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講師紹介


細野晴義
(ほそのはるよし)

1965年生まれ。マーケティング・コンサルタント。電通ワンダーマンダイレクト(現・インピリック電通)を経て、99年、ニューロ・テクニカ(現・取締役社長)設立。数多くのDRM関連のマーケティングをプロデュース。現在はDRMセミナー講師から事業プロデュースを中心に行う。企画立案のスキルにおいて、現役マーケターNo.1の呼び声が高い。著書「パワーポイントでつくる企画書ベスト事例集(翔泳社)」はアマゾンで総合ランク最高28位、企画書解説本としては一年間一位をキープ。全国でDRM関連の研修、セミナーを行い、DRM関連専門誌Impressでは連載執筆、座談会司会をする。

【URL】
http://www.neuro-technika.com/index.html


    ■第7回    地上波デジタル CATV  
 

 CATVは本当に残念に思います。といいますかもったいない。

 データベースは持っている、ブロードバンド環境は持っているし、地域限定だし…他のメディアがやりたくでもできないものをすでに兼ね備えているわけです。

 しかし先週のとおり、CATVはこうした自分達が持っている資産を活用しよう、という気持ちはさらさらないようです。CATVはマスメディアとは異なります。マスメディアのようになろうとすると、とてもチープなものに見えてきてしまいます。だから、なかなかナショナルブランドと呼ばれるような、いわゆる大手企業は広告を出さないでいます。本当にもったいないです。

 さて、そのCATVがやるべきことが出来てしまいそうなのが、地上波デジタルです。地上波デジタルは昨年12月から一部地域でスタートしました。2011年になると完全にデジタル化へと移行します。このときには、今のテレビ受像機ではテレビ番組を見ることができなくなります。

 地上波デジタルになるとどうなるのか?総務省のHPをちょっとのぞいてみましょう。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/digital-broad/different.html

 高品質・高画質であるほかに、見たい番組を検索できる、データ放送で暮らしに役立つ情報がいっぱい、双方向で番組に参加できる、などと書かれてありますが、実際には具体的にどんな風になるのか?テレビ事業者もよくわかっていないようです。

 ただ、このデジタル化には莫大な費用がかかるということ。 ひとつの放送局ごとに3つのチャンネルが与えられること、その程度しかわかっていません。ビデオ録画がとても難しくなるので、高画質以外に売るものが無い、と考えている人たちも多いようです。

 それでは地上波デジタルを注目するポイントはいったい何でしょうか?ハードウェアにも依存することなので単純にメディアの話しだけではすまないのですが、私が注目をしたいポイントは2つあります。

■元々テレビ局のブランド力がある

 地上波デジタルの強みはなんといってもブランド力です。お台場のフジテレビなど、観光コースになっているくらい、テレビ局への信頼感、親近感というのは世の中にあるあらゆるもの比ではないでしょう。こうしたところが何か新しいしかけを、例えば、データベースを持って新しい広告・販促システムを提供したりすることが出来れば、それはそれで価値が出てきます。

 実はこれについては今から20年ほど前にフジテレビが実験をして事業化をしておりました。もちろん当時は地上波デジタルなどあまり知られている言葉ではありません。フジテレビはDM-fanという事業をやっていました。元々はフジテレビが収集したアンケートをデータベース化してDM用にサービスをしていたものです。女性を中心に約600万件ものデータがありました。今と違ってコンピュータの性能がたいしたことのない時代にやっていたので、当時の投資額ははかり知れなかったと思います。また、フジテレビが来るべく地上波デジタルのことを想定していたのかどうかはわかりませんが、DMというアナログながらも双方向性への試み、視聴率とは異なるビジネスモデルへの挑戦でした。

 デジタルということになれば、おそらく双方向性がうたわれるようになります。そうするとデータベースをつくる、というのも自然な発想となります。データベースを使ったプロモーションを行うには母数が多ければ多いほど威力を発揮します。そのデータベースの母数をそろえるには、ブランド力がモノを言います。

