通販…もしかして、うちの会社も!と考えている方意外に多いのではないでしょうか?このところ、私の会社にも通販に関する相談がやたらと多くなっています。毎週何かしら新しい案件の話しが来ます。
私もこの世界にいてそこそこの経験があると言えるようになってきたのですが、この傾向はおそらく私のようなダイレクトマーケティングを専門とする人間にとっても経験の無いことです。これからのこの連載ではデジタル放送など新しいメディアにもふれていく予定ですが、その前に、商売・ビジネスの方法そのものについての大きな変化についてお話します。
そして次回は、Eコマース(電子商取引)についてお話をしたいと思います。
■通信販売の規模
通信販売はいまや2兆6000億円ほどの経済規模。国内総生産に対しておおざっぱにいって5%程度なので、これを多いと見るか少ないとみるか?という議論があります。さらに、EC(Eコマース)の台頭。これは統計によって異なるのですが、数年のうちに全小売の4%程度まで伸びるとされています。この手の統計数字はさまざまなものがあって、私たちもこのところ研究を進めているのですが、どの数字にどれが含まれているのか?分からない点もたくさんあります。
しかしひとつ大切なことは、これまで通信販売はごく限られたマーケットという印象を拭えませんでした。通信販売をする、というのはある特定の人の消費行動でした。対国内総生産は昔から5%程度と言われていたのですが、この絶対額が増えていることはそれだけ一般に普及しはじめていることを物語っているのでしょう。
そのひとつとして、メーカー通販という大きな特徴が出ています。
しかし、ある経営者は、「モノを作る能力」と「モノを売る能力」はまったく別物であると言い切ります。メーカー通販はこうしたこれまでのビジネスの常識を覆すものでもあります。
なお、通信販売は女性の多く(約8割)が経験しており、インターネットをはじめるとだいたい4年後くらいには一1度はインターネットでショッピング(EC)を経験するのだそうです。
■リアル(店舗販売)か?通販か?
同じ通販でもEコマースの世界ではリアル向きの商品なのか?通販向きの商品なのか?というのとを導き出す定式が明治学院大学の上原教授によって示されています。このような実践でも役立つ定式が研究者の方から出てくるのはとてもうれしい限りです。この定式については次回のEコマースの際に説明しますが、それよりも、リアル(店舗販売)か?通販か?これはいわゆるメーカーにとっては悩みの種でございました。
その理由はふたつあります。ひとつには、通販というのはなんといってもコテコテのイメージが強すぎてブランドイメージを壊すのではないか?という危惧。そしてもうひとつは、店舗との間でコンフリクトを起こしてしまうのではないのか?という危惧。
前者については、ここ数年通販企業の中でもいわゆる一流企業とされるような企業がどんどん出てきていることからそう抵抗はなくなりつつあります。それまでセシール、ニッセン、千趣会、ムトウといったような総合通販だけでなく、ファンケル、DHCといったものは決して世の中で悪いイメージは無いでしょう。ファンケルが銀座に店舗も持っているくらいの会社です。ジャパネットたかたは、不況の中でも成功ストーリーを作り上げた会社としてこれまたいい印象があります。これらの会社の売上規模も数百億に至り、これはもう一流企業として認識されてしかるべきでしょう。
後者については、これまで流通(卸売り・小売)の期限を損ねてはいけないので表立って通販をやることを控えていた多くの会社が、既存のチャネルに頼っていては自社の売上を決して守りきれるものではないことから通販に乗り出してしまっています。ちなみに、この店舗販売と通販というのは競合となるようでいて実際にはそれほどの問題は起きないようです。ようやく不況を脱しはじめている最中、多くの企業が伸びを示しつつありますが、小売業も決して絶対のものではありません。それはここ数年店舗を閉じたお店がたくさんあることが示しています。店舗が閉じられてしまうとメーカーは販路を失います。
こんな経緯から最近では大手企業がどんどんと通販に参入するようになってきました。
ちなみに、ある調査ではリアルの店舗を持っている会社の通信販売(あるいはEコマース)はあまりうまくいっていない、というデータがあります。
■大手企業がやる通販の特徴
総合通販が登場したのち、90年代後半はいわゆる1品通販、というのが流行りました。地方の会社が都会に向けて自社の商品1品だけ売るのです。この手の会社は成功事例を多く聞きます。○○の塩、黒酢、にんにく、アガリクスなど何かに特化しているのが特徴です。この手の会社の折込チラシはとにかくインパクト重視。要するにコテコテの制作物をつくります。しかしビジネスが成功していくとひとつの壁にぶつかるようです。
