メーカー通販、ECに盛んに進出する企業が増えているのには理由があります。それはマーケティングそのものが大きく変化をしていることにあります。何よりも!顧客との対話が必要であると、肌で感じているからでしょう。
また、ECは今後数年のうちに倍になるという話ですが、インターネットはこれからやってくる時代のひとつの過程に過ぎない、という見方もあります。デジタル家電の出現があるからです。
ユビキタスでおなじみの坂出教授によると、ハードウェアの普及は使用目的が限定されているかどうか?がカギになるのだそうです。
例えば、電子炊飯器や冷蔵庫は利用方法が限定されています。だから普及します。しかしPCは勉強しないと使えません。だからどうしても普及に限界が出来てしまいます。PCの普及の問題というのはある意味深刻で、使う人とそうでない人と間で、生活の仕方に大きく違いが出てしまう可能性もあります。
ところが、デジタル家電が登場してしまうと、誰でも簡単に操作が出来ます。今でいうリモコンの延長でデジタル素材を引き出すことができる。放送と通信の融合が叫ばれいますが、PC普及の限界を超えてしまうかもしれません。そうすると案外ECというのももっと普及してしまうかもしれません。放送と通信が一緒になってしまうとどうなるのか?おそらくテレビ局の役割が大きく変わってしまうでしょう。あるいはインターネットプロバイダがテレビ局になるのかもしれません。
さて、我々は今こうした激変の時代に生きています。 多くの企業はその変化を肌で感じているはずです。いまさら「10年前と変わってないよ」という人は周囲を見渡してもそうそういないはずです。それだったら、どのように変化しているのか?その変化の姿を1度ここで整理してみようかと思います。
■コトラーおじさんの悩み?
「マーケティングの変化がマーケットの変化に追いついていない」 これはマーケティングの世界的権威フィリップ・コトラーが「マーケティング戦略論(ダイヤモンド社)」の中で言ったことです。この本は我々専門家にとってはとても実践的で良い本なのですが、なんといっても私にとって、冒頭での氏の言葉がとても印象的でした。
そっかー、コトラーおじさんも悩んでいるのか…
私はそう感じました。この言葉にはとても感慨深いものがあります。私は全国あちこちでマーケティングを教えたりする身ですが、実を言いますと私自身、「これでいいのだろうか?」という悩みがあります。
■大きな課題を発見する〜マーケット・インの考え方
私はダイレクトマーケティングを専門にしております。ついこの間まで、ダイレクトマーケティングはマーケティングの一部であったのに、今多くの企業の課題を解決するためのベースに昇華しつつあることに驚いています。
コトラーの本、最新版には、「マーケティングの目的は顧客とのつながりをつくることだ」とかかれてあり、専門家の間では「どうしちゃったの?」と騒然としたようです。ダイレクトマーケティングをやってきた人間なら、その言葉の意味するところは良く分かります。コトラーは前述の、専門家向けの本の冒頭では「ダイレクトマーケティングが重要になりつつある」ことを指摘しています。
「顧客とのつながりをつくる」
これは昔からダイレクトマーケティングがテーマとしてきたことです。その時代その時代によって、そうした考えは、ワントゥワン、CRMと言葉を変えてはきたもの、もう数十年も昔から語られてきましたし、私などは実践してきました。
従来のマーケティングとこの顧客とのつながりをつくるマーケティングとにはどういう違いがあるのでしょうか?それはダイレクトマーケティング研究家である中澤功氏のチャートを見るととてもわかりやすいです。
ちょっとでもマーケティングをかじったことがある人なら、マーケティングのおける4P理論、というのを習ったと思います。「マーケティングは4つのPで構成される、そのPとはPlace(売る場所)Product(商品)
Price(価格) Promotion(広告・販促など)である」と(図A)。要するにいつ、どこで、何を、どのようにして売るのか?ということを言表したものなのですが、多くのマーケティング担当者は「どうもこれだけでは駄目だ…」と感じていました。それで、この変わりとなる考えをあれこれと模索します。マーケティングにおける理論とはお勉強のためではなく、何かのプランを立てる際の指針となるのでとても重要です。しかしなかなかその答えがみつからないようです。
それはこの4P理論を(図A)のようにとらえていたからです。4つのPがそれぞれ同じくらいの価値をもって描かれています。これを中澤功氏は(図B)のようにとらえました。
「4P理論というのはね、実際はProductありきなんだよ」 中澤氏はそういいます。今私のところに来る相談案件のすべてが、共通した課題を持っているのですが、その共通した課題とはまさに、プロダクトありきで考えていることです。これが新しい考え方を入れるのを阻害してしまうわけです。
たとえば、あなたが不動産に行くとします。「沿線はどちらですか?」と必ず聞かれます。しかし多くの人にとって、確かに沿線は大切ですけど、「公園の近くがいい」「とにかく今よりも10分寝たい」といった要望があるはずです。そうすると沿線はおおまかな指針にはなるにしても、絶対条件ではないはずです。
PCを買うときはどうでしょうか?ついこの間まではスペックが重要でした。しかしここまでPCの性能が上昇してしまい、一般に普及してしまうと、「音楽を楽しみたい」「家族で楽しみたい」「ブロードバンドでいつでも映画をみたい」「仕事で使いたい」などといったことが先に立つはずです。それによって必要なスペックを組み立ててあげる。デルコンピュータなどはすでにこうしたことを行っておりますが、要するに、
「顧客との対話が商品を決定してしまう」
わけです。だから、まずは顧客との対話(ダイアログ)ありき、つまり(図C)のようになるわけです。
また、顧客との対話を実現するためには相手のことを知る必要があるので、データベースが必要となるわけです。
中澤功氏はこれを3P+2Dと言っておりますが、私は中澤モデルと呼んでおります。中澤功氏は日本で1番はじめにダイレクトマーケティングをはじめた人で、現在は研究家として、法政大学でも教鞭をふるっています。
これからこの連載はデジタル放送、インターネット、モバイルといったことへ話しを進めていくこととなります。それには新しいマーケティングの考え方を知っておくことがとても重要です。次回はもう1回だけ、理論的な話をします。
今回コトラーおじさんの悩みのお話をしました。ダイレクトマーケティングはマーケティングの専門家だけでなく、企業が抱える大きな課題の答えを用意していることもお話ししました。しかしそれを専門とする私も同時に、これでいいのか?という悩みを持っています。私も最近、自分が信じてきたマーケティングモデルを覆すような考え方に出会ってしまったからなのです。
近未来というのはすぐにやってきます。決して遠い話しではありません。我々は75年周期の大きな変化の真っ只中におります。
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