 この信頼感、ブランド力をもってすれば今増えているインフォマーシャルも、テレビ局主導でできるようになるかもしれません。そうなるとテレビ局の役割も変わってしまいます。これまで広告は視聴率ベースで料金が発生しましたが、注文ベース、あるいは資料請求ベースという形になるかもしれません。


■情報の検索性

 最近は情報系の番組が増えてきていることもあり、必ずしもその時にみなくてもいい番組というのも増えています。また、旅の番組なら今出ている場所にいくにはどうすればいいのか?そのことをメモしようと思っても番組を見ているとメモをとるのを忘れてしまいます。

 あるいは、今評判のテレビドラマ、どうしてまとめて見られないのだろう? ここでこのシリーズで紹介しましたマーケティングの理論を持ち出します。これからの時代は先に商品ありきではなくて、顧客との対話がすべてを決めていくのだということ。「どうしてその番組を、自分が見たいときにみることができないんだ?」という素朴な疑問。すでにビデオデッキにはスケジューリングする機能までついていますけど、そういうのとはまた違います。番組そのものを映像ストリーミングの素材としてとらえるということもできます。

 もちろん、こうしたことは、想定はできても、今直ぐにテレビ局がとびつくわけではありません。デジタル家電の普及などを待つ必要もあります。

 しかし、インターネットを通じてなら今すぐにでも映像配信は可能です。しかも、元々テレビ局は番組制作能力を持っているわけです。ここがCATVと大きく異なる点で、徹底してコンテンツ供給会社として機能していくことも考えられます。

 たくさんの番組を、視聴者が見たい時間帯にいつでもみることができる。その端末も、必ずしもテレビではなく、来年からはじまる携帯電話かもしれません。そうなると情報提供番組をつくるのが得意なテレビ東京なんて意外に(といっては失礼ですが)、デジタル放送の世界ではグンを抜く強さをだすかもしれません。

 一般に、もう「総合」と言う言葉はカッコ悪くうつるようになってしまっています。また、今の消費者・買い手は、買いたいのか買いたくないのか?態度をはっきりとさせます。それはこうしたマスメディアに対しても同じことです。情報番組としての蓄積がある専門性こそがデジタル時代の勝負どころになるのでしょう。

 何故って、今のテレビは送る側が見る時間を決めてしまいます。いわゆるゴールデンタイムという言葉(最近は聞かれなくなってきていますが)も、視聴率も、世の中の平均はこうだ、というのが前提です。しかし世の中から平均像というのが消えていく今日においては、「総合」というのは「=自分の探したい情報あるいは番組を探しにくい」ととらえられてしまうかもしれません。

 ところで、これら二つのことはいっけん、まだまだちょっと時間を要しそうに思われるかもしれません。しかし、いきなりテレビがダメでも、インターネットで、という方法があります。実際、どのテレビ局もインターネットには力を入れております。インターネットは今普及率が伸び悩んでおりますけど、こうした放送素材のような誰にでも楽しめるものが出てくると、それもテレビ局制作による質の高い、何よりもおもしろいものが出てくると、また話は変わるかもしれません。

 地上波デジタルはこれまでのテレビの常識をまったく変えてしまう可能性もあります。しかしそれは2010年ごろに怒涛のごとくやってくるでしょう。いや、今世の中の変化のスピードが速いので、意外にそれは2〜3年くらいでやってきてしまうかもしれません。

 いずれにしても、新しいマーケティング、顧客との対話がすべてを決めるマーケティングを行うにあたっては、テレビ局の絶大な影響力を利用しない手はありません。かつてフジテレビがやったDM-fanのように、顧客との接点となるデータベースをつくろうと思えばいくらでもできます。

 しかし、現段階では誰もそのときのメディアの活用は描けていません。 それまではテレビ局のWEBサイトに注目をしてみましょう。単なるバナー広告、などといってこれまでの広告の範疇を超えた方法が眠っているはずです。


 



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