通信販売会社の人の話によると、ある程度軌道にのってさえすれば、10億、20億くらいまではいくのだそうです。しかし30〜40億くらいになるとこれまでの方法では太刀打ちできなくなります。売上規模が小さいうちはコアなファンが存在します。この人たちは何もしなくても買ってくれる人たちです。しかし売上規模が大きくなるにつれて新しいお客さんが増えてきます。この人たちには「私はいいものを買っている、人に説明を求められても恥ずかしくないものを買っている」という人たちが多く、そして何よりも、他の会社の顧客をとってきているので離反する可能性も大きくなります。また、商品数が多くなってきます。そうするとそれなりのブランドづくりをしなくてはならなくなります。
ある通販会社の創業時からの折込チラシを見せてもらったことがあるのですが、一目、最初はコテコテ、しかしだんだんと制作物にお金をかけているな、というが分かります。
さて、大手通販の場合、最初から熱狂的信者が存在することは期待できません。また元々資本力があるので商品ラインアップをそろえようとします。何よりも一流企業としてのブランドを傷つけるものではあってはなりません。
ところが元々通販を専門とする人たちは小さなマーケットを相手にしていたのでこのブランドづくり、という大手企業には欠かせないことを軽視してしまう傾向にあるようです。
もちろん、通販は1円単位で投資効果が見えてしまいます。なのでやみくもにブランドイメージづくりにお金をかけることは出来ないのですが、しかし無視してはいけません。
同時に、何よりもレスポンスを獲得するようなクリエーティブを作り出さないといけません。両者は矛盾しているのですがこの矛盾の追及こそ、いわゆるメーカー通販の課題とすべきところのようです。
これまでメーカー通販はこのバランスをどう取るのか?が見えなかったために、あまり成功しない、とされてきました。しかし最近では成功例が出つつあります。そしてその成功例が出ると他の会社もどんどんと参入してくる、といった現象が起きるのでしょう。
■メーカー通販が興味を示すメディア
それまで通販企業の主要メディアといえば、新聞での連合広告、健康などの専門誌、折込チラシなど、メディアの世界ではあまり主流といえないものでした。メーカー通販はこれまで主流とされてきたメディアに近い方法を選ぶようです。TVCMをやるほどの予算は無いのだけれどもCATVなら出来る、といったような感じです。
また、通販の宿命として投資効果を計測できるか?という問題もあります。
CATVは最近、かなり加入者が存在するようになりました。JCOM(ジュピターテレコム)は400万世帯、イッツコミュニケーションズは39万世帯、その他巨大なネットワークがどんどんと出来ています。CATV加入者は比較的裕福な家庭が多いとされ、30分枠といった放送、番組ガイドへのチラシ同封などさまざまな方法を採ることができるため、商品をじっくりと説明したいときにも向いています。(※ただし、JCOMは残念ながら通販枠は縮小していく傾向にあります)
これら新しいメディアについては別の回で詳しくお話ししていきますが、その他既存の通販会社は自社リストを新規参入するこれらの会社のためのメディア化させておりますし、メーカー通販のジレンマ(TVCMをやるほどの予算はないのだけれども何かしら必要…、投資効果を計測できるのだろうか?)といったジレンマを解決する手段がどんどんと増えつつあります。こうした傾向もメーカーが通販に参入しやすくなっている土壌でもあります。
■今でも多くの会社が考えている
大手企業の多くは世に出していない商品開発とそのための研究を地道に行っているものです。それまでのその会社からはまったくイメージの出来ない開発を行っている場合もあります。そうした研究は10年、20年…と長年にわたってし続けてきたものでした。しかしそうしたものは、店舗販売には不向きだな…という直感的に思うものだったりします。商品を作る人たちにとって、商品というのは自分の子どものようなもの。いつかは世にだしてあげたい、というのは自然な気持ちでしょう。
しかも、それを実現させる場所が出来るのではあれば、通販参入は自然な流れです。小売の場合はFACE(棚)の獲得争いになります。バイヤーを説得するためには「これだけマス広告を打ちますから」というのも必要になります。
しかし通販なら、それはそれで厳しい競争はあるもの、低リスクで参入することができます。
今回メーカー通販というのを軸にしたため、成長とともにブランドづくりが必要になる、と書きましたが、
最近は一品系の通販でも100億以上の売上をあげているところが出てきています。
しかしやはりどこかで商品の多様化とブランドづくりというのが必要になってくるようです。
|