースを中心に行う。企画立案のスキルにおいて、現役マーケターNo.1の呼び声が高い。著書「パワーポイントでつくる企画書ベスト事例集(翔泳社)」はアマゾンで総合ランク最高28位、企画書解説本としては一年間一位をキープ。全国でDRM関連の研修、セミナーを行い、DRM関連専門誌Impressでは連載執筆、座談会司会をする。

【URL】
http://www.neuro-technika.com/index.html


    ■第6回    並列試行と直列試行(3)  
 

 並列試行というのは何もDMだけのことではありません。サッカーのようなマーケティングでもふれましたけれども、それはマスメディアも多く含むことも意味します。 ただ、これまでとは使い方が随分と異なります。

確かに、今の時代は

  • オールターゲットというのはあり得ない。
  • マスメディアをみんなが見ているとは限らない。
  • マスメディアは効果測定があいまい。
という性質を持つのは確かです。
  • 広告をやめたいのだけど、今やめるのは怖いから続けている。
という声を聞くこともあります。

 私はダイレクトマーケティング、ワントゥワン、CRM…といった類のものが専門です。だからこそ、これまでの連載もそのようなことに偏るのですが、じゃあ、まったくそれだけを信じているのか?というと経験上そうではありません。

 最近、新しく銀行を作るなど話題に事欠かない木村剛という人がおります。よくテレビ番組にも出てきます。この人が産経新聞の連載アーリー・ウォーニング!で「理論妄信する経済学者の限界」というもので、経営学の世界的権威ピーター・ドラッカーの言葉を引用しています。

 「個人と企業はマクロ経済の従者であるが、史上その従者たる個人や企業が主人たるマクロ経済に屈服したことは1度も無い」

1月12日産経新聞に連載のものを要約して引用  

 わかりやすくいうと、「経済学の理論は大きな影響力を持つけれども、個人と企業は理論どおりに動くとは限らない」ということです。

さて、今回はCRMについて少しふれてみます。

CRMという言葉は、最近少し鳴りを潜めましたが、しかし2年ほど前にビジネスの世界では大ブームを引き起こしました。CRMを実現するために、億単位の投資をしている会社はたくさんあります。しかし、その7割は失敗しているとも至るところでリポートしています。

その理由はなんでしょうか? それはCRMという美しい理論に無理やりあてはめようとしたからだと私は考えています。

人間の行動というのはとても多様です。 その多様性を認めるのがテストという考え方でもあります。 同時に、CRMがどんなに失敗していても、この試みを多くの企業は捨てきれずにいます。それは何かしらの形でしなければならないことを肌で感じているためでしょう。


■ターゲットリストの特徴を知る

さて、前回(第5回)で示したDM用のリストの中には、幾つかリストのパタンがあります。少しおさらいしてみます。


ターゲット リスト種別 抽出条件 抽出条件2 使用するリスト 結果
経営者 一般 のDB 最近10年間に設立した会社の経営者 売上30億〜50億 企業経営者情報
売上30億以下 ×
設立後11年以上経過している会社の経営者 売上30億〜50億 企業経営者情報
売上30億以下 ×
雑誌購読者 ビジネス系雑誌で経営者 雑誌購読者

 こここで、気になる言葉があります。「一般のDB」「雑誌購読者」。 この表は横軸に比較の基準とすることを、そして縦軸に比較の対象が書かれています。 「一般のDB」と「雑誌購読者」をどうして縦にならべているのでしょうか? 縦軸であろうと、横軸であろうと、表というものは必ず、何かしら比較できるもの同志でなければなりません。

 他のところは良くわかると思います。例えば抽出条件において、「最近10年間以上に〜」と「11年以上〜」、あるいは売上による比較。

さらに、表中、「一般のDB」を上に書き、「雑誌購読者」を下に書いてあるのもちゃんと理由があります。

 さて、ここに「雑誌購読者」ではなくて、「雑誌からの反応者」、とした場合はどうなるでしょうか?表はこんな感じになります。

<p> 前回モチーフとなったIT系のイベントを行う会社も実際にはDMだけでなくマスメディアを多くやっています。実際には、雑誌だけでなく、新聞もやっているのですが、話をシンプルにするためにここでは割愛します。 注目すべき点はもうひとつあります。DM用のリストとして、「昨年度来場者」というのを行いました。

ターゲット リスト種別 抽出条件 レスポンス率
経営者 雑誌反応者 ビジネス系の雑誌 -
一般のDB 設立年と売上によりセグメント 1.2%
雑誌購読者 ビジネス系雑誌で経営者 1.8%
昨年度来場者   12%

 この表をもう少し詳しく分類してみましょう。 抽出条件のところを割愛します。


ターゲット メディア種別 リストの特性 リスト種別 レスポンス率
経営者 マスメディア 事前にリストなし 雑誌反応者
DM 事前にリストあり 新規客 一般のDB 1.2%
雑誌購読者 1.8%
既存客 昨年度来場者 12%

■まず、リストの特性のところを注目してみましょう!

 「事前にリストなし」というのは誰が読んでいるのか分からない。母数も明確ではない。ということを意味します。マスメディアはその号によって販売部数が変わります。それも1単位で部数を把握するのは極めて困難です。また、誰が買ったのか?は分かりません。しかしDMの場合は事前に誰に送ったのが分かります。つまり母数が1の単位ではっきりとしています。

■次にレスポンス率のところを見てみます

 この来場促進プロモーションではこのような結果が出ました。マスメディアのところは−となっているのには理由が3つあります。ひとつは、1回だけでは極端にレスポンスが少なくて他との比較が困難であること。2つ目にマスメディアの場合、複数回やらないと意味が無いからです。3つ目に、マスメディはDMの効果をジャッキアップさせる働きがあります。

■そうするとリスト種別の並び順は?

 もうお気づきの方もおられるかもしれませんが、その答えは次号に…。 ただひとつだけ、この表ではマスメディアもターゲットリストのひとつ、としてとらえています。

 この表が持つ意味をしっかりと理解することは、失敗が多いとされているCRMがあるべき姿を正しく理解します。また、DMやインターネットなどを使いこなすことが重要視される今日のマーケティングの姿を理解することにつながります。 なので、もう少し詳しく解説していきます。


 ここで行っていることは実践のことばかりです。いくらマスメディア不要論を唱えようとも、いくらCRM先行論を唱えようとも、私もまったくの間違えであるとはいいませんが、冒頭のとおり、人の行動はとても複雑です。そう理論どおりにはさせてくれないわけです。

 並列試行をずーっと続けていると、そういうことも見えてきます。まったく同じパタンなのに、昨年と今年とでは正反対の結果が出たり。しかしその事実を重視することがテストの醍醐味、並列試行の醍醐味なのであります。



 



 



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