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講師紹介


細野晴義
(ほそのはるよし)

1965年生まれ。マーケティング・コンサルタント。電通ワンダーマンダイレクト(現・インピリック電通)を経て、99年、ニューロ・テクニカ(現・取締役社長)設立。数多くのDRM関連のマーケティングをプロデュース。現在はDRMセミナー講師から事業プロデュースを中心に行う。企画立案のスキルにおいて、現役マーケターNo.1の呼び声が高い。著書「パワーポイントでつくる企画書ベスト事例集(翔泳社)」はアマゾンで総合ランク最高28位、企画書解説本としては一年間一位をキープ。全国でDRM関連の研修、セミナーを行い、DRM関連専門誌Impressでは連載執筆、座談会司会をする。

【URL】
http://www.neuro-technika.com/index.html



    ■第6回    地域密着メディア CATV  
 

 先週まで、新しいマーケティングのとらえ方についてお話しました。なんとなく「今のままではダメだ」と多くの企業が感じている、その答えが、マーケットインで考えること、つまり、中澤モデル(図A)。それは、はじめに商品があるのではなくて、顧客との対話がビジネスのすべてを決める、という考え方です。

 さて、今週から、そうした考え方をベースに、具体的にどのようにして企業の広告・販促などを行っていくのか?そして顧客を獲得するのか?という話をしていきます。そこでまずメディアの話をします。メディアといえば、いわゆる4媒体を思い浮かべると思います(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)。これにSP(セールスプロモーション:販売促進)と呼ばれる世界があり、これには、折込チラシ、ポスティング、駅前・店頭サンプリング(ダイレクトハンドとも言う)、テイクワン(据置型のパンフ)、ダイレクトメール、イベントを含みます。さらにインターネット系のメディアがあります。

 前述の中澤モデルをベースにしたマーケティングは、先週お話しましたクローズドループモデル(図B)によって計画がなされます。クローズドループは「お客さんは直ぐには買ってくれない」という前提に基づきます。見込客を獲得する段階なのか?獲得した見込客を顧客化する段階なのか?あるいはその顧客を維持する段階なのか(いわゆるCRM)?3つのステップに適したメディアを配置していきます。そうなるとメディアのとらえ方も変わってしまいます。

 これまでマスメディアに携わってきた人たちからすると「メッセージを到達させる(リーチ)ことが我々の役目」と言い切ります。しかし今やレスポンスが求められる時代。そうなると必ずしも視聴率が評価基準にはなりません。

 レスポンスを重視する企業は日増しに増えています。こうした企業はレスポンスを獲得するのに適切なメディアを探しています。確かにレスポンスを獲得するのにもブランド認知がとても大切です。私の経験でも事前にブランド認知がなされている商品はレスポンスが倍になります。しかし多くの人たちに伝えることが無駄である、という考えを持つ企業も増えています。極論ですが、テレビで女性の下着のCMをやっていることがありますが、見ている人の半分が男性だとすると半数無駄なわけです。男性紳士服のCMも見ている人の女性が半数だとするとやはり無駄なわけです。これは極論ですが、DRMが期待される背景にはこうした世の中の動きといいますか、価値観の変化があります。

 そして、顧客とのまず第一の接点をつくるには、何よりも、このクローズドループにおける見込客獲得が必要なわけです。ついこの間まででしたら名簿業者から何かしらのリストを買ってDMを出す、という方法もあったのですが、元々日本ではこうしたリストが未整備であるのに加えて、昨年5月に個人情報保護法が成立にしたのにともない、企業は見込客リストの獲得に努めなければなりません。

■CATVの普及状況

 CATVの最大手、ジュピターテレコム(通称J-COM)は、全視聴者数は約400万近くいるそうです。しかし、このうち多チャンネル契約をしている人は約150万くらいです。この差は何かといいますと、元々電波障害のある地域、集合住宅などはしらないうちにこのケーブルテレビ網から地上波が配信されていることがあります。こうした家庭ではコミュニケーションチャンネル、という地域独自の番組を見ることができます。一般にCATVといえば多チャンネルのことですが差し引き300万の家庭は、地上波+コミュニケーションチャンネルのみを見ている 、ということになります。また、JCOMは全国約30の地域で番組配信を行っております。札幌、東関東(柏)、湘南、関西、北九州など、場所が飛んでいるので地上波のように網をかけることはできません。

 東京にはこのほかにも、東急沿線をカバーしているイッツコミュニケーションズ(約40万世帯)、東京ケーブルネットワーク(約12万世帯)などがあり、JCOMも含めると約290万世帯をカバーしています。うち、番組ガイドが送られる多チャンネル契約者は約88万世帯です。東京都内の世帯数は約570万世帯なので、約半数が何かしらの形でCATVとつながっていて、約15%の家庭は多チャンネル各をしていることになります。これが東海地区になるともっと普及率が高くなるようです。


■CATVさまざまな使い方

 CATVがなぜレスポンスを獲得するのに良いのか?と言いますと、レスポンス獲得をねらうメディアはおおむね、はじめから「興味を示さない人は示さない」という前提にのぞみます。そのため、大量に売れることが前提としていないためターゲットをしぼりこみます。その場合、CATVはある程度所得が高いこともあって特定のターゲットをねらうのには都合がいいわけです。しかも地域限定ができます。例えば、「世田谷区在住のある程度所得のある家庭に向けて発信したい」と考えた場合、CATVは最適なわけです。CATVは地上波の視聴率に例えると深夜番組程度ものしか得られません。しかしターゲットを絞り込むことにより高いレスポンスを期待できるわけです。

  • 番組出稿
    CATVには地域限定のコミュニティチャンネルと呼ばれるものがあります。低予算で作られていることが多いため、地上波のような番組は期待できません。それこそ家庭用ビデオカメラで撮影したような画質であることもあります。しかし最近ではここに通販会社が目をつけてきました。通販会社は元々しっかりとした番組を作ります。CATV側としてコミュニティチャンネルのクオリティがあがります。通販会社としては、地上波ではなかなかできない、15分間、あるいは30分、60分枠買取、といったようなことができます。じっくりと商品特性を伝えたたい、というときにはとても適しています。※ただし、JCOMは自社の番組宣伝優先のため、通販は1日2時間までと限定されている。
  • 番組ガイド出稿
    毎月多チャンネル契約者には番組ガイドが送られます。ここに出稿することができます。1ヶ月間契約家庭に置かれるものなので対流性が高いです。
  • 番組ガイド同梱
    毎月多チャンネル契約者に送る番組ガイドの封筒にチラシなどを同梱するサービスです。折込チラシよりは少し高めですが絞られたターゲットに印刷物を送ることができます。
  • WEBサイト出稿
    多くのCATVはブロードバンドサービスも行っております。自社のホームページを地域情報サイトとして位 置づけ、出稿できる方法も用意している場合があります。


■こんなやり方も

 地域限定だからこそできる方法もあります。

  • 特売情報
    例えば、名古屋のあるスーパーマーケットは毎日夕方の特売直前になるとCATVのコミュニティチャンネルを使って特売情報を流しました。折込よりも、リアルタイムで特売情報が送られるということで好評だったようです。
  • ラジオとの連携
    映像の無いラジオ、網羅性の無いCATVということで両社が結びつきあって展開をした例もあります。ラジオは比較的低予算でできるマスメディア、番組制作のノウハウもあります。CATVは映像のための機器などは持っていますが番組制作力はまだおぼつかないところがあります。そこで両社がむすびつくわけです。たとえば、地域の情報をラジオとCATVと両方で放送する、といったこともできます。


■CATVの利点を知らないCATV事業者たち

 しかし、CATVの最も強力な武器は、視聴者データを持っているということだと私は考えています。ところが、現実CATV事業者の多くは地上波と同じような売り方を目指しています。地上波と競争をしようとすると視聴率の数%に過ぎず、しかも展開している地域が飛んでいて網羅性がないため、どうしてもメディアとしてのパワーは小さく見えてしまいます。

 それなれば他の価値を見出して、データベースを核とした展開もあると思うのですが多くのCATV事業者はまったくそのようなことは考えていないようです。データベースの活用例で似たようなものといえば、レンタルビデオ最大手のツタヤが行っているDMサービスがあります。CATVの場合は契約世帯の住所の情報だけでなく、ブロードバンドもあるのでE−mailによる展開だって出来ます。契約世帯の情報をもっと詳細にとっていれば、セグメントを視聴者ののぞむ情報を提供することだってできます。元々、比較的裕福な家庭が多いことから、このようにセグメントをすることを大前提とするならばCATVは今のような影に隠れた存在ではなく、表舞台に出てくると私は思います。

 CATVは本来マスメディアではなく、よりワントゥワンの発想で、DRMの発想でいけばその価値は倍増すると思うのですがそういった気はまったくなさそうです。これは残念なことです。  一方でマスメディアの王道であるはずの地上波テレビ局がワントゥワンの発想、これまでと異なるビジネスモデルを見出そうとしています。視聴者データの獲得をしはじめているところもあります。CATVがある意味「古い」ビジネスモデルと追求している間に、本来CATVが担う場を地上波デジタルが持っていってしまうかもしれません。

 来週は地上波デジタルへと話を続けます。

 


 